「お徳用」は、どうして「お得用」じゃない?
この前の日曜日、車を運転しながら TBS ラジオの「子ども電話相談室」を聞いていると、おもしろい質問があった。
「どうして『お徳用』の『とく』の字は、『得する』の『得』 じゃないんですか?」 というものだ。なるほど、そう言えば不思議である。これだから、子どもには油断できない。
普通に考えれば、「お得」な商品なのだから「お得用」でいいような気がする。しかし、商品のパッケージに「お得用」と表示されてしまうと、買う方は、それを選ぶのがなんとなくさもしいような気がしてしまう。
「お徳用」表記を「お得用」に変えたら、多分売上げが落ちてしまうんじゃなかろうかと思う。それで「お徳用」という表記にして、客をおだてているのだろう。つまり、ほとんど気分の問題である。
ネットで検索してみても、似たような見解が多い。それにストレートに考察しても、「徳」の字には「人徳」といったような精神的な意味合いの他に、「利益」という意味もあるから、厳密に言っても間違いというわけじゃない。
何しろ、漢字は中国でできたものだから、彼の地の価値観がうかがわれることが多い。あの国は、新年の挨拶に「新年快楽、恭喜発財」なんていうぐらいのものだから、かなり物質的なコンセプトが大好きなようなのである。チョー俗的なのだ。
まあ、そんなことで中国的価値観と日本的価値観が曖昧にごっちゃになって、「お徳用」という表記が一般的になっているというのが、正解だろう。
ちなみに、私はこの質問で「月極」という表記を連想してしまった。最近は「つきぎめ」と読めなくて「げっきょく」という会社の経営する全国チェーンの駐車場と思っている若い人もいるそうで、その誤解を避けるために「月決」という表記も増えているようだが。
これも「極」という字に「決めごと、約束」という意味があるとのことで、「月極」でいいんだそうだ。これなんかも、なんとなくモロコシ的価値観が無意識に混じっているような気がする。
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コメント
お邪魔します。オッチャンです。
『お徳用』は納得の範疇ですが、『お買徳』についてはいささかしこりが残ります。
スーパーの店頭で『お買徳』と書いてあると、『お買い上げいただくことが、あなた様にとって徳を積むことになります』と、暗に啓示されている気がして…。
決して間違っちゃいないんですが、なんだか納得がいきません。(ヘソマガリ発動中)
考えすぎですかねぇ…。
投稿: オッチャン | 2008年6月11日 12:26
オッチャン:
うぅむ、「お買い徳」 については、私もちょっとむっとします。
ちなみに、ググって見たら、
お買い徳 829,000 件
お買い得 1,470,000 件
でした。さすがに、「お買い得」 の方が一般的のようですが、「お買い徳」 もかなりがんばってます。
MS-IME でも ATOK でも、普通は 「お買い得」 にしか変換されませんから、「お買い徳」 は、わざわざ 「徳」 の字に変換し直しているわけです。
かなりの押しつけがましさですね。それを思うと、ますますむっときます。
投稿: tak | 2008年6月11日 13:01