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2008年10月14日

仕事のスタイル

近頃私は「ネズミ講とどう違うの?」など、経済についての暴論じみた記事を続けざまに書いたりして、もしかしたら、かなりの誤解を植え付けてしまったかもしれない。

念のために断っておくが、私は経済についてトーシロではあるが、いくら何でも、それほど無茶苦茶な経済音痴ってわけでもない。

トーシロはトーシロなりに、フツーの経済記事ぐらいはちゃんと理解して付いていくぐらいの基礎知識がないわけじゃない。私の主たるキャリアは繊維業界のジャーナリストとして積んだものだから、経済面の記者には遠く及ばないにしても、経済がどう動けばビジネスがどうなるかぐらいの最低限の知識もあるとだけは言っておこう。

ただ、どうしてもマクロな経済学からみるのではなく、ドブ板を渡りながらの虫瞰図(鳥瞰図とは逆)的な実感視点からみてしまう習性が身に付いていて、さらに繊維やアパレル業界というのはどちらかというと、今やマイナーな産業になってしまっているので、「いけいけドンドン」的な方向には傾きにくい体になってしまっているのだ。

というわけで、私は経済に関してはかなりの慎重派である。なにしろ、何十年もウハウハ言うようないい目を見たことがない。

学生時代は「高度成長」という美名に隠れた超インフレ期で、いくらバイトで稼いでも使いでがあるほどの金は貯まらなかったし、いざ卒業という頃には、オイル・ショックで、文学修士なんて肩書きは、就職には何の役にも立たなかった。

ようやく潜り込んだ繊維業界は、1985年のプラザ合意以後の円高で、一気に斜陽産業となり、一息つくはずだったバブル期には、外資系の団体に所属していたために、何の恩恵にもあずかれなかった。円高がどんどん進んでいたから、いくら外貨で資金を増額してもらっても、円に換えた途端にがくっとシュリンクしてしまうのだ。

こんなキャリアのおかげで私は、私は極々慎ましやかな金の稼ぎ方を身につける他なかったのである。周囲にちょっとした利益を生じさせたり、無駄を省いたりするお手伝いをしてあげて、そのおこぼれを頂戴するというスタイルだ。

コンペチターからシェアを奪ったり、潰したりするやり方ではないので、周囲の誰にも損はさせない。恨みも買わないから、何とか仕事も廻ってくる。これまでだって、大きく儲けることもなかったが、その代わりいきなり大損することもなく、それなりに食ってきたのだ。ということは、大正解ではなかったかもしれないが、大失敗でもなかったのである。

このスタイルを続ければ、最期には割ときれいに死ねるのではないかと思っているわけなのである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

金融工学なんて出てきて物作りってなんか時流に合わないみたいな風潮になっちゃいましたよね。
私は高校時代数学の追試常連でしたので、難しい金融工学とかは、さっぱりなのですが、確か
に金融業とかに比較して、経営効率は悪いかもしれないけど、物作りをやめてしまうとその国
は衰退するような気がするんですがね。
これは、紡績業の技術者だった祖父の請け売りですが。

今回の金融危機は、金融工学なるマネーゲームから、新興工業を支援する金融業、という
本旨に立ち返るときかもしれません。
もっともその余力が金融機関にあればの話ですが。

投稿: 雪山男 | 2008年10月14日 15:57

雪山男さん:

"Financial engineering" って、うさんくさい言葉です。

何にでも "engneering" をくっつけて、ちょっと気取った新しめのコンセプトのように装うのが、私の知ってる限りでは 20年ぐらい前から流行っているような気がします。

そのほとんどは、怪しげなコンサルタントがエラソーに言ってるだけのことです。

投稿: tak | 2008年10月14日 22:26

エンジニア…?
エンジニアは『額に汗して』働くものだ!

投稿: オッチャン | 2008年10月15日 12:47

オッチャン さん:

>エンジニアは『額に汗して』働くものだ!

わはは (^o^)
彼らは、「エンジニアリング」を信奉する investor ですから、あんまり額に汗しませんね。

投稿: tak | 2008年10月15日 12:52

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