自民の落ち目がはっきりしちゃった
共同通信社の今月の調査によると、福田内閣の支持率は 35.3%と、11月上旬の調査に比べて 11.7ポイント落ち込み、初めて支持と不支持が逆転したという (参照)。
ある意味、ちょっとだけ期待されていたかもしれない福田さんだが、あまりの逆境に手も足も出ないという状態のようだ。
しかし、内閣支持率なんていうのは、大抵低いものなんである。小泉さんの時が異常に高かっただけのことだ。福田さんの支持率は、下がったとはいえまだ 3分の 1 を上回っているのだから、それほど騒ぐほどのことじゃない。
それよりも注目すべき数字は、政党支持率の方だと思う。こっちの数字では、自民党が 13.0ポイント減の 25.2%で、民主党の 28.5%を下回った。前回の民主党の支持率は 16.3%だったから、数字だけを見ると、自民党支持者の 3割ぐらいがどっと民主党に移ったということになる。
これまでの大雑把な傾向は、与党の支持率は多少の波があってもほぼ一定で、野党同士が限られた票の食い合いをするというものだった。野党第一党が与党の支持層を大幅に浸食するなんて事は、あまりなかったと思う。
さらに、望ましい政権の枠組みについての回答は、「民主党中心」が44.7%で、「自民党中心」の28.5%を大きく上回ってしまっている。これだけ差がついたというのは、画期的といっていいほどの変化である。
私は今年 7月の参院選挙直後、"近頃 「いい目」 を見てなかった保守王国" というタイトルで、自民党の退潮は一時的な「逆風」によるものなんかじゃないと述べた。これまで自民党を支えてきた田舎の選挙民の意識が変わってしまっていることが、大きな要因である。
これまで 「保守王国」と呼ばれてきた地方の選挙区の多くで、自民党の現職がボロボロに負けたというのは、これは実は大変なことなのである。地方は、今や「保守王国」なんかじゃなくなったのだ。
これまで何がどうあっても自民党に票を投じてきたじいさんばあさんは、今や足腰立たなくなって、投票所に行くのがおっくうになったのである。変わって、不承不承に投票所に足を向けることになった彼らの息子たちの世代は、いまや、「都市労働者」なのだ。
たとえ農業所得があったとしても、彼らのほとんどは兼業だから、サラリーマンとしての給与所得の方が上回っている。だから、毎月ごっそりと源泉徴収され、税徴収制度の問題は、しっかりと身を以て感じている。
そして、気分だけは都市労働者だが、本当の都会の連中に比べると、所得水準はずっと低いので、自民党政治に対しては不満こそあれ、恩義なんてものはほとんど感じていないのだ。
プロ野球で、阪神が優勝しそうになると、あちこちからにわか阪神ファンがわらわらと湧いてきて、中日が優勝しそうだと、今度は「俺流ファン」が次々に手を挙げ始める。
そんなようなもので、民主党が勝ちそうになると、いつの間にか何年も前から民主党を支持していたような顔をする者が次から次に出てくる。人間、どうしても勝ち馬に乗りたいもののようなのである。
近く解散総選挙なんかがあったりしたら、自民党、マジに危ない。
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コメント
地方から出てきた人は、新たに住宅を購入しなくてはならない訳ですから、ネットでの所得水準は低くなりますね。
一票の格差という問題で、都会住民の国政への権利は、大幅に制限されている。
これも今まで自民党がやってきたことですね。
民主党中心政権ができ、格差が解消されたら、自民党の勝ち目は皿になくなるのでは?
投稿: alex99 | 2007年12月17日 01:09
alex さん:
>地方から出てきた人は、新たに住宅を購入しなくてはならない訳ですから、ネットでの所得水準は低くなりますね。
それもありますが、自分の家で暮らしていても、地方の給与水準は低いですから、同じなんです。
まあ、都会では給料は高くても物価も高いということもあり、泣きっ面に蜂ですが。
>民主党中心政権ができ、格差が解消されたら、自民党の勝ち目は皿になくなるのでは?
民主党中心政権で、格差が解消されるというのも疑問ですが、もしうまくいって国内の格差が解消されても、こんどは国際的に置いてけぼりになる懸念もありますね。
投稿: tak | 2007年12月17日 09:35
自民も自民なら、民主も民主。
テレビで垣間見る国会議員様のお姿は、意見を戦わせておられる模様ですが、どちらも最後には「国民の総意として…」と決め文句(のつもりか?)でドッチラケ…。
「国民の理解を得られる」とか、「国民は納得しない」とよく国民を“ダシ”にお使いになられるようですが、国際貢献の名の下に国内の燃料高騰は『直球』の手を打たずホッタラカシにして、そろそろ国民も出涸らしになってますから!
ゴメンナサイ。脳内右往左往のオッチャンのタワゴトでした。
投稿: オッチャン | 2007年12月17日 12:40
オッチャン:
「国民の総意」 というのは、本来あるはずもないフィクションを、ある種の形式的手続きを経て、ファンタジックな形で 「あるということにした」 ものだと思います。
「国民の理解を得る」 というのは、フツーの日本語に翻訳すると、「うまく口車に乗せて、目立った反対論が出にくくする」 ということでしょう。
「国民の納得を得る」 とは、同様に、「うやむやにして、忘れさせる」 ということのようです。
私個人は、これまでの日本の政治に、理解とか納得とかしたことは一度もありません。私は政府からは日本国民扱いされていないようです。
一応、愛国者のつもりなのに。
投稿: tak | 2007年12月17日 22:05
ベンジャミンフルフォードさんの影響か、「ガンダム」の見過ぎかもしれませんが、「国民の総意」を「アメリカからの強制」といいたいような。
いつまでたっても敗戦国から抜け出せない。
敗戦国らしく「平和」っぽく大人しくしていればいいのかもしれませんが。
自民党のある代議士が「北朝鮮は刺激しないほうがいい。ことが起これば大量に難民が押し寄せる可能性がある」なんてことをいってました。
政治にはなんでもかんでも裏があるようで、新聞も完全に報道規制されてるようですね。
また、中国のお先棒を担ぐ議員もいるようで、教科書問題などでも、まだ論議されてもいないような時機に勝手な憶測をもとに、中国に都合のいいことをご注進に上がる不逞の輩も多いようです。
投稿: osa | 2007年12月18日 01:08
osa さん:
ニュースとして報道されたことの裏には、報道し切れなかったことが、表面に現れた何倍もあるんだと思わなければいけませんね。
中国問題に関しては、結構鼻薬を嗅がされている政治家や経済人が多いですね。政治の世界は身近にはしりませんが、経済の世界では、中国の広報宣伝部長みたいな人が、いくらでもいます。
彼らは、中国が栄えてくれないと、自分のところに利益が落ちないから困るんですよ。
投稿: tak | 2007年12月18日 10:58
格差が解消されたら今度は税が重くなって反発が出てくるから自民党が減税を唱えて復活してくる。アメリカの両党の違いを考えれば日本もそうなりそう。
投稿: nishi | 2008年9月25日 12:52