ラーメン vs カレーライス
煩悩則道場の ululun さんが、 「カレーライスは日本の国民食から外れつつあるのか」という疑問に、とても論理的なアプローチをされているが、結論は 「わからない」 だそうだ。
私の直観的な印象は、「ラーメンばかりもてはやされすぎで、カレーへの関心が逸らされている」 というものなのだがどうだろう。
近頃、うまいラーメン屋が確かに増えた。私の学生時代は、ラーメンなんていうのは「街の中華料理屋」で供される、いわゆる「中華そば」が主流で、客としてもとくに「うまさ」なんてものは求めてなかったような気がする。腹が満たされさえすればよかったのだ。
ところが、いつの頃からか「ラーメン道」みたいなものがもてはやされてきて、いわゆる「中華そば」のイメージは廃れ、「ラーメン専門店のラーメン」というのが幅をきかせてきた。街を歩けばそんなような店が増えて、競合も激しくなった。おかげでラーメンの世界は裾野が広がり、ピークも高くなった。
ところが、その一方でカレーライスは取り残されつつある。カレーの世界は今でも、ラーメンが既に過去のものとしてしまった「中華そば」的なレベルから脱していない。「街の食堂の定番メニュー」に過ぎないのである。
「こだわりのカレー」というのを供する店もあるにはあるが、多くはその店の代表メニューというわけではない。中村屋の「カリーライス」にしても、今イチ、インパクトには欠けるきらいがある。
「カレー専門店」というのも、確かにある。しかし、ラーメン専門店ほどの激しい競争に晒されていないから、店ごとのこだわりというのが、ほとんど感じられない。わずかに「ココイチ」がチェーン店としての存在感を発揮しているが、ラーメンの世界ほどのレベルには至っていない。
この原因は、多くのカレーが「子供の味」に終始しているからだと思うのだ。インパクトに欠けるのだ。多くの店でいうところの「辛口」を注文しても、ちっとも辛くないじゃないか。カレーはいつまで経っても、「黄色いあんかけめし」から脱却できていない。
私は「辛くてうまいカレー」が食べたいのである。ココイチで言ったら 7辛レベルのもので、初めて「カレーを食った」という気がするのだ。カレーにこだわる客のニーズに応えるカレー店が少なすぎだ。
それから「ご当地ラーメン」があっても「ご当地カレー」というのがないというのも、カレーのマーケティングの限界を示している。イメージにラーメンほどの膨らみがない。
願わくは、本場もんの味を出せるインド人の店で修行した日本人が、「インド料理レストラン」ではなく、「昼飯に気軽に食える本物のカレー」といったようなマーケティングをしてくれることだ。そこからカレーの世界はどっと広がって、今のラーメンに対抗できるものになるような気がする。
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コメント
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カレーについてですが、札幌では始まりはいつからか知りませんが、今では数十を数えるスープカレーのお店がそれぞれしのぎを削っています。
私はまだ数店しか行っていませんが、それぞれアイデアあふれる味でした。
いつか機会があれば試してください。
投稿: とも | 2008年2月12日 10:30
とも さん:
>カレーについてですが、札幌では始まりはいつからか知りませんが、今では数十を数えるスープカレーのお店がそれぞれしのぎを削っています。
情報ありがとうございます。
この記事をアップしてから、「そういえば北海道にはスープカレーってのがあるらしいな」と、ちょっと気にかかってたのですが、今はそんなに増えてるんですか。知りませんでした。
私は食べたことないんですが、ちょっと期待できそうかもしれませんね。
投稿: tak | 2008年2月12日 11:11
>この原因は、多くのカレーが 「子供の味」 に終始しているからだと思うのだ。
食品メーカーが、さんざん「お家でカレー」を煽ったことが、遠い要因のひとつと考えます。
「今日はカレーよ!」と、「今日はラーメンよ!」の、夕食までの期待感は、どちらがアットホームかしら?
投稿: オッチャン | 2008年2月12日 12:37
うーん、たぶん家で作っても旨いかどうかあたりじゃないかなぁと思う。
インスタントラーメンは家で作っても”旨い”(もうすでに別な食べモノですからね)訳だけど、じゃちゃんとしたラーメン(生麺の)ってのが、家で作ると旨くない。
カレーは、本来インスタントラーメンに相当すると思われるカレーのルーが思いの外、旨いのではないだろうか?
日本のメーカーはなかなか優れたものを作ってしまって、逆に外食産業さんにしてみれば、
”ちょ、おまぇ、ご家庭カレーが旨すぎるってば・・・・”
と、ご家庭リーズナブルカレーと、お店カレーの強烈な差別化を図れてないような気がする。これはカレー屋の怠慢かもしれないw
でも、私も辛いカレーが好きなので、ココイチなら5倍あたり。家で食べるならレトルトの”Lee”の20倍か、夏限定の30倍あたりを好んで食しますw
”Lee”の20倍あたりからは、お家でカレーしてても
「うぉ、辛いカレーくったぁぁ」
という満足感は結構高いあたりがくせ者。
実は、本場カレーくらいの辛さのモノを好む日本人が比較的少ないからかもしれないなと。
ラーメンに比べて、本格カレーにした時に受け入れられる人数が少ないような気がする。
投稿: きんめ | 2008年2月12日 13:59
オッチャン:
>食品メーカーが、さんざん「お家でカレー」を煽ったことが、遠い要因のひとつと考えます。
うぅむ。板チョコみたいなのを割ってポンと入れるだけのカレーって、どれをとっても 「お子様味」 みたいな気がしますね。
私は若い頃、たまねぎを5個分ぐらいみじん切りして (涙涙の物語)、スパイスを自分で調合して、小麦粉ゼロのオリジナル・カレーを作ったりしてましたけど、今は、そんな時間取れないです。
悲しい。
投稿: tak | 2008年2月12日 16:11
きんめ さん:
>ご家庭リーズナブルカレーと、お店カレーの強烈な差別化を図れてないような気がする。これはカレー屋の怠慢かもしれないw
それはかなり感じます。
確実に、カレー屋の怠慢です (と、言い切る!)
>ラーメンに比べて、本格カレーにした時に受け入れられる人数が少ないような気がする。
それもあるんでしょうね。
競技人口 (?)が、野球とラグビーぐらい違うのかも。
投稿: tak | 2008年2月12日 16:14
ご無沙汰です。
大人のカレーは、密かに本場インドカレー、ネパールカレーなど、インド人、ネパール人等の店に、取って代わられています。そして、ランチには、女性がカレーにナンという組み合わせで、ライス(サフランライス含)を凌駕しております。なので、ライスカレーからカレーライスになった日本のカレーは、これからは、本場のカレーに移行して行くものと推察されます。そして、彼らには、チェーン展開をする力がまだなく、2年後くらいに、商社がどこかの有力インドカレーを経営するインド人組、チェーン展開をするでしょう。
とまぁ、これからの展望は、私見です。
また、毎日楽しい話題宜しく御願い致します。
投稿: ヒロ | 2008年2月13日 08:00
ヒロ さん:
おぉ、具体的な情報、ありがとうございます。
なるほどなるほど。
2年後ぐらいに期待することにします。
投稿: tak | 2008年2月13日 11:38