中国共産党の綱渡り
私はよく 「知らずに犯す罪は知って犯す罪より重い」 というお釈迦様の説法を引用するのだが、これとは別の文脈で、「知らせない罪」というやりきれない罪がある。
中国ネチズンたちのカルフールやケンタッキー・フライド・チキンの不買運動(参照)をみると、その罪の重さを感じる。
読売新聞の記事は、「ネット民族主義はエスカレートする一方」と伝えている。なるほど「ネット民族主義」とは、言い得て妙かもしれない。
そもそも、インターネットというツールは世界の幅広い情報を入手するのにとても便利にできている。その便利な機能のかなりの部分を削り、都合の悪い情報にアクセスできないように最適化したのが、中国のインターネット事情だ。
そのせいで、中国ネチズンたちはせっかくインターネットを使いながら、世界のスタンダードにアクセスできない状況におかれている。頭の中のバランスが崩れるのは当然で、それでフランス国旗にナチスのマークを描いたり、燃やしたりしている。
さすが「知らずに犯す罪」の真っ最中だけに歯止めがきかず、「ようやるわ!」というほどの無茶なレベルである。しかしこの件に関しては、罪の重さは少しだけ割り引いてあげなきゃいけないだろう。だって、彼らは知りたくても知らされないのだから。
一方、欧米滞在中の中国留学生らも、それぞれの滞在地でチベット独立反対のデモを繰り広げている。彼らは知ろうと思えばいくらでも知ることができるのに、そして多分知っているんだろうが、もろに中国共産党の立場に立った主張をしている。
そりゃ、欧米に留学できるなんていうのは党幹部とか、党と癒着した企業経営者の子弟なんだろうから、そうした行動に出るのも当然といえば当然だ。ただ彼らの場合は 「知って犯す罪」 だから、それなりに歯止めがかかっていて、滞在国の国旗を燃やすなんていう暴挙までには至らない。
そして内心は、「中国、今のままじゃ、やばいかも」ぐらいは思っているだろう。しかし彼らが帰国して指導者になった時、その危機感を反映した行動を取れるだろうか。おそらく、多くは外国での経験に目をつむって、体制側にきっちりと組み込まれてしまうのだろう。
しかし彼らは「知って犯す罪」を犯すわけなので、今の中国のような、どうしようもない状態を現出するほどの無茶は、避けようとするだろう。ただ、その避け方の程度が問題で、あまり真っ正直に避けようとすると、自らの存在意義まで否定してしまう。さじ加減が難しい。
いずれにしても、中国は共産党独裁を維持しようとする限り、難しい綱渡りを強いられるわけだ。いくら「知らせない」システムを構築しても、情報というのは少しずつ漏れ入ってくる。無理な体制が自己崩壊に向かうのは世の道理である。
中国に限らず、まことに難儀なことである。
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コメント
「多分知っているんだろうが、もろに中国共産党の立場に立った主張をしている。」は、知・親中派として言わせて頂くと必ずしも正しくありません。
例えば「欧米に留学できるなんていうのは党幹部とか、党と癒着した企業経営者の子弟」、「帰国して指導者になった時」とするのは、一体中国にはSクラスのメルセデスを運転手付きで乗るような裕福層が日本よりも遥かに多いことを考えれば、自費留学者数も日本人遥かに多いこととも矛盾しているのが理解出来るかと思います。
そしてその多くは共産党員ではありません。つまり、共産主義と今の覇権主義とは別けて考えるべきです。むしろ世界の問題は、彼らシナ人は伝統的な中華思想を信条としていて毛思想の長所を発展させようと考えていることでしょう。
情報の管理は、国民の生活・教育レヴェルが上がることで自由化できるものと思われます。むしろ、その情報の選択や利用ということでは、今後日本と同じ問題が教育面で生じてくるように考えますが、どうでしょう?
投稿: pfaelzerwein | 2008年4月22日 02:32
pfaelzerwein さん:
なるほど、今の中国の富裕層は、共産党幹部だけってわけじゃないということですね。
ただ、多くは共産党と何らかの形でつるんでいるということはあると思っています。(何しろ賄賂の国だし)
>情報の管理は、国民の生活・教育レヴェルが上がることで自由化できるものと思われます。
言葉足らずでしたが、私が言いたかったのは、むしろこのことによって、共産党の存在意義がぐらついてくるんじゃなかろうかということです。
「自由な共産主義」 って、あんまり想像できないんですよね。
投稿: tak | 2008年4月22日 10:53