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2008年8月22日

"Speedo" の正しい読み方

外国の固有名詞の読み方が難しいことについては、近頃 "中国人、韓国人の名前の読み方" と "「グルジア」が「ジョージア」であること"の 2つの記事で触れた。

この分野で、恥ずかしながらつい最近になって知ったのは、あのレイザーレーサーで注目の "Speedo" の正しい読み方である。

私は昔からずっと、このブランドは「スピードゥ」だと思ってきた。「ドゥ」の部分は「ドゥ・スポーツ」の「ドゥ」 、「イエス・アイ・ドゥ」の「ドゥ」である。くどいようだが、「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ」の「ドゥ」である。

英国の会社の "Speedo" というロゴを 30年以上も前に初めてみた時から、それ以外にどう読んだらいいのだと、 何の疑いも抱かなかった。これは "speed" と "do" をくっつけた造語で、まさにそこにこそ意味があるのだろうと、勝手に解釈してきたのである。

ところがよく調べてみると、これは造語なんかではなく、"speedo" という単語が元々あったのである。オンラインの英英辞書 Merriam-Webster に行ってみると、普通名詞としてちゃんと載っているではないか(参照)。もっとも、中世に使われた古語のようで、日本人の私が知らなかったのは無理もないのだが。

ただ、古語ではあるが「速度計」を意味する "speedometer" ("speedmeter" ではない)という単語に、今でも名残をとどめている。ちなみにこの発音は 「スピードメーター」ではなく、「スピーミタ」に近い(参照)が、そう表記すると、日本人は誰も理解してくれない。

また、その筋(バイクとか)では、省略して単に "Speedo" というだけで速度計のことを意味するようでもある。ふぅむ、何となく競泳水着のブランドに使うというイメージがわかってきたぞ。

そして、上述の Merriam-Webster のページでスピーカーマークのボタンをクリックして、ネイティブの発音を聞いてみると(ああ、便利な世の中になったものだ)、"speedo" の英国での発音は、「スピードゥ」ではなく「スピードウ」に近い。(最後の「ウ」が大きい)

"Speed" と "do" の合成語というわけじゃないのだから、当然にも最後の "o" は英語の定石通り、「オウ」 と二重母音で発音するのである。よって最後は「ドウ」であって、「ドゥ」ではない。

となると、日本語表記する場合は世間の常識通り、「スピード」 でいいんだろうなあ。例えば "potato" だって、二重母音を省略して 「ポテト」 と表記することだし。ああ、密かにではあるが、30年以上も 「スピードゥ」 なんて言ってきた自分が恥ずかしい。

というわけで、当の Speedo が、日本語サイトで「スピードインターナショナル」と自称しているわけが、ようやくわかったのである。Jaguar Japan  がやや日本に迎合して、自ら「ジャガー」 と表記している(参照)のとはわけが違うのだ。

自動車評論家の徳大寺有恒氏はあの通りペダンチックな方だから、昔から、「"ジャガー" ではなく "ジャグワ" と呼ぶべし」と主張されているようだが。

ちなみに、我が先輩、alex さんは、Vietnam を「ベトナム」ではなく「ヴィエトナム」と呼びたいとおっしゃっている。さすがに、商社に勤務されて初めての海外赴任地だけに、大きな思い入れがおありのようなのだ(参照)。

しかしその alex さんにして、「ヴィエトナム」では検索サイトで引っかかりにくいなどの事情を勘案して、近頃では心ならずも「ベトナム」の表記を受け入れておられる(参照)。ああ、多勢に無勢とは悲しいことである。

そういえば、私の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 なども、「ヴァーリトゥード」 のキーワードでググると 3番目に表示される (前はトップだったのに)が、その画面の上の方には「もしかして: バーリトゥード」なんていう余計なお世話が表示される(参照)。それを見るたび、私はむっときて「ヴァーリトゥードだよ!」と心の中でつぶやくのである。

ああ、 「スピードゥ」も、自分の心の中だけにとどめておいてよかった。知ったかぶりをして 「スピードゥと呼ぶべし」 なんてブログに書いたりしたら、とんだ恥をかくところだった。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント


>しかし、その alex さんにして、「ヴィエトナム」 では検索サイトで引っかかりにくいなどの事情を勘案して、近頃では心ならずも 「ベトナム」 の表記を受け入れておられる (参照)。ああ、多勢に無勢とは悲しいことである。
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本件、ぜひ言い訳させてください

たしかに私の最近のブログではヴィエトナムをベトナムと表記しています
しかしこれはベトナム・ヴィエトナム限定です(笑)

私はヴィエトナムでの想い出に特別の思い入れがあります
だから検索によって、同じヴィエトナム体験のある人に検索してもらい、私にアプローチしてもらいたい
(ネットでいくら探しても、さすがに?ブログを書いている人はいませんが)(笑)

だから例外的に、意図的にベトナムと表記しているのです
(いやいやながら・・・です)
これ以外の外国語については、できるだけ原語発音に忠実な表記を心がけています

もっとも、この問題は複雑ないろいろな要素がからんでいて一筋縄では行きませんね

投稿: alex | 2008年8月22日 14:42

alex さん:

>たしかに私の最近のブログではヴィエトナムをベトナムと表記しています
>しかしこれはベトナム・ヴィエトナム限定です(笑)

心中お察し致します ^^;)

>これ以外の外国語については、できるだけ原語発音に忠実な表記を心がけています

>もっとも、この問題は複雑ないろいろな要素がからんでいて一筋縄では行きませんね

外国語を自国の文字で表記するということ自体が、かなり無理矢理な作業ですからね。

投稿: tak | 2008年8月22日 15:16


>自動車評論家の徳大寺有恒氏はあの通りペダンチックな方だから、昔から、「"ジャガー" ではなく "ジャグワ" と呼ぶべし」 と主張されているようだが。
ーーーーー
私の経験からいうと、「ジャグワ」というよりは「ジャギュア」ですね
伊丹一三時代の伊丹十三もそう書いていた

もっとも英国の英語とひとくくりにしても、いろんな、すごい(笑)発音も、地域・社会的地位などによってありますから絶対これだ!と言いきれないのですが、少なくとも私のビジネス相手のエリート達はこう発音していた・・・と言うのにとどめます

投稿: alex | 2008年8月22日 22:19

alex さん:

>私の経験からいうと、「ジャグワ」というよりは「ジャギュア」ですね

私も 「ジャギュア」 的発音しか聞いたことがありません。
自分でも、そう発音する方が自然ですね。

投稿: tak | 2008年8月22日 23:26

アメリカのsitcomなどを観ているとspeedo(“スピードウ”と発音してますね)はブーメランパンツというのでしょうか、かつての競泳で見られた小さなビキニタイプ型の水着を指す一般名詞として使われていました。
それが最近、特に今回のオリンピックでは布面積が一気に増えて男子用のも全身を覆うようなタイプになっているので、speedoの意味も今後変わっていくのかなと思いました。

投稿: とも | 2008年8月24日 09:39

とも さん:

>アメリカのsitcomなどを観ているとspeedo(“スピードウ”と発音してますね)はブーメランパンツというのでしょうか、かつての競泳で見られた小さなビキニタイプ型の水着を指す一般名詞として使われていました。

どうもそのようですね。
味の素とかゼロックスとかと同じですね ^^;)

>それが最近、特に今回のオリンピックでは布面積が一気に増えて男子用のも全身を覆うようなタイプになっているので、speedoの意味も今後変わっていくのかなと思いました。

でも、今でもやっぱり面積の小さいのが多いみたいですから、変わるとしても、もう少し先かも。

投稿: tak | 2008年8月24日 19:53

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