ギターを弾ける人の数
ちょっと前の話だが、地域のボランティア活動で、子どもたちの集いをしている人に、「みんなで歌う歌のギター伴奏をしてもらいたい」と依頼された。
こちらも暇な身ではないので断りたかったが、是非頼むという。それにしても、私がギターを弾くことをどうして知ったんだろう?
初めは「こんなオッサンでなくても、今どきギターの上手な若い人ぐらい、近所にいくらでもいるでしょう」と言ったのだが、なんと、近所では見つからなかったのだそうだ。まあ、「見つからなかった」ということが即ち「存在しない」ということとイコールではないのだろうが、それでもちょっと信じられない思いがした。
私は「ギターぐらい、誰だって弾けるだろう」と思っていたのだが、世の中ではそれはまだ特殊技術のようなのだ。
試しに楽器演奏人口という視点でググってみたら、「総務省統計によると、20歳以上の楽器を演奏する人は約 400万人」といった記述があちらこちらで見つかった。オリジナルの総務省統計は見つからなかったので、半信半疑だが、まあとりあえずこれをベースの数字としてみよう。
一方で、マイコミジャーナルがヤマハを取材した記事では、次のように記述されている。(参照)
同社によれば、音楽演奏人口は子供も入れると約700万人で、人口比でいうと6%程度しかいないが、楽器をやりたい人は6~7割いるといわれており、「強い潜在マーケット」(同社)と見られている。
子どもを入れると、一気に 300万人も増えるというのが驚きだが、まあ、学校教育とか「お稽古ごと」などを勘定に入れれば、それに近い数字になるのかもしれないと、一応納得しておこう。
で、その同じヤマハだが、別のトピックの文脈では「ヤマハの調べでは、国内のギター演奏人口は 650万人となっており ……」(参照) ということになっている。人口比率だと、5.4%である。ということは、ほぼ 18~19人に 1人はギターが弾けるということだ。
「ふ~ん、まあ、そんなところなのかなあ」とも思ったが、よく考えるとそれもちょっと怪しい。国内の楽器演奏人口が 700万人で、ギター演奏人口が 650万人だったら、楽器を弾ける人のうち、ほぼ 93%がギターを、あるいはギターも弾ける人ということになってしまう。
いくらなんでも、それはおかしい。身近にも、「ピアノは弾けるけど、ギターは弾けない」という人がいくらでもいるし。となると、この 700万人とか 650万人とかいう数字も、ちょっと「主催者発表」じみたものかもしれない。やっぱり、ギターを弾ける人間というのは、20人に 1人はいないのかもしれないなあ。
というわけで、実際に子どもの歌の伴奏をしてあげた時は、付き添いのお母さんたちに「やっぱり生伴奏はいいわねえ!」なんて、精一杯のお世辞を言われたが、こちらとしては、昔と比べると腕が落ちたことに、かなりのショックを感じたのであった。
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コメント
こんにちは。
学生時代に入っていたサークルでちょっとギターに触ってみましたが、手が小さくてFコードが押さえられなくてあきらめました。
ピアノも習っていましたが、これも手が小さいと大変です。
で、ギター演奏人口ですが・・・
私が住んでいるのは文中にも出てきたY社のお膝元ですので、ギターに限らず何か楽器のできる人は多いです。
でも、楽器会社の統計だから「売れたギターが650万台」ということかも(笑)
投稿: karin | 2008年9月 9日 16:33
ギターはやりたいやりたいと思ってて、実際に知人から譲ってもらった楽器もあるんですが、結局、他の楽器との兼ね合いで着手できていません。楽器とスポーツとか、種類の違う趣味なら掛け持ちできるんですが、楽器+楽器だと、同じような時間帯を奪い合うような形になってしまうので、どうもいけません。ま、そんなわけで「楽器演奏人口」には入れてもらえるはずですが……。
投稿: 山辺響 | 2008年9月 9日 17:30
karin さん:
>学生時代に入っていたサークルでちょっとギターに触ってみましたが、手が小さくてFコードが押さえられなくてあきらめました。
あきらめちゃいけません。チャレンジ、チャレンジ!
寺内タケシ (古い!) の手なんて、子ども並みの小ささですよ。
ピアノは子どもだって弾きますし ^^;)
そりゃ、手の大きい方が有利ですけどね。
(とくに、小指が長いのはすごいアドバンテージ)
>私が住んでいるのは文中にも出てきたY社のお膝元ですので、ギターに限らず何か楽器のできる人は多いです。
ほほう、そういうものですか。なんとなくわかる気もします。
もしかしたら、バイク乗りも多いんでしょうか?
