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2008年9月23日

私物 PC を仕事に使うなと言っても

日経コンピュータと日経 BP コンサルティングが 6月に実施した「仕事とノート・パソコンに関する調査」によると、6割以上が私物 PC を仕事に使っていると回答している (参照)。

その理由は、「会社からノート PC が支給されていない」が最も多かったという。ああ、日本の産業界って、まだこんなレベルなのだ。

多くの大手企業は今、情報漏洩対策にことのほか力を入れている。パスワード設定の徹底はおろか、私物 PC を社内に持ち込むことを禁止し、そればかりでなく、USB スティックなどの記憶媒体も持ち込み禁止、また、添付ファイル付きメールの制限など、かなり不自由な規則を制定しているところが多い。

聞けばその名を誰でも知っている某社は、社員が自宅で使っている PC のハードディスクの中身の調査を行ったそうだ。社員の一人一人の自宅に管理スタッフが訪問し、プライベートで使っている PC の中身をチェックしたという。しかも、社員個人の PC だけでなく、家族が使っている PC までチェックしたというから怖ろしい。

こんなことをしたら明らかにプライバシー侵害にあたるだろうが、「それが嫌なら、会社辞めろ」ってなものだったのかもしれない。逆に考えれば、会社の情報を自宅の PC に保存していた社員がそれを嫌って会社辞めちゃう方が怖い気もするが。

一方、中小企業は呑気なものである。社員は私物 PC を仕事に使い放題だ。それは上述の調査結果にあるように、「会社がノート PC を買ってくれないから」である。しかし会社に言わせると、「社員が好きで買った PC を使っているんだから、それでいいじゃないか」ということになりがちだ。

結局、私物 PC を使う社員の「ボランティア精神」ということになってしまっている。これは中小企業の IT 化の経緯を辿ってみてもわかる。

中小企業、とくに小規模な企業の多くは、IT 化の初期、社としての方針で進めたわけではなく、いわゆる「パソコン好き」の社員の個人的資質に依存して、ある意味「ボランティア」的に進行したという経緯がある。そのメンタリティが、今でも引き継がれているのだ。

IT に弱い経営者からすると、「社員が自主的に(本音は 「勝手に」)やったこと」 と思っているのだが、社員の側からみれば「経営者が何もしてくれないから、仕方なく必要に迫られてやった」のである。

そして今では、経営者からみれば「社員が勝手に」構築したシステムが、業務上、必要不可欠になってしまっていたりする。ところが、いくら必要不可欠のシステムでも、元は個人が作ったものだから、その社員がいなくなってしまったらブラックボックスになりかねない。

それどころか、社員が辞めるときに「これは私の私物ですから」と、会社で使っている PC を引き上げてしまったら、明日から業務に困ることになってしまったりする。

もしかしたら「ボランティア」で会社の業務システムを構築した社員は、その功績に対して正当な報酬がないので、会社の情報をそっと持ち出すぐらい、ごく当然の見返りと思っているかもしれないではないか。

とまあ、中小企業の世界では「私物 PC を仕事に使うな」というルールは、大手の世界では想像も付かないほどに非現実的なのである。下手したら情報はダダ漏れなのだ。

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