コーヒーと缶コーヒーは全然別物
世の中ではかなり大量に流通しているのに、個人的には一度も買ったことがないという商品が、誰でも一つや二つはあると思う。
私の場合、その代表的なのが「缶コーヒー」というものだ。昨日の話題の「カップ麺」は年に 1度ぐらい買うこともあるが、缶コーヒーだけは買ったことがない。
そりゃ、飲んだことはある。最初に飲んだのがいつかというのはとっくに忘れてしまったが、とにかく かなり若い頃である。何かのイベントに参加し、飲み物として配給されたものを飲んだのだと思う。
一口飲んで、「うっ、あまっ!」と思った。残しては処理に困るので、仕方なく飲みきったが、もう二度と飲むことはあるまいと思った。
私は Mikio さんのように商売にしてしまうほどのこだわりではないが、一応かなりのコーヒー好きである。コーヒーショップではホット・コーヒー以外のものを注文するという発想がない。多い日は、1日に 5杯も 6杯も飲むことがある。そして、飲むときはほとんどブラックである。
たまに気が向いてミルクを入れることもあるが、砂糖は絶対に入れない。基本的に「どうして苦みのおいしい飲み物を甘くして飲む必要があるのだ?」と思っている。それに砂糖なんか入れたら、後で口の中がべとべとして不愉快になるじゃないか。
その後、10年ぐらい前に、また何かのイベントで缶コーヒーを配給された。缶には「微糖」と書いてある。これなら飲めるかもしれないと思い、一口飲んでみたが、やっぱり甘すぎる。世間ではこの程度で「微糖」というらしい。じゃあ、普通の缶コーヒーなんて、どんなに砂糖が入っているかしれたものではない。恐ろしい限りである。
さらに、4~5年前に「無糖」というのを配給された。砂糖が全然入っていないなら大丈夫と思い、一口飲んだら、今度は「まずい」のである。出がらしの味しかしない。何が悲しくてこんなものを飲まなければならないのかというような味である。
というわけで、私は自分の金を出して缶コーヒーなる商品を買おうという気には、全然なれないのである。
私はこれまで、コーヒー好きの中の一部が缶コーヒーを買うのかと思い、それが不思議でしょうがなかったのだが、その認識がどうやら間違っていたようだと、近頃思い当たった。コーヒーと缶コーヒーは別のカテゴリーに属するものだと理解する方が、世の中の不思議な現象を解釈しやすい。
実際には「ブラックコーヒー好き」「フツーのコーヒー好き」「缶コーヒー好き」というのがいて、2番目と 3番目は少しはオーバーラップするかもしれないが、基本的にはそれぞれ別の人たちなのではなかろうか。
ブラックコーヒーと缶コーヒーの両方好きな人というのがいるとしたら、それは多分、まったく別の飲み物と割り切っているのだろう。缶コーヒーをコーヒーと思っていては、到底手が出せない。
表示を見ても多くは 「乳飲料」 になってるみたいだしね。念のため Wikipedia で缶コーヒーの表示の定義を調べたら、次のように説明されていた。(参照)
製品内容量100グラム中の生豆使用量
- コーヒー
- 5グラム以上
- コーヒー飲料
- 2.5グラム以上5グラム未満
- コーヒー入り清涼飲料
- 1グラム以上2.5グラム未満
喫茶店などで供されるコーヒーの場合、100グラム中の生豆使用量は約10グラム程度とされるため、濃度規格をもっと上げるべきだという意見も挙げられていた。しかし、飲用するシチュエーションが異なる缶コーヒーとレギュラーコーヒーを同列で比較するのは無理があるという観点から、当範囲内に収めるのが妥当という結論に至っている。
「コーヒー」 と表示された商品でも 「生豆使用量 5グラム以上」 と規定されているということは、かなり太っ腹に使ったとしても 7グラムいくかいかないかだろう。フツーの喫茶店は 10グラムというのだから、半分もけちっては、出がらしの味しかしないのも道理である。
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コメント
私もコーヒーが好きなのですが、おっしゃるように缶コーヒーは別な飲み物という認識ですし、
そもそも通常は飲みません。
ただし、スキー等で体の冷えたとき暖かくて甘い、たとえばココアのような飲み物という形
だったら飲もうかという気になります。
あの砂糖の量は、半端じゃないんでしょうね。
それと、必ず含まれている香料というのも気になりますしね。
投稿: 雪山男 | 2008年10月30日 13:49
ドリップしたブラックコーヒーをたまに入れて飲みますが、確かに私は缶コーヒーとドリップは違う飲み物だと思って飲んでますね。ドリップして作ったアイスコーヒーも、明らかに缶コーヒーの無糖とは別の味です(笑)
趣味で生パスタを作って食べますけれど、これもスーパーで売ってる乾麺とは違う食べ物だと思って食べますね。
これらは、違うものであって、どちらが良いとか悪いとかではなく、単に利便性と好みの問題だと思うしかありませんね、インスタントコーヒーも含めて。でもtakさんがおっしゃるように缶コーヒーの無糖は私も美味しくないと思います。
砂糖を入れる入れないもまた、”好み”の部類でしょうね。私自身は普段はブラックでの飲む事も多いですが、ミルクと砂糖を入れたカフェオレも好きですし、同じ苦みを楽しむ飲み物の紅茶でロイヤルミルクティなんてのも結構好きです。
疲れた時なんかには、そういう少し甘いものの方がストレートのものよりも美味しく感じますね。
