人災としての杉花粉症
今年の杉花粉飛散量は、半端じゃないらしい。そのせいか、この春に花粉症デビューしちゃった人がかなり多い。
身近なところでは、我が家の末娘だ。ある日突然、グシュグシュしながら「ねぇねぇ、もしかして、これって花粉症?」と言い出したまま、立派な花粉症持ちになってしまった。
実は私も花粉症持ちである。元々アレルギー性鼻炎ではあるのだが、杉花粉の季節になると、それに輪をかけてひどくなる。とはいえ、ここしばらくはあまりたいした症状は出なくて、昨年あたりはもう治ったんじゃないかと思うほどだったが、さすがに今年はたまらないので、外出時にはマスクをしている。
ところでものの本によると、花粉症は英語で "hay fever" というなんてことになっている。「ヘイ・フィーバー = 干し草熱」である。英語の本場、英国では干し草で花粉症になるらしいのだ。
時は大航海時代、英国人たちは船を造るために森林を刈り尽くし、裸になってしまった土地に牛を飼うための牧草を植えた。英国の牧草地のほとんどは、元々野っぱらだったわけじゃなく、多くは森林を皆伐してしまったなれのはてなのだというのである。
で、英国の農夫たちは干し草を束にして運んでいるときに、妙に鼻水が出たり、熱っぽくなったりするのを自覚していた。それを称して "hay fever" と言ったわけである。もろに「干し草熱」だったわけだ。
だから "hay fever" と日本の「杉花粉アレルギー」は同じものじゃない。しかし共通点はある。元々はそんなに多くなかった植物を、人工的に増やしすぎたという点だ。このように人工的に不自然な増やし方をすると、人間の方が絶えきれなくてアレルギー反応を起こしてしまったりするらしい。
そういえば、私は以前「杉花粉と種の保存」というエントリーを書いている。戦後むやみに植えすぎた杉の人工林が、手入れの悪さで悲鳴を上げ、必死に種を保存しようとして無駄に花粉を飛ばしているのだという説もある。花粉症はかなりの意味で人災と言えるようなのである。
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