鳩山邦夫さんて、変な人だね
全員無罪となった鹿児島の「志布志事件」は 「冤罪とは呼べない」という鳩山法相の発言が、かなり話題になっている。
極めて冷静に受け取れば、確かに「厳密な意味での冤罪」ではないだろう。一度も有罪判決を受けていないのだから、「罪」を着せられたわけじゃない。「疑い」が晴れただけだ。
ただ、これは「言葉の解釈上の問題」 あり、法律で「冤罪とは」という定義がなされているわけでは、多分なさそうだし、広義にとるか狭義にとるかで、受け取り方はかなり違う。
後になって鳩山法相自身が「釈明」で語ったように、「冤罪」という言葉の厳密な定義を問題にしたいというなら、単純な理屈としてわからないこともない。ただ、彼自身が語った釈明の言葉というのは、東京新聞のサイトから引用すると、次のようなことである (参照)。
「冤罪という言葉は、全く別の人を逮捕し、服役後に真犯人が現れるなど百パーセントぬれぎぬの場合を言い、それ以外の無罪事件にまで冤罪を適用すると、およそ無罪というのは全部冤罪になってしまうのではないか」
なるほど、言いたいことはわかった。しかし、「無罪が全部冤罪」になったとして、そこにどんな不都合があるというのだろう? 一度逮捕、起訴されている限りは、「無罪になったんだから、冤罪だったんだ」という言い方をしても、とりたてて誰の不利益にもならない。
さらに釈明の中で、彼は「(冤罪とは)百パーセントぬれぎぬの場合」と言っている。この発言からは、「裁判所の判決は無罪でも、本当のところはわからんぞ」というニュアンスすら感じられる。もしそういう意味で言っているのだとしたら、法務大臣としては失格である。
苦労して無罪判決を勝ち取った人に対して、むちゃくちゃ失礼な言い方だ。釈明しようとして、言えば言うほどヤバくなるタイプの人である。
鳩山法相という人は、過去の発言をみても、「友達の友達がアルカイダ」とか、「アメリカ国防総省からご馳走になってた(これって、スパイじゃん?)」とか、 「なんでまた、ここでそんなこと言わなきゃなんないの?」と、思われるようなことを、得々として言う人である。
サッカーで、「ボールを受けちゃったから、適当に思いきりキックしておいた」みたいな感じの発言である。そこには「意図」とか「戦略」とかいうものが感じられない。ただ言ってみたかった、目立ちたかったというだけである。
決して馬鹿じゃないんだろうが、頭の中の回線の具合がちょっと普通じゃないんだろうなと思われる。
【同日 夜 追記】
鳩山氏が社民党の保坂展人氏への答弁として、発言を陳謝したという。
「今後、冤罪という言葉は公式の場では一切使うまいと思う。被告の方々が不愉快な思いをしたとしたらおわびしなければならない」 というのだが、なんという的外れな 「陳謝」 であろうか。
今後、公式の場で 「冤罪」 という言葉を使わなければならないケースが生じたら、どんな言い換えをするのだろうか? 「ぬれぎぬ」 とでも言うのだろうか?
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 韓国で大統領なんてやっちゃうと、やっぱり ・・・(2024.12.04)
- ロシアに移民したがるやつなんていないよ(2024.11.25)
- 「さいとう元知事」が「〜元彦知事」というセコい戦略(2024.11.23)
- 今回の兵庫県知事選挙の、世論誘導に関する大きな教訓(2024.11.18)
- 「腹ぼよーん」「だらし内閣」なんて言われてるらしい(2024.11.12)
コメント
『ブツギ』を醸し出す発言をする。
なんだかわざと発言して、(何事かから)視線をそらさせる作用でもあるのかと思いきや…。
ごまかされそうな政策は、特にないですよねぇ…?
投稿: オッチャン | 2008年2月15日 21:04
オッチャン:
昔の政治家の 「不適切発言」 や 「失言」 は、「ここらでちょっとかましといてやらんと」 みたいな 「意図」 が感じられたりしましたが、最近のは、「産む機械」 発言にしても、「言わんでいいことを、なんでわざさざ……?」 というのが多いですね。
投稿: tak | 2008年2月15日 21:27