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2008年8月23日

インド、人口 11億人で金メダル 1個

今月 6日に「北京で終わってしまったオリンピック」なんて記事を書いたこともあり、私は今回のオリンピックに関心を示していないのだが、おもしろい記事を一つ見つけた。

人口11億、金メダル1個の秘密は?―インド」という記事である。うぅむ、確かに、インドとオリンピックは、親和性が薄い気がする。

この記事は、人口が 11億人もいるインドが、今回のオリンピックでは金メダルを 1個しか獲得していないことについて触れたものだ。今回だけでなく、インドはオリンピックではずっと目立たない存在らしい。以下に引用する。

シンガポールの「ストレーツタイムズ」 紙は 13日、インドは 1990年からオリンピックに参加しているが、今回のオリンピックまで個人での金メダルは獲得できていなかったと指摘し、国のスポーツ振興をはじめ、様々な原因があると報じた。

ちなみにこの記事の「インドは1990年からオリンピックに参加しているが」という記述は、「おいおい、ちょっと待てよ」と言わざるを得ない。シンガポールの「ストレーツタイムズ」紙って、「東スポ」 よりすごいと思ってしまう。

そもそも 1990年にはオリンピックが開催されていないし、それを考えると、「今回のオリンピックまで個人での金メダルは獲得できていなかった」というのも、まともに信用してはならないという気がする。詳しく調べている暇なんてないので、これ以上は突っ込まないけど。

この記事のクレジットには 「(翻訳・編集/岡田)」 とあるので、「岡田さん、その辺のウラ取りぐらい、しっかり頼むぜ」 と言いたいが、それを別としても、確かにインド人がオリンピックで活躍したという印象は全然ない。

人口数百万人という国でも、金メダルを結構取っているのに、11億人も人がいるインドが、そんなにも国際スポーツ界で活躍していないというのは、ちょっとびっくりだが、まったく意外かといえば、それほどでもない。

私はインド人の知り合いが多いというわけではないが、それでも、付き合いがないわけじゃない。私が「枝豆は熟してない大豆である」ということを知ったのは、インド人のおかげである。

あるインド人と枝豆をつまみながらビールを飲んでいたときに、「ところで、この 『エダマメ』って、一体なんなんだ?」 と実にしつこく聞かれ、仕方なく英語では何というのかを調べようと和英辞書を引いたら、 "immatured soy beans" (未熟な大豆)とあった。その時まで、私は枝豆が大豆であるとは知らなかったのである。

話が横道にそれたようだが、決してそうではない。彼らは、「エダマメ」って何だ? と、一見どうでもよさそうなことを、しつこくしつこく聞いてくるほどに、知的好奇心はものすごく豊富だという印象がある。しかしそのくせ、スポーツへの関心はものすごく低い。

上述の記事でも書いてあるように、「インドでは肉体よりも精神が重視されており、肉体は精神が一時的に宿るものだと見なされている」という文化的背景もあるだろう。

ヨガなんかで空中浮遊すると豪語したり、土中に何日間も生き埋めになってみせたり、サーベルを呑み込んだりと、かなりエキセントリックな芸当をしてみせるくせに、100メートルを 10秒足らずで走ったり、鉄棒でまわったりひねったりしてみせるなんてことには、ほとんど興味を示さないようなのだ。

今回の金メダル獲得種目にしても、男子射撃エアライフルという、どちらかといえば体力よりも精神的集中力の方が要求されそうな競技である。獲物を追っかけて撃つなんていう競技だったら、無理だったろう。

オリンピックのメダル獲得数に血道を上げるよりも、そんなことは横目で見ながら悠然と構えるというスタイルもあるのである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

あー、ちょっと調べたのですが1900年パリ大会からの参加みたいですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/India_at_the_Olympics

私もある韓国人から聞いたのですが、終戦後、連合国の将校がテニスをしているのを見て朝鮮の人達は口々に言ったそうです。
「何をやってるのか知らないけど、あんなに汗を流してお気の毒に」。

テニスを知らなかったというより、スポーツという概念自体殆ど無かったのだそうです。
考えてみると、スポーツ、とりわけ近代スポーツというのはかなり西洋的な発想で、オリンピックのメダルの数は西洋化のバロメータのような気がします。

