« 「信仰」と「信心」は似て非なるもの | トップページ | 減反見直し? 大豆と小麦? »

2008年6月 1日

外国人も日本人も日本をもっと知るために

ぱるぷんてにゅーすの 「外国人が日本に来る前に知っておくべき 10 のこと」 という記事がおもしろい。元ネタは "10 Japanese Customs You Must Know Before a Trip to Japan"
という記事のようだ。

こんなにもまともに、つまり偏見なく簡潔に日本の習慣を紹介した記事は珍しい。

まず、最初の 「敬い」 という項目は、"目上の人には必ず「さん」や「様」を必ずつけましょう" と締めくくられている。まあ、「様」はやりすぎにしても、日本人の名前を呼ぶときに「さん」をつけるというちょっとしたレシピは、外国人にとってかなり有効だ。

日本人の渡辺さんが米国から来日したスミス氏と、英語で会話するにしても、 「ミスター・ワァタナァビィ」なんて呼ばれるより、同じ 「ワァタナァビィ」でも「ワァタナァビィさん」なんて呼んでもらえると、とても気分がよくなって親密な気になったりする。そうすれば当然、スミス氏は日本滞在中に不愉快な思いをする確率が減る。

「箸」という項目では、「私たちが箸を流暢に使うと日本人は驚きます。ぜひあなたの箸使いで日本人を驚かせてみましょう」とある。まあ、今どきは日本食が世界中でポピュラーになっているので、箸を上手に使える欧米人が珍しくないことぐらい、日本人だって知っているのだが、この 「箸使い」がコミュニケーション・ツールとなるのは事実なので、どんどんやってもらいたいものである。

「玄関」の項目では、日本では多くの場合、玄関で靴を脱ぐ習慣があることを紹介している。この習慣は世界でも珍しいことなので、きちんと把握しておく必要があるが、「多くの日本人は念のためを考えて常にスリッパを持ち歩いています」というのは、ちょっと誤解じゃないかなあ。

「殺菌済みマスク」の項目では、多くの日本人がマスクをして街を歩いていることに驚いてはいけないということが書いてある。確かに、欧米人はあまりマスクをしない。誰かと会うときにマスクなんてしていると、下手すると「お前とは口をききたくない」というサインなんじゃないかと思われかねないので、注意が必要だ。

ただ、日本人がマスクをするのは、「風邪ごときでは休めない職場にいるからなのです」とあるが、まあ、それも確かにあるにはあるだろうけど、ほとんどの場合は花粉症対策なんだということを付け加えておいてもらいたかったなあ。

「入浴」というのは、かなり重要な項目だ。多くの外国人は、日本式の風呂にかなり面食らう。公衆浴場なんて相当にうろたえる。

私の友人のユダヤ人は、日本に留学して最初にホームステイした先で、「あなたは客人だから」と最初に風呂に入れてもらった際に、ガイドブックに書いてあった通り、浴槽の外で体を洗い、ゆったりとお湯に浸かってリラックスできた。あまりにもきちんと事前に学んだ通りにできたのですっかり満足して、風呂の栓を抜いて出てきてしまった。

だからこの記事にも、「プライベートなバスルームでも、勝手にバスタブのプラグを抜いてはならない。それは家主の特権である」という注意書きをつけておいてもらいたかったところである。

まあ、ちょっとした誤解や不足はあるにしろ、この記事はなかなかよくできていて、外国人が日本を知るためだけでなく、フツーの日本人が自らの文化がいかに珍しいものであるかを確認するためにも、かなり役に立ちそうだ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

|

« 「信仰」と「信心」は似て非なるもの | トップページ | 減反見直し? 大豆と小麦? »

比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

この記事を参考にして、ドイツに行く時にはお箸を持っていこうと思います。魚のムニエルを上手に食べたら驚くかしらね。

投稿: keicoco | 2008年6月 1日 09:58

keicoco さん:

なるほど。逆手にとって、箸使いを外国に持ち出してみるのも一興ですね。

私もやってみたいですが、自分より上手に箸を使う西洋人がいないか、心配です ^^;)

投稿: tak | 2008年6月 1日 14:29

外国にマイ箸持ち出し、面白いと思いますよ。
当時6歳の息子とドイツ旅行した時、デパート1階のチャイニーズレストランの窓際の席で食事をしていたら、道行く人が興味深そうに覗き込んでました。
どうして?と思ったら、息子が箸で焼きそばを食べていたのがすごく珍しかったみたいです。
小さな男の子が窓にべったり張り付いて目をキラキラさせていて、お母さんが慌ててひっぺがしていきました(笑)

投稿: karin | 2008年6月 1日 17:28

karin さん:

>外国にマイ箸持ち出し、面白いと思いますよ。

なるほど。
ナイフとフォークの国に行ったら、割り箸じゃないので、マイ箸は必要ないかと思ってましたが、エコ視点以外にも、コミュニケーション・ツールとしてモノを言いそうですね。

次に海外に行くときは、マイ箸持参で行きます。

投稿: tak | 2008年6月 1日 17:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 外国人も日本人も日本をもっと知るために:

« 「信仰」と「信心」は似て非なるもの | トップページ | 減反見直し? 大豆と小麦? »