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2008年7月13日

「夕立」「朝立」 を巡る冒険

夏の夕方にどっと降る雨のことを「夕立」というのはご存知の通りだが、その反対語を軽い気持ちで口にしてはならないというのは、放送業界に限らず、日本の常識と化している。

「朝立」 というのもれっきとした気象用語と聞いたことがあるが、これはまだ十分に裏が取れていないので、やはり注意が必要だ。

インターネットで調べてみると、随所に朝に降るにわか雨のことを「朝立」というというような記述がみられる。さらに、このページには、以下のような信頼すべき記述があるので、引用させていただく。

【朝立】(あさだち)

1.朝早く旅立つこと。早立ち。⇔夜立ち。
2.朝方に降るにわか雨。⇔夕立ち
<国語大辞典(新装版)小学館 1988.

ただ、残念ながら我が家には小学館の国語大辞典がなく、手持ちの辞書をすべて調べてみても、1. の意味ばかりで、2. の意味は載っていなかった。また、気象庁のサイトには朝に降るにわか雨 を「朝立」というという記述は見当たらない。

それだけに、私はこの言葉に関してはまだ慎重さを捨てるべきではないと判断している。さらに「朝早く旅立つこと」という意味で用いるにしても、表記は「朝発ち」としてくれれば、無用な誤解を防げるのにと思う。一部ではますます重大な誤解を招くとの指摘もあるが。

大体において「夕立」というのは 「夏の午後から夕方にかけ、にわかに降り出すどしゃぶり雨」のことをいうのであって、雷を伴うことも多い(参照)。 「ちょっとした夕立」なんて言う人がいるが、それは本来の意味からすれば、あり得ないのである。

そして、「朝ににわかに降り出すどしゃ降り」なんていうのもかなり珍しい現象なので、「夕立」という言葉は普及しても、「朝立」という言葉は、雨を表す言葉としてはあまり一般的ではないということになっているのだと思う。

「夕立」の語源は「夕方に降る雨」ということではなく、「夕立」は当て字とする説もみられる。こちらを初めとして、いくつかのページでは、「彌降り立つ(いやふりたつ)雨」が省略されて「やふたつ」になり「ゆふだち」になったと説明されている。

しかし、私はこの説はあまりにもこじつけっぽい眉唾と思っている。「夕立」の語は既に『万葉集』にも見られ、万葉仮名の表記は「暮立」である(参照)。この事実からしても、「夕立」は当て字というより、本来の意味とみる方が妥当だろう。

ところで「朝立」に戻るが、この生理現象はレム睡眠時に起きる一般的現象なんだそうだ。レム睡眠時に起きるものといえば、いわゆる「金縛り」がある(参照)。つまり、あれは「ちんちんの金縛り」のようなものなのだね。なるほど。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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