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2008年7月30日

決して使いたくない言い回し

世の中ではよく聞くけれど、なぜかどうしても違和感があって、個人的には決して使いたくないという言い回しがある。

その代表的なのが、例を挙げるときの 「○○であるとか、××であるとか ……」 という 「~であるとか調」 である。聞いているだけで、なんだか気恥ずかしい。

単に 「○○とか、××とか ……」 と、フツーに言えばいいのに、なんでまたご大層に、いちいち 「である」 を挿入しなければならないのか。単なる 「とか」 だけでは軽すぎるので 「である」 を付けるのかもしれないが、結局 「とか」 と言っちゃうのだから、その 「軽さ」 感が 「である」 とのギャップでますます増幅される気がする。

似た言い回しでも、 「○○ですとか、××ですとか ……」 だと、それほどの違和感は覚えない。多分、「である」 と 「とか」 の組み合わせがいけないのだと思う。口語の中に突然 「である」 なんていうご大層な言い回しをはさむから、妙にエラソーで気持ち悪いのだ。

そして、「であるとか調」 に抵抗がない人というのは、ことさらにその使用頻度が高いように思う。多分、口癖に近いのかもしれない。そういう言い方をすると、個人的に心地よいのだろう。なんとなくインテリっぽい気がするとかね。

ただ私としては、頭の中の CPU クロック数が低いので、次の例を口に出すまでの微妙な時間稼ぎを 「であるとか」 でしているだけという気がして、かえって 「インテリ印象度」 が下がってしまうのだよね。多分思い過ごしだろうけど。

それ以上に抵抗があるのが、「日本人の悪い癖」 という言い回しである。何か好ましからざることが発覚すると、決まって 「こういうところが、日本人の悪い癖なんですよね」 なんてエラソー に言う人がいる。

私なんか、そうした言い方を聞く度に、「そりゃ、別に日本人に限ったことじゃあるまいよ」 と思う。それどころか、「そういうことに関しては、日本人はずっとましな方だぜ」 と思うことさえある。

本当に日本人特有の問題なら甘んじて受けるけれど、そんなわけでもないことでそんな言い回しをされたときは、最近は 「欧米か!」 とつっこんで、ジョークに帰してあげることにしている。これはひとえに私の親切心からである。

それから、誤用のチャンピオン、「すべからく」 というのがある。先日の 「オールナイトチョメチョメ」 で、立川吉幸さんが 「"すべからく" はあぶないから、"おしなべて" と言うといいと教わりました」 と言っていた。なるほど、なかなか有効な言い換えメソッドである。

「すべからく」 が 「すべて、総じて」 の格調高い言い方だと思って、誤用する人が後を絶たないが、それは 「すべて」 とは全然関係のない言葉で、「すべきであるように」 といった意味の漢文の常套句である。

正統的な掛かり受けとしては、「すべからく~すべし」 ということにならなければならない。3年ちょっと前にも書いているが (参照)、正しく使ってしまうと、当たり前すぎておもしろくも何ともない言葉である。

この時にも書いているように、私は一生に一度でいいから、「すべからく」 を正しく、しかも一ひねりきかせた形で使ってみたいと思っているのだが、未だに果たせないでいる。

そうそう、「すべからく」 で思い出したが、「すべき」 を終止形として使うのが一般化してしまったことにも、私はまだ気持ち悪い思いがする。新聞などで 「~すべき」 なんて見出しを見ると、頼むから 「すべし」 と書いてくれと願ってしまう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

最近やっとこさ慣れてきた言い回し。

『でですねぇ、~』

 「それで、~」と、「~ですね、」と混ざった使い方だと思われる、「それでですね~」の短くなったヤツと思います。

 以前通っていた会社の若い娘さんが、頻繁に使っていましたが、転職して名古屋へ出てきても、当たり前に聴く言葉となりました。

 最初聞いたときは全く理解が出来ず、理解に及んだら『ぶん殴ってやろうか!』というぐらい腹が立ちました。

 「実はですねぇ、~」も、あまりなじめない言葉です。

投稿: オッチャン | 2008年7月30日 14:19

こんにちは。
私が昔からずっと我慢ならないのは「~してもらいたい」という言い方です。
「~してもらう」というのは、相手の御好意に甘えて何かをしていただく時に使うわけで、これを命令形にされると「あんた何様?」と思います。
おまけにこの言い方、態度のでかい人が尊大にもったいぶって命令する時に使うことが多いような気がするのですが・・・
政治家の皆さんとかね(笑)
普通に「~して下さい」と言えばいいのに。

投稿: karin | 2008年7月30日 14:53


ちょっとズレていますが、書きます

このごろ、NHK のアナウンサーまでが【見して欲しい】などというのです

正しくは当然【見せて欲しい】なのですが、これを頻発されると、唖然とします

これは、当世風の言い方なのでしょうか?
それとも関東の一部のなまりなのでしょうか?

私は関西出身なので【・・・見たく】という表現も気にかかるのです
【・・・みたいに】という場合に使うようです
わりに準公式の場でも使っていますよね
いいのかな?
わかりません


投稿: alex | 2008年7月30日 15:35

オッチャン:

>『でですねぇ、~』

私は書き言葉の中でも、割と平気で 「で、」 なんて書き始めちゃいますけど、話し言葉で 「でですねぇ~」 は、ちょっと気持ち悪いですね。

投稿: tak | 2008年7月30日 16:55

karin さん:

>私が昔からずっと我慢ならないのは「~してもらいたい」という言い方です。

う~ん、「お願い」 とか 「命令」 とかいうのじゃなく、普通一般に当然のこととしてそうすべきだろうみたいな時は、「~してもらいたいんだけどなあ」 なんて、婉曲表現しちゃいますけどね。

長谷川慶太郎氏なんかがよく使う 「これは、○○○ということとご理解頂きたい」 という言い回しも、ちょっと尊大に感じてしまいます。

投稿: tak | 2008年7月30日 17:02

alex さん:

「~みたく」 には、私もかなり抵抗があります。

その方面では、前にも書きましたが、キムタクの 「違げぇよ!」 は、絶対に許せません。

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2007/08/post_a4cc.html

投稿: tak | 2008年7月30日 17:05

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