投稿: きんめ | 2008年10月30日 13:56
きんめ さん:
>ドリップしたブラックコーヒーをたまに入れて飲みますが、確かに私は缶コーヒーとドリップは違う飲み物だと思って飲んでますね。
レギュラーとインスタントと缶コーヒーは、全部別のものと思う方がいいかもしれませんね。
>趣味で生パスタを作って食べますけれど、これもスーパーで売ってる乾麺とは違う食べ物だと思って食べますね。
近頃、スパゲティとそばは、高いのを買えばかなり生麺に近い風味になりましたが、それでも、やっぱり越えられない一線というのがあるように思えます。
>缶コーヒーの無糖は私も美味しくないと思います。
これ、単純に豆をケチっているせいとはね ^^;)
>私自身は普段はブラックでの飲む事も多いですが、ミルクと砂糖を入れたカフェオレも好きですし、同じ苦みを楽しむ飲み物の紅茶でロイヤルミルクティなんてのも結構好きです。
私はカフェオレも、砂糖を入れないのが好きです。そして、紅茶は決して嫌いというわけじゃないんですが、取り立てて好きでもありません。
それで、いつも 「嫌いじゃない紅茶」 よりは、「好きなコーヒー」 を選択してしまいます。
そういえば、この 20年ぐらい、紅茶というものを飲んでいません。
私のいない時間帯に、妻がよく紅茶を飲んでるみたいで、そのせいで我が家全体の紅茶消費量は少なくないんですがね。
(私がいるときは、妻もコーヒーを飲むので、私は妻が紅茶を飲んでいるのを目撃することが滅多にありません)
紅茶の国、英国でも近頃では、若者はコーヒーを好む傾向にあるらしく、私としては、「ほうら、やっぱりね」 なんて思ってます ^^;)
投稿: tak | 2008年10月30日 14:20
祖父が生前缶コーヒーをよく飲んでいました。
味を楽しむというよりは、気付けとして車の運転前なんかに飲んでいました。おまじないみたいなものですかね。
缶コーヒーの味に関しては大体同じ感想です。物凄く甘いか、出がらしみたいな味ですよね。
コーヒーと紅茶なら自分は紅茶の方が好きかな。紅茶の香りに癒されます。
投稿: 夜の指揮者 | 2008年10月30日 14:59
雪山男 さん:
レスの順序が逆になりましてすみません。
近頃、ココログのコメント数の表示がちょっとおかしいみたいで、いくらコメントが増えても「(1)」 のまんまだったりします。
すると、こちらも一番下に表示されたものしかないと判断して、その上に表示されたコメントを見逃したりしまして、大変失礼しました。
今、@nifty に改善を申し入れているところなんですが、音沙汰なしです。
>ただし、スキー等で体の冷えたとき暖かくて甘い、たとえばココアのような飲み物という形だったら飲もうかという気になります。
私も、ココアなら甘くてもおいしく飲めます。
不思議なものですね。
コーヒー プラス 甘さ という味は、私の味覚データベースからはじき出されてるんだと思います。
>それと、必ず含まれている香料というのも気になりますしね。
「コーヒーならコーヒーそのものの香りで勝負しろ」 といいたくなるところですが、そもそも、豆をケチっているので、それができないんですね。
投稿: tak | 2008年10月30日 15:17
夜の指揮者 さん:
>祖父が生前缶コーヒーをよく飲んでいました。
>味を楽しむというよりは、気付けとして車の運転前なんかに飲んでいました。おまじないみたいなものですかね。
何となくわかるような気がします。
コカコーラが米国で売り出された頃は、頭痛に効くなんて言われていたらしいです。
それよりは、まだ効果がありそう。
>コーヒーと紅茶なら自分は紅茶の方が好きかな。紅茶の香りに癒されます。
私の妻も、どっちかといえばそうなのかもしれません。
投稿: tak | 2008年10月30日 15:22
甘い奴はともかく、「無糖」に関しては、使っている豆の量の違いもあるんでしょうが、温度とか「缶の飲み口と唇の触感」とか、飲料とのインターフェースとでも言うべきものも関与しているのではないかと思います。
たとえば、上質のカップに入れてきちんと温めて飲めば、それなりに飲める可能性もあるかと。
……って、すでに「缶コーヒー」である意味を失ってますが(笑)
投稿: 山辺響 | 2008年10月30日 17:53
山辺響 さん:
>たとえば、上質のカップに入れてきちんと温めて飲めば、それなりに飲める可能性もあるかと。
うぅむ、そうするとますます 「出がらし感」 が浮き彫りにされるおそれもあったりして。
>……って、すでに「缶コーヒー」である意味を失ってますが(笑)
その通りですね。
缶ビールをグラスに注いで飲むというのとは、ちょっと違う気もします。
ところで、今日、帰りの電車で 「コーヒー豆 170%」 という宣伝を目にしました。通常の 170%の量のコーヒー豆を使ってるんだそうです。
http://homepage3.nifty.com/tak-shonai/y_cracks/image/08/10coffee.jpg
でも、だまされません。
今日の今日ですから。
5グラムの 170%は、8.5グラムで、それでもまだ、フツーの喫茶店より 15%ケチってるというわけですね。
投稿: tak | 2008年10月30日 19:01
いやいや、コーヒーで盛り上がっていますね。
で、私が知っていることを