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2008年8月28日

東アジアの序列メンタリティ

今月になって、"中国人、韓国人の名前の読み方" "「グルジア」が「ジョージア」であること"という 2つの記事を書き、コメントなどもいただきながら、見えてきたことがある。

それは、東アジア圏内の中国を中心とした序列意識と、東アジアが抱く「欧米コンプレックス」という問題だ。

まず、東アジア圏内での、中国を中心とした序列意識である。東アジアでは中華思想というのが、今でも確固としてある。そして中国を家長に例えれば、韓国は長男で、日本が次男というイメージを、少なくとも韓国人は強く持っているようだ。そして、そのあたりのメンタリティに最も疎いのが日本人である。

韓国内では日本海を「東海」、東シナ海を「南海」と言いたいようだ。そして、"Sea of Japan"(日本海)を "East Sea"(東海)に変えろと、国際社会でしつこくしつこく要求し続け、ちょっとあきれられてもいる。

しかし「日本海/東海」問題にはものすごくしつこく執着しても、"East China Sea"(東シナ海)を "South Sea"(南海) に変えろとは、ほとんど言っていないようなのだ。これからどう変わるかは知らないが。

これは、今のところは家長の中国には逆らわないが、長男として、次男の日本にだけはメンツを潰されたくないというメンタリティなんじゃないかという気がする。いつの時代も、上と下に挟まれた存在というのは、複雑なメンタリティになってしまう。

韓国人は、日本に対しては韓国人名を韓国発音で呼び、カタカナ表記もそれに準ずるように求めているのだが、中国に対してはどうなんだろう。その辺りの情報をもっていないので、どうなってるんだかよくわからない。

中国には表音文字がないから、韓国の発音を表記しようとしたら別の漢字を使うことになり、ややこしいことになると思うのだが。もしかしたら、家長には家長の読み方で読まれても仕方がないということになっているのかもしれない。よくわからないけど。

この辺の序列意識というのは、結構根深いものがあるようなのだが、一方の日本人は全然気にしていないところがあるので、韓国人にはちょっとストレスなのかもしれない。何しろ一時は、次男のくせに長男と家長の家にずかずか上がり込んだと考えてしまうのだろうから。

ただこればっかりは、「次男なんだから、だまって親と兄貴の言うこと聞け」と言われても困るしなあ。

近頃は "Koriginal" 問題というのがあって、韓国人が何でもかんでも「元々の発祥は韓国」と言いたがるのが揶揄されている。彼らが、空手や相撲や寿司の発祥が日本じゃなく韓国だと言い出しても、日本人の多くは「また始まった」ですましていられるが、「孔子は韓国人」なんて言われると、中国人は怒ったりする。

これなんかも、中華思想による序列メンタリティのなせる技だったりするかもしれない。そして、韓国の中にも儒教的束縛から逃れて、「孔子は韓国人」なんて、親に逆らうようなことを言い出すのが出現し始めているというのも、なかなかおもしろい。

そして次は、東アジア人の欧米コンプレックスである。これは、中国が日本人には 「シナ」 と呼ばれたくないが、"China" という英語表記を平気で公認していることに象徴される。「チャイナ」はフランス語読みしたら「シナ」である。

「中華思想」というのは、実は東アジア・ローカルで(つまり「内弁慶」で)、中国人は欧米人には案外弱いみたいなのだ。

そしてこれは、中国人だけではない、東アジア全体に言えることである(もっと言えば、東アジアだけというわけでもないのだが)。しかしこれは長くなりそうなので、明日にまわすことにする。

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コメント

韓国国内では、今まで韓国読みにしていた中国の人名地名でも中国語読みに倣った呼称に置き換える動き進んでるそうです。
でも、日本の「ペキン」とかと同じで、余りにも慣れ親しんだ呼び方は置き換えられていない様子。

中国の場合、現地語の呼び方に改めようとすると、自国内でさえ相手の出身地によって混乱をきたしそうですよね。

あと、これは日本の報道の判断なんだろうけど、
アテネの時、中国人だった選手が華人になるとカタカナ読みに変えられているのが印象的でした。

投稿: clark | 2008年8月28日 13:18


序列好きは、中華思想と言うより儒教の影響かも知れませんね

何でも韓国が初めて

『天皇も韓国人』も言ってますね (笑)
でもこれは本当でしょう
天皇家の出自は朝鮮半島というのは歴史家の定説

右翼だけが天孫降臨説ですが(笑)

日本人は輸入文化を自前に変質させてしまいますが、朝鮮人は芸が無くて(笑)そのまま生真面目に守りますね
儒教の受け入れ方を見るとそれが見える

漢語出自の韓国語もその時代の中国語の発音を反映しているはずですね(きっと)
日本で呉音・漢音・唐音とあるやうに

投稿: alex | 2008年8月28日 15:44

clark さん:

>韓国国内では、今まで韓国読みにしていた中国の人名地名でも中国語読みに倣った呼称に置き換える動き進んでるそうです。
>でも、日本の「ペキン」とかと同じで、余りにも慣れ親しんだ呼び方は置き換えられていない様子。

逆に考えると、慣れ親しんだ呼び方以外は、漢字の読み方がわからなくなってしまったので、中国語読みをハングルで表記するしかなくなったのかも ^^;)

>中国の場合、現地語の呼び方に改めようとすると、自国内でさえ相手の出身地によって混乱をきたしそうですよね。

まさに。
最近はマンダリンが標準語化しつつあるとか聞きましたが、広東人がいきなりマンダリンでしゃべれと言われてもこまるでしょうね。

>アテネの時、中国人だった選手が華人になるとカタカナ読みに変えられているのが印象的でした。

中国人が例えばアメリカに移住して、米国人として出てきたら、アルファベット表記をそのまま読むしかないんでしょうね。

日本人も、「グレート・ムタ」とかになるし。
(いや、あれは別の話か ^^;)

投稿: tak | 2008年8月28日 19:29

alex さん:

>序列好きは、中華思想と言うより儒教の影響かも知れませんね

それも多分にあるでしょうね。
それで、韓国人が一番序列を気にする ^^;)

>『天皇も韓国人』も言ってますね (笑)
>でもこれは本当でしょう
>天皇家の出自は朝鮮半島というのは歴史家の定説

いろいろと複雑な入り組み方があって、なかなか一筋縄ではいかないみたいですよ。

>日本人は輸入文化を自前に変質させてしまいますが、朝鮮人は芸が無くて(笑)そのまま生真面目に守りますね

芸があるかないかは別として、日本人は換骨奪胎して自前の文化にしてしまうのが上手ですね。

名作曲家というよりは、名アレンジャー。

>漢語出自の韓国語もその時代の中国語の発音を反映しているはずですね(きっと)

それと、訛りですね ^^;)

投稿: tak | 2008年8月28日 19:34

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