投稿: tak | 2008年9月 9日 22:39
山辺響 さん:
>楽器とスポーツとか、種類の違う趣味なら掛け持ちできるんですが、楽器+楽器だと、同じような時間帯を奪い合うような形になってしまうので、どうもいけません。
なるほど、そうかもしれませんね。
指使いが共通する楽器だといけるんでしょうけどね。
ギターとベース、フルートとサックス、ピアノとオルガンとか。
投稿: tak | 2008年9月 9日 22:43
楽器で言えばやっぱりピアノ教室があるから、ピアノ人口が多いんでしょうかね。
中学の頃から私はギターを覚えましたけれど、そう言えばそのころにギター触ってたのって、同学年でやってるらしいというのは数人でしたね。
学校はブラスバンド部がありますから、ギター人口よりもブラスバンド人口の方が多そうな気はします(笑)ブラスバンドやピアノ人口から見るとギター人口はちょっと低そう。
でも、案外掛け持ち人口はありそうですよね。
一応、私もブラスバンドもやってましたから、ギターとホルンの演奏経験があると言えますし(笑)
投稿: きんめ | 2008年9月 9日 23:02
きんめ さん:
同じヤマハの調査なので、信用度にちょっと難があるかもしれませんが、ピアノの演奏人口はギターのそれの 3分の 1 以下で、200万人だそうです。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/0302/12/n_pianoh.html
やっぱり、ギターはお手軽だから、演奏人口が比較的多いみたいですよ。
投稿: tak | 2008年9月 9日 23:27
ピアノって、いわゆる習い事になって、先生につきますよね
ギターはその点中途半端で、自己流の人が多い
昔、サックスで挫折しました
サックス程優しい楽器は無いはずですけれど、音が大きくて東京ではスタジオ以外、練習する場所が無くて、怠け者の私はドロップアウト
でも、社会人になってから同じキー配列の楽器であるフルートを買ってあります
買ってあるだけなんですけれど・・・ (>_<);
投稿: alex | 2008年9月10日 01:49
alex さん:
>ギターはその点中途半端で、自己流の人が多い
そもそも、ギターはクラシックギターとフォークギターで、奏法がかなり違います。
別の楽器みたい。
で、そこに自己流が加わりますから、大変です。
でも、上達するにつれて、自然にオーソドックスな奏法に近づくというか、近づかないと上達できないというか、そんなところがありますね。
>でも、社会人になってから同じキー配列の楽器であるフルートを買ってあります
私は管楽器系はからきしダメで、フルートはいくら吹いてもまともな音になりませんでした (T_T)
投稿: tak | 2008年9月10日 07:41
ギターを弾きたいって、何となく男の子って誰でもそう思うのではないでしょうか?
(エアギターなんていうのは、その思いの局地かな?)
自分も詳しくはないんですが、サンタナやクラプトンのCDを聞いて弾きたいなと思いながら、
馬齢を重ねてしまいました。
今からやりたいと思うのですが、いまさら雑誌を買って一人で部屋で練習なんて言うのは、
恥ずかしいという思いが先に立って。。。
失敗をおそれずに、ピアノの練習をしている娘は偉いと思う今日この頃です。
投稿: 雪山男 | 2008年9月10日 09:00
ピアノ人口って思ったほど多くはないんですね。
小学校時代、校内の合唱コンクールなんかで大概クラスに一人はピアノ伴奏出来る女の子がいたので結構いるような印象がありましたが。
案外、隠れギタリストが沢山いるんですね(笑)
投稿: きんめ | 2008年9月10日 11:33
雪山男 さん:
>(エアギターなんていうのは、その思いの局地かな?)
エアギターなんて言葉のなかった昔、ウッドストックで、まさに 「元祖エアギタリスト」をやってたジョー・コッカーが、ローリングストーンのベストギタリストにノミネートされたことがありましたね ^^;)
>今からやりたいと思うのですが、いまさら雑誌を買って一人で部屋で練習なんて言うのは、恥ずかしいという思いが先に立って。。。
ウチの次女が、ぜぇんぜん弾けない状態から、今年の春頃からギターにチャレンジして、今はコードだけの伴奏なら、フツーにできるようになりました。
(私の指導がよかったのかどうか ^^;)
後は、ベースランやちょっとしたおかずなんかをつけられるようになるかどうかです。
いずれにしても、コードのジャンジャン弾きぐらいなら、すぐにできるようになりますよ。
投稿: tak | 2008年9月10日 13:18
きんめ さん:
>ピアノ人口って思ったほど多くはないんですね。
> 小学校時代、校内の合唱コンクールなんかで大概クラスに一人はピアノ伴奏出来る女の子がいたので結構いるような印象がありましたが。
私の印象では、小学校時代はいざしらず、高校ぐらいになれば、クラスにピアノを弾ける子が 1人いるとすれば、ギターを弾ける子は 3~4人はいるという感じです。
200万人と650万人という絶対数は疑問ですが、比率的には、しっくりきます。
投稿: tak | 2008年9月10日 13:21
うわー!すごい数のコメント。
音楽に関心が高いんですね。うれしいな。
「楽器を奏でるのは、人間に神が与えた恩恵なんだよ、君ィ・・。」というセリフを聞いたことがあります。
やりましょう。やりましょう。
私なんか、最近は、小学生なら誰でも持ってる「縦笛」にはまってます。
音はすぐ出るし、目指す気ならいくらでも奥は深いし、いいですよ。
takさん、いつかまたお手合わせしようね。
投稿: Mikio | 2008年9月10日 20:52
Mikio さん:
>「楽器を奏でるのは、人間に神が与えた恩恵なんだよ、君ィ・・。」というセリフを聞いたことがあります。
それは、本当にそうだと思います。
1億 2000万人のうち、400万人だか、700万人だかしか楽器を演奏しないなんて、悲しすぎます。
沖縄では、三線が弾けて踊りが踊れて一人前と聞いたことがありますが、それっていいなあと思いました。
それから、縦笛は本当に奥が深いですね。
投稿: tak | 2008年9月10日 22:23
50過ぎてバンド始めました。
30年近くギターを触ってなかったのに。
エレキやらアコースティックやら5本ぐらい買いました。
サンタナとかクラプトンとかやりたいなあとずっと思っていました。
昨年は念願の「レイラ」もライブでやりました。
ギターを始めると何十年も若返りますねえ。
老後の楽しみには一番じゃないでしょうか。
投稿: osa | 2008年9月10日 23:06
osa さん:
素晴らしいですね!
>ギターを始めると何十年も若返りますねえ。
まさに!
「何年も」 じゃなくて、「何十年も」 ですね!
投稿: tak | 2008年9月10日 23:49