「夜明け」を巡る冒険 2
夜明けということについて、些細なことだが、もうちょっとだけ書いてみる。「夜明け」という言葉が、「新しい時代や事物が始まろうとする時」と、比喩的に使われることがある。
「夜明け前が一番暗い」と言われるのは、主にこうしたケースで、どん詰まりの状況で絶望しないための、ありがたいレトリックである。
しかし、状況が好転してまったく新しいステージに突入する場合、その直前は決して「一番暗い」というわけではなく、客観的にみれば、少しずつ日が射し始めていることが多い。当人がそれに気付かないだけで、状況が一変して初めてそれとわかり、驚いてしまったりする。
実際の夜明けでも、それとちょっとだけ似たようなことがある。夜明けで最初に明るくなり始めるのは、誰しも東の空だと思っているが、実際には違う。反対側の西の空にたなびく雲が、一番先に光を帯び始めることが多いのだ。
それは、再び このページ を見ればわかる。
夜明けの時分は、昨日のエントリーで触れたように、何しろ「太陽の中心が地平線下七度二一分四〇秒にある時刻」というのだから、太陽は地平線の下にある。だから、東の空を見つめても、太陽は出ていない。
しかし、その東の地平線下にある太陽から発せられた光線は、天空をよぎって西の空にたなびく雲を下から照らしているのである。だから、日の出の直前の空というのは、東よりも西の方が明るいということが多い。嘘だと思ったら、早起きして確かめてみるといい。
朝になって空がほのぼのと明るくなるのを、今か今かと待ちながら、東の空ばかりを見つめていると、背後の西の空が先に明るくなり始めているのに気付かないのである。一つの方向ばかり見つめて視野を狭めていると、ろくなことがないのだ。
時代の変わるのを待つのも、同じことがいえるだろう。視野は広くしておくに越したことがない。
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