「洗練された米語発音」 とビジネスの関係
まだ読んではいないのだが、「洗練された米語発音がビジネスを成功させる」 という本が、ネットで紹介されていた。
著者の村川久子さんは、TOEFL や TOEIC 関連の書籍の著者として有名で、また、その厳しい教育姿勢故に、軍隊授業とも鬼軍曹とも呼ばれているらしい (参照)。
まだ読んではいないくせに、ネットで紹介されている目次にざっと目を通しただけで、中身はかなり想像できるような気がする。こんな目次である。(以下引用)
第1章 世界中のビジネス現場にて(英語会話の基本は大きな声)
日本語英語は通用しない
決め手は音
アメリカ人でも発音は気にしている
アメリカ英語とイギリス英語)
第2章 アメリカ英語の発音について(アメリカ英語は腹式呼吸で発音
イントネーション
通じる発音を)
第3章 洗練されたことばとは(洗練された米語を身につけ世界で成功する
ディスクリミネイション
ビタミン剤を注入しよう)
第4章 ビジネスで成功しよう(より速く読み、速く書く
リーサミット市との国際交流に学ぶ
主張する文化)
確かに腹式呼吸による大きな声と、歯切れ良い発音とイントネーション、そしてスピードというのは、ビジネス成功の大きなファクターになるというのは、私も賛成するところだ。それさえあれば必ず成功するというわけではないが、ないよりはずっといいということである。
私自身、自分で言うのもなんだけれど、英語の発音はかなりいい方だと思っている。とてもスマートでお上品な東海岸式のアイビーリーガー英語ではないが、少なくとも、日本人が陥りがちなカタカナ発音からは、すっかりかけ離れている。
若い頃からアメリカン・ミュージックにどっぷりと浸かって育った賜物である。英国人(スコットランド人とかも含めて)からは、私の英語は American Influence (アメリカ的影響) が強過ぎると必ず指摘されるが、これは、半分ほめて半分けなされているのである。
その私の経験から言うと、発音以外では同程度の英語能力をもつ 2人の日本人を相手にしたら、米国人のほとんど (多分 99%) は、より米国的発音のできる方を、スマートだと思ってしまうようだ。
実際、私は大抵の場合、同席している他の日本人よりも、頻繁に米国人に話しかけられる。「こいつ、話せるやつ」と思われてしまうようなのだ。発音が日本人離れして米国式であるというだけで、実力以上のアドバンテージを得てしまうのである。
本当のところ、私はちょっと発音がいいだけで、そんなに抜群の英語使いというわけじゃないから、そんな状況で無理して会話を弾ませようとするおかげで、かなり疲れてしまうのだが。
だから経験則として、米語発音でバシバシ推し進められたら、それは国際ビジネスの成功に役立つということは、自信を持って言える。しかし、それはそれで、かなり癪に障ることでもある。
それは、「そこまで米国人の単細胞に迎合しなけりゃいかんのか」という思いである。訥々とした英語で、とても深いことを言ったとしても、連中の多くは、きっとわかりゃしないのだ。表面しか見てないから。
そんなことだから、イラク情勢だって見誤るのである。ふん!
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コメント
>そこまで米国人の単細胞に迎合しなけりゃいかんのか
そうですね、アメリカ国内で9.11陰謀説の信奉者が多いからといって、
日本人までそれを信じないといけない理由はありませんね。
かの国なんて、進化論を否定する人がいっぱいいるような国ですから。
すみません、関係ない話で
投稿: かつ | 2007年12月23日 20:30
かつ さん:
あはは (^o^) 確かに、関係ない。
でも、進化論を否定するメンタリティって、無闇に嘲笑わないで、ちょっと深読みすると、なかなか面白いと思いますよ。
投稿: tak | 2007年12月23日 21:34
私も発音重視主義者なので、わが意を得たりと言うところです。
投稿: alex99 | 2007年12月24日 03:41
alex さん:
世の中では、「いろいろな地域的アクセントがあっていいし、要するに、通じさえすりゃいいんだ」 と、英語をユニバーサルな道具として割り切った立場の指摘も見られます。
しかし、発音がちょっといいだけで、実際の場面ではさらにアドバンテージを得られますから、「使い勝手」 がよくなりますね。
ただ、発音というのは、そっち方面のセンスのある人でないと、容易にはうまくできないような気がします。
日本人としては、いかに 「カタカナ感覚」 を完全に無視して、まったく別の発音体系に身体性をすっと移行できるかが、勝負の分かれ道のようです。
"Mineral water" という表示を目にして、頭の中にごく自然に "ミネルゥワラ" みたいなのが浮かぶといいんですが、まず先に 「ミネラルウォーター」 が出てきては、ちょっとまずいですね。
「身体性の移行」 ですから、日本語をしゃべっているときと英語をしゃべっているときでは、確かに、人格だって変わって当たり前ですね。
カタカナ英語の人には、いかにも日本人が日本語の発想で考えたことを 「セルフ同時通訳」 してしゃべっている感じの人が多いです。
投稿: tak | 2007年12月24日 09:48
英語が出来る、なんて定評のある人でも、そんなのが多いですよね
そのうちにまた、関連ブログを書かせていただきます
YRSK
投稿: alex99 | 2007年12月24日 13:40
alex さん:
>英語が出来る、なんて定評のある人でも、そんなのが多いですよね
誰とは言いませんが、あの人とか、あの人とかね^^;)
投稿: tak | 2007年12月24日 14:54
>カタカナ英語の人には、いかにも日本人が日本語の発想で考えたことを 「セルフ同時通訳」 してしゃべっている感じの人が多いです。
カタカナ英語までのスキルすらありませんが、ケーブルテレビのプロレス中継(WWE)で、アナウンサーの絶叫や技の連呼を「セルフ同時通訳」してます。
家内には好評ですが、あっているかどうかの自信は皆無です…orz。
投稿: オッチャン | 2007年12月24日 17:07
オッチャン:
>ケーブルテレビのプロレス中継(WWE)で、アナウンサーの絶叫や技の連呼を「セルフ同時通訳」してます。
えぇ、揚げ足取りで恐縮ですが、それは 「セルフ同時通訳」 ではありません。立派な 「同時通訳」 であります。
(ちょっとした特技ですね)
プロレス的にはちゃんとした翻訳になってるんだろうと想像します。(かなりの意訳も含めて ^^;)
投稿: tak | 2007年12月25日 00:10
一般に音楽家は、耳がいいので、外国語の上達が早いといいますね。
tak-shonai さんも私も音楽をやっていたので、発音にウルサイ(笑)ということもあると思います。
あの人(パイプ愛用)とか、あの人とか、なんてとても音楽とは宴が無さそうですものね。
投稿: alex99 | 2007年12月25日 03:25
>一般に音楽家は、耳がいいので、外国語の上達が早いといいますね。
音楽的な、いわゆる 「音感」 と、発音というのは、直接的には結びつかないんでしょうけど、英語特有の 「リズム」 に乗ろうと思うと、どうしてもカタカナ発音では乗り切れないんですよね。
投稿: tak | 2007年12月25日 11:29