何でも 「やりすぎ」 の中国的乱暴発想
またしても中国製衣料品のホルムアルデヒド残留問題である。前回(参照)のはニュージーランドからの情報で、まだ他人事的感覚があったが、今度のは国内のケースだ。
大阪の子供服メーカーの販売した Tシャツに残留したホルムアルデヒドで、ひどい湿疹ができたというのである。(参照)
前回の記事でも書いたように、ホルムアルデヒド自体は非常に水溶性の高い化学物質なので、水洗いすれば被害は防げる。しかし購入したばかりの Tシャツを水洗いしてから着るという消費者は、案外少ないだろう。
店頭で販売されていた Tシャツからも、基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されたというが、この物質は水に溶けやすいだけじゃなく、空気中でも容易に飛んでしまう (他に移染してしまう) 性質があるので、中国での出荷直前の段階での残留値はどんなに高かったかと思うと、かなり怖い。
ホルムアルデヒドは、繊維製品にハリをもたせたり、染料の定着をよくしたりする加工に用いられる。中国の場合は、服の見栄えのために見境なく大量のホルムアルデヒドを投入しているのだろう。
野菜を作るのに、農薬を見境なくバシャバシャかけまくっているのと同じ発想だ。要するに、何でもやりすぎてしまうのだ。
私は中国の縫製工場の従業員に、既にかなりの健康被害が生じているだろうと危惧している。中国の経営者がそこまで気を遣っているとは、到底思われないし。
一つには、彼らの「無知」が挙げられる。農薬や加工薬品を大量に使いすぎると健康被害をもたらすということを知らないか、知っていても、それほど切実な問題と捉えていないようなのだ。
彼らの「無知」は、コピー商品の氾濫においても指摘されるところである。中国税関当局は、中国のメーカーが有名ブランドのコピーは犯罪だと知らないで作っているケースが多いと指摘(言い訳)する。
しかし、今の世の中で 「知らない」 という言い訳は通らないのである。「知らずに犯す罪は、知って犯す罪より重い」というお釈迦様の一見奇妙に聞こえる哲学的指摘(参照)を、とことん納得させられる事例である。とくに国際的経済活動においては、常識を知らないこと自体が罪なのだ。
さらに大きな問題は、「作って売ってしまったらそこから先のことは知らん」という、彼らの基本的に乱暴な発想である。市場経済における「責任」ということを無視している。
「責任」を無視しても、「成長」することを選択しているのだ。途上国の経済においてはありがちなことだが、中国の乱暴さは、その影響力からして度を超している。そしてこの乱暴な発想は、今回のチベット問題の底流にもあると思う。
北京オリンピックの聖火リレーがヨーロッパで大混乱しているらしいが、それは中国の乱暴な姿勢が招いたものである。途上国的乱暴発想と、オリンピックで国威発揚しようという発想が、絶望的にバランスしていない。
聖火リレーの妨害行為を擁護するわけじゃないが、かなりの部分、中国の自業自得というものだ。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- メキシコのバンドがビザ差し止めで米公演キャンセル(2025.06.06)
- トランプは ”TACO”(タコじじい?)という一幕(2025.05.30)
- 「コメ買ったことない」なんてネタはヤバいよ、江藤さん(2025.05.20)
- 米国の「サマーキャンプ」というもの(2025.05.15)
- NHK から国民を守る党・立花孝志の「選挙ハック」(2025.05.11)
コメント
新品のカッターシャツやTシャツは、まず洗濯に出します。でないと、首周りなど痒くなります。
以前にもこのようなことをコメントしましたが、なるほど、振り返ってみると『Made in China』です。
(痒くなることは)体質だからと切り捨てられなくなりました。
注意喚起、自己防衛!
投稿: オッチャン | 2008年4月 8日 12:23
オッチャン:
多分ホルマリンに敏感な体質なんでしょうね。
もし引っ越しされる時には、シックハウス症候群にもご注意ください。
モデルハウスなんか見に行くと、頭痛くなったりする人もいますよ。
壁紙の接着剤とか、カーペットの染料などに含まれるホルムアルデヒドのせいで。
投稿: tak | 2008年4月 8日 15:35