お国のやり方は、おいといて
大阪府の橋下知事が職員との対話集会で、「国が考えていることは全然都道府県のためになっていない」と批判したそうだ。(参照)
「官僚が霞が関で現場を知らずに考えても、政策立案できない」と、なかなかまっとうなことをおっしゃったようなのである。はっきり言って、まったくその通りだと思う。
お国が新政策だの新規事業だの改革だのと大げさに言い立てる場合、そのベースとなる理論武装は、まあ、どっかの学者とか大手コンサル会社とかのブレーンがまとめた筋書きである場合が多い。
で、その筋書きというのは、学者とかコンサル会社とかがまとめたものだけあって、メジャーな論理で一貫している。で、ストーリーの最大公約数は、「従来の因習的な手法は限界に達しているので、新たなメソッドに沿った運営を大胆に取り入れなければならない」というようなところに落ち着くことになっている。
言われてみればその通りの、「正しい」筋書きの提案なのである。この正しさについて行けないものは、「負け組」になるのも仕方がない。どうして、みな「勝ち組」になる選択をしないのか不思議になるほど、まったくもって「ご無理ごもっとも」なのである。
ところが世の中というのは、いつも「正しい選択 をするとは限らないのだ。考えてみれば、今の勝ち組は、たまたま「正しい選択」をしたから、「勝ち組」たり得ているのである。
だが、過去に「誤った選択」をしたか、あるいは何も選択せずに成り行きだけでやってきたために「負け組」になっている「その他大勢」に、「お前ら、そんなことだからダメなんだ。ちゃんと正しい選択をすれば、もっといい目が見られるんだ」とけしかけても、それは無理な相談なのだ。
「正しい選択」とやらができるほどの能力と資力があれば、とっくにやっている。それができないからこそ、苦労を重ねているのだ。
ある中小企業の社長は言う。「お国の主催する経営セミナーなんかに出ても、『お前ら、これを理解しろ。理解できないやつは、滅びる』と説かれ、『ああ、だから俺んとこはうだつが上がらないのだ』ということがわかるだけで、帰り道はますます絶望的になるんですよ」
うんうん、その気持ち、よくわかる。
今、地方が不況にあえいでいるのは、中央が「正しい選択」やらをして、「勝ち組」と化し、地方を「その他大勢」に落とし込める構造になっているからである。中央を「大手企業」、地方を「中小企業」と言い換えても、ほとんどそっくりそのまま通じる。
だから、お国が中央の論理で立案した政策が、地方の役に立つことはほとんどないのだ。そうした構造から脱却する道は、「道州制」どころか、ちゃんとした「連邦制」に移行することだと思うのだが、それはいつのことになるやら、見当がつかない。
なにしろ、世の中はいつも「正しい選択」をするわけじゃないから。とりあえず、連邦制になると中央のお役人はメシの種が減るから、まともに取り組むわけがないし、役人がまともに取り組まなければ、国は決して動かない。
我々は、あまりお国のいうことに一喜一憂しないで、ぼちぼちやっていくしかないのである。
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