ビジネス文書を手書きしろって?
関係先の団体のスタッフが、いくら経費を請求してものらりくらりと逃げ回る某社に、内容証明で通告書を送付するため、郵便局にどうすればいいのか聞きに行ったという。
郵便局では、文具店で専用の用紙を購入し、手書きのカーボン複写で、同じものを 3部作成しろなどと、大時代的なことを言われた。
「内容証明郵便を出すって、ずいぶん面倒くさいんだなあ。今どき、こんなもので手書きの複写しなけりゃいけないんだってよ」 彼は、帰りがけに文具店に寄って買ったご大層な内容証明用紙を前にして、溜息をつく。
私も 20年前に、あることで内容証明郵便を送ったことがあり、地元の郵便局で同じ説明を受けた。当時、既にほとんどの文書をワープロで作成していた私は、それを聞いて呆れ果て、「ワープロで 3部プリントアウトすればいいじゃないか」と言ったが、郵便局員は「日本法令の専用用紙で、手書きのカーボン複写が決まり」と譲らなかった。
手書きでないと、正本の複写かどうか証明できないというのである。それをきちんと見定めて割り印を押して証明するのが、あなたたちの仕事だろうと言っても通じなかった。手書きなら無条件に正本の複写と判断できるという理屈もよくわからないし。
その不合理が 21世紀の今の世の中になっても変わっていないことに、私は改めて驚いたのである。今どき、ビジネス文書を手書する会社が、どこにあるというんだ? まあ、おじいちゃんが社長という零細企業にはあるかもしれないが。
差出人と郵便局が保管する分と、宛先に届ける分の合計 3部の複写が必要というのは、当然のこととしてわかる。しかし、どうせ郵便局で割り印をして、正本の複写に相違ないと証明するのだから、カーボン複写だろうがワープロ文書のプリントだろうが、どちらでも構わないじゃないか。
大体、手書きなんかだと、文書を訂正するたびに二本線を引いて訂正印を押し、「○字訂正」とか、うっとうしいことを書き込まなければならない。馬鹿馬鹿しいったらないのである。
ちょっとむっときて、インターネットで検索して調べてみると、インターネットで内容証明郵便を作成して送る「電子内容証明 (e 内容証明)」というサービスのあることがわかった。しかし、これもよく調べると、利用者登録だの専用ソフトのインストールだのと、面倒な手続きがある。
しかも料金を支払うのに、クレジットカードがない場合は、「後納制度」の審査申請なんてものをしなければならない。個人ならクレジットカードは普及していても、中小企業でコーポレートカードを使っているところはごく少ない。
だが、後納制度を使おうとすると、たかだか 500円とか 1,000円とかの支払いのために、面倒な申請書類を作成しなければならず、さらに審査が済むまで数日待たされる。これじゃ使い物にならない。ますますむっとくる。
念のためさらに調べてみると、なんと実は、手書きのカーボン複写なんてする必要は全然なくて、ワープロで作成した文書を 3部印刷すればいいということがわかった。こちら のサイトだけではなく、多くの司法書士のサイトに行けば、ちゃんとそう書いてある。極端に言えば、メモ用紙に書いたものをコピーしてもいいんだそうだ。
じゃあ、なんで郵便局は、内容証明専用用紙を買って、手書きしろなんていう大時代的なことを言うのだ? 今どきの世の中なのだから、「ワープロで作成した文書を 3部プリントアウトしてください」という方が、ずっと一般的じゃないか。どうして、そうした当たり前の情報を提供できないんだ? 株式会社日本法令とつるんでるのか?
郵便局が民営化されてから、以前に比べてずいぶんサービスが行き届いてきたなあと、私は感心していたのである。ところが、やっぱりところどころにお役所の体質が残っているようなのだ。
体質改善というのは、本質的な部分まで行うにはかなり手間がかかるということがよくわかった。これは、自戒の意味も込めて言っていることである。
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コメント
こんにちは。
これは、その郵便局のその窓口担当者がどうかしていたのだと思います。
日本郵便のサイトにも内容証明郵便について説明がありますが、内容文書1通に謄本2通を添えて窓口へ出せば、用紙の大きさや筆記用具にはこだわらないと書いてあります。
つまりカーボンで写そうが、3枚プリントアウトしようが、コピーしようが、手書きで3枚同じ文面を書こうが自由のようです。
(ただ、謄本は5年保存するので、それに耐えうるものであることと、謄本には一行当たり文字数及び一枚当たり行数に制限があることが書かれています。)
投稿: 風花 | 2008年7月 8日 17:53
風花 さん:
>これは、その郵便局のその窓口担当者がどうかしていたのだと思います。
どうかしてる担当者が、結構多いみたいなんです ^^;)
投稿: tak | 2008年7月 8日 23:06