「ロシアリス」 を 「ロリス」 って言うなよ!
いやはや、近頃一番驚いてしまったのは、毛皮製品のタグに「ロリス」と表示されていたことだ。ロリスといえば、あの可愛らしい顔のおサルの仲間で、絶滅危惧種じゃないか。
それに、「ロリス」の毛皮は高級品として流通しているようだが、熱帯に棲むおサルの毛皮が、防寒用の高級品になるわけなかろう。
アパレル業界でメシを食っている私としては、これは放っておくわけにはいかないと、さっそく調べてみたのである。そしてわかったことは、毛皮業界で「ロリス」と言ったら、あのおサルの仲間のロリスじゃなく、「ロシアリス」(ロシア産のリス)の略称だというのである。
「ロシアリス、ロリス」 の 2つのキーワードで検索すると、こんなにたくさんのページがヒットする。ほとんどは、「ロシアリス」の略称として「ロリス」という呼称を何の疑いもなく用いている。
これはひどい。ひど過ぎる。業界内部で「ロシアリス」を略して、符丁的に「ロリス」と呼び習わすなら、趣味悪すぎだけど、まあ、今さらしょうがない。しかしそれは業界内部にとどめておくべきだろうよ。
品質表示のラベルに堂々と「ロリス」と表示してしまったら、まったく別の動物を指すことになる。しかも、可愛らしい顔が子どもたちにも人気のおサルさんで、絶滅危惧種の毛皮だなんて誤解されてしまう。いくらなんでも、人騒がせにもホドってもんがあるだろう。
フランスの踊りを 「フラダンス」 なんて言ったら、ハワイの人たちが怒るだろう。毛皮業界は、それと同じことをして本物のロリスの面目を潰しているのである。
まったくもう、「ロシアリス」なら、ちゃんと「ロシアリス」と表示しろよ!(本当はこれも通称で、本来は「キタリス」という種類らしいけど)「ロリス」 なんて書いたら、誰にとってもおいしいところのない、まったく無意味で馬鹿馬鹿しい偽装表示じゃないか。
これはプロでも誤解している人がいる(参照) ぐらいだから、過激な環境団体が誤解して、その結果つるし上げをくらったとしても、それは身から出た錆ってものである。こんな風だから、アパレル業界の体質はいい加減だなんて後ろ指をさされるのである。私は怒るというより、呆れてしまっているのである。
ちなみに、ロシアのリスは腹をすかすと犬をもかみ殺すそうだ(参照)。なんと空恐ろしいことである。
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