今回のオリンピックで中国がメダルを幾つ取ったのか知りませんが、彼らがメダル獲得数を誇れば誇る程、「西洋化もいいけど、東洋思想の良いところも忘れないで欲しいなぁ」と思ってしまいます。

投稿: Adrienne | 2008年8月23日 21:34

Adrienne さん:

>あー、ちょっと調べたのですが1900年パリ大会からの参加みたいですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/India_at_the_Olympics

おぉ、ありがとうございます。
この記事を書いてすぐに仕事で外出してしまったので、ちょっと気がかりでしたが、おかげで助かりました。

ちなみに、リンク先には、「ただ一人の参加者のノーマン・プリチャードが、陸上競技で 2つのメダルを勝ち取った」 とあるので、「ほぅら、やっぱり、金メダルを取れてなかったというのは眉唾だったよね」 と、一瞬思ってしまいましたが、よく調べたら、それは銀メダルだったんですね。

http://en.wikipedia.org/wiki/Norman_Pritchard

>考えてみると、スポーツ、とりわけ近代スポーツというのはかなり西洋的な発想で、オリンピックのメダルの数は西洋化のバロメータのような気がします。

そうですね。
「スポーツ」 という言葉からして、東洋の言葉には翻訳不可能だと思います。
「運動」 という言葉とも、厳密には重ならないし。

ノーマン・プリチャードも、血筋はインド人じゃなくて英国人のようですからね。

投稿: tak | 2008年8月23日 22:55

又聞きですが
あるインド人が、どうしてインドはオリンピックを重要だと思っていないのかと聞かれて、僕らは頭で勝負するんだ。と答えたそうです。

本当の話かどうか解りませんが、最近の科学やIT技術の躍進ぶりからするとなるほどなぁと感じました。

投稿: 蝠樂亭 | 2008年8月23日 23:38


以前、たしかテレビで見たと思うのですが、インドには自前の「オリンピック」があるのです
と言っても、大げさなものではありませんが、それでもほぼ全国区の大会です
ただし、種目が実に「珍」なるものずくしで、生活臭があって笑ってしまいました
具体的には思い出さないので残念ですが
何しろあの「カバディ」のようなスポーツを作り出す国民ですから、古代ギリシャ種目と英国発祥の貴族スポーツが中心の本物オリンピックとは大違いです

かなりネットを検索しましたが一件しかヒットしませんでし
残念ながらそのリンクに失敗しましたが、なんでもトラクターの車輪にひかれての我慢比べだったようで


投稿: alex | 2008年8月24日 03:42

蝠樂亭 さん:

>あるインド人が、どうしてインドはオリンピックを重要だと思っていないのかと聞かれて、僕らは頭で勝負するんだ。と答えたそうです。

インド人らしいなあと思います (^o^)

確かに、あの人たちは、頭の勝負には自信を持ってると思います。
頭の中に、ものすごい複雑な世界をもっているように思えます。

投稿: tak | 2008年8月24日 08:34

alex さん:

>以前、たしかテレビで見たと思うのですが、インドには自前の「オリンピック」があるのです

ははぁ、さもありなん ^^;)

>残念ながらそのリンクに失敗しましたが、なんでもトラクターの車輪にひかれての我慢比べだったようで

カバディもびっくりですね (^o^)

そういえば、「アメリカ人もびっくり」 とか 「フランス人もびっくり」 とか言っても、あんまり迫力ありませんが、「インド人もびっくり」 と言うと、すごそうなイメージが、確かにあるというのが、インドのすごさですね。

投稿: tak | 2008年8月24日 08:37

お邪魔します。

>「インド人もびっくり」

 あっしらの世代は、カレーのコマーシャルでインプリンティングされた経緯があります。

投稿: オッチャン | 2008年8月28日 12:35

オッチャン:

>>「インド人もびっくり」

>あっしらの世代は、カレーのコマーシャルでインプリンティングされた経緯があります。

あれが、「スリランカ人もびっくり」 では、あんまりインパクトないかも ^^;)

投稿: tak | 2008年8月28日 19:08

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