「動悸、息切れ、気つけ」を巡る冒険
子供の頃からずっと気にかかっていることなのに、よく調べもしないで、ずっと気にかかりっぱなしということがある。
私は「動悸、息切れ、気つけに救心」という CM の「気つけ」というのが何なのか、ずっと気にかかっていた。何しろ「気つけ」である。結構すごい感じの言葉じゃないか。
この CM を聞くたびに気にかかりはするが、普段はころりと忘れてしまっていて、改めて調べてみようという気にもならない。しかし、昨日ようやく思い出して調べてみた。救心製薬のサイトに行ってみると「どうき・息切れ・気つけって?」というページがあり、きちんと解説されていた。
救心製薬による 「気つけ」 の解説を引用してみよう。
言葉の定義としては ‘気絶したものを生き返らすこと' あるいは ‘疲れて元気がない者の気持ちを引き立てる' とされています。医学的には心不全やショック状態において、心機能の低下や血行動態不全による循環血液量の減少が起こり、脳への酸素供給や栄養分の補給が低下して、気が遠くなったり、意識が低下するのをクスリなどにより改善させることを意味します。一種の脳貧血状態や疲れて元気のない状態に対して、気力を回復させたり、頭の働きをハッキリさせる効果のことです。
ふぅん、わかったような気もするが、私はそういう「一種の脳貧血状態」とかになったことがないから、ピンと来ない。「疲れて元気のない」 という状態は、たまになったりもするけれど、私の場合、気力というよりは、単純に体力の消耗によるものだから、一晩寝れば済んでしまう。
いや、しかし、この程度の解説ならば、別に救心製薬のサイトまで行かなくても、元々ぼんやりとはわかっていたように思う。私が長年ずっと気にかかっていたのは、どうも「気つけ」の意味そのものじゃないような気がする。
と、ここまで考えて、ようやくわかった。私がずっと気にかかっていたのは、「動悸、息切れ、気つけに救心」という言い回しそのものについてだったのだ。
考えてもみるがいい。「動悸」と「息切れ」は、望ましくない状態である。救心を飲んで、この望ましくない状態を改善するというのは、わからなくもない。しかし 3番目の「気つけ」というのは、前の 2つとは性格を全く異にする。
救心を飲んで「気つけ」を治すなんてことじゃない。「気つけ」そのもののために救心を飲むのだろう。すると、レトリックがおかしいじゃないか。
前者は否定的、後者は肯定的で、文脈が正反対なのに、一つの流れで言ってしまっている。私が長年にわたってしっくりこないものを感じていたのは、まさにこの文脈の混乱によるものだったような気がする。
救心製薬さん、このおかしな言い回し、なんとかしてもらえないだろうか?
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コメント
「動悸にあるとき使え、息切れあるときに使え、気つけ要りようあるときに使え」
なんでしょうねえ。
薬局で売っている薬は、副作用がでると販売差し止めされるから、効かないものを卸している。
どうせ効きません。
効かないように売っているのが薬局の健保薬だという風に、ツムラやカネボウ薬の
部長さんから聴きました。正直なものです。
想定される、というのか薬メーカーが期待する消費者の
購買動機を並べているだけですね。
投稿: シャルドネ。 | 2007年12月26日 12:22
気つけかぁ…。
麦が主原料の発行飲料で、アルコール度数が4.5~5.0パーセントのものを、飲ませていただければ…。
人によっては、動悸がすごくなるけど…。
投稿: オッチャン | 2007年12月26日 12:23
シャルドネ。 さん:
>どうせ効きません。
どうせ効かなくても、動悸や息切れは、ちょっと安静にしていれば治まるに決まってるから、それをもって 「効いた」 とする。以上、おしまい!
・・・・・・てなことなのかもしれませんね。
救心飲んでも治らなかったら本当に病気なんでしょうから、医者に行くということで ^^;)
投稿: tak | 2007年12月26日 16:30
オッチャン:
確かに 「気付け薬」 と言ったら、我々の間では、フツーお酒ですね。
投稿: tak | 2007年12月26日 16:33
私「動悸、息切れ、眩暈に救心」とおぼえてまして、「あれれ?」と思ったのですが、調べて見るとこちらの表記も散見されます。
別バージョンだろうと思いますが、「きつけ」に違和感を感じた人の改作では、とか考えると面白い。
話変わって、この記事を読んで私も不思議に思いつつ放置してた事を思い出しました。矢の先端を何故矢尻(鏃)というのか?
「尻」には「後方」以外に「先端」といった意味がある。当て字だから「尻」に意味はない。矢筒に収めた際に下になるから。といった説が見つかりましたが、どれも「納得!」とはいきません。まだざっと調べただけなのでまたあとでちゃんと調べよう。…と思いつつまたしばらく放置になりそうです。
投稿: cent | 2007年12月26日 20:42
cent さん:
なるほど、「動悸、息切れ、眩暈に救心」 なら、違和感はないですね。
でも、キャッチコピー的には 「動悸、息切れ、気つけ」 なんだろうなあ。何しろ 「気つけ」 という言葉のインパクトは大きい。
>矢の先端を何故矢尻(鏃)というのか?
「やじり」 を 「矢尻」 と書く表記を、恥ずかしながら知りませんでした。
「鏃」 (手書きできないけど ^^;) はやじりっぽいけど、「矢尻」 では、全然イメージじゃないですねえ。当て字なのかなあ。
投稿: tak | 2007年12月26日 21:16
ちょうど救心を買おうか?と思っていたところなのです。
心臓が弱い、蒲柳の質ですからね。(笑)
そうして、同じように疑問を感じていたんです。
ぼんやりと。
やは売薬は鼻くそのようなものですか。
昔、西洋の物語を読むと「気付け」にはブランデーでしたね。
セントバーナード犬も、ブランデーを首にぶら下げていたんじゃありませんか?
雪中の遭難者の「気付け」のために。
救心でもいいのかな?(笑)
鼻くそだと思っていたのに(失礼)、効果抜群なのは、タイガーバーム、万金丹?です。
頭痛、眼精疲労、初期の風邪に即効性有り。
私だけかもしれませんが。
それにニオイもちょっと強すぎる。
投稿: alex99 | 2007年12月27日 00:02
alex さん:
>セントバーナード犬も、ブランデーを首にぶら下げていたんじゃありませんか?
それ、聞いたことあります。
飲んべの犬だったら、自分で飲んじゃうんじゃないか? なんて思ってました。
タイガーバームを風邪薬にするんですか?
まさか、あれを舐めちゃうんじゃないでしょうね。
それこそ、「気つけ」 になりそうです ^^;)
投稿: tak | 2007年12月27日 00:27
alex さん:
付け足し
alex さんが 「蒲柳の質」というのは、平知盛もそうだったというぐらい信じられないお話です。
壇ノ浦で入水するのに、二度と浮かび上がらないように、碇を担いで飛び込んだというぐらいの武将ですからね。
(これって歌舞伎の 「義経千本桜」 イメージに影響されすぎでしょうか?)
投稿: tak | 2007年12月27日 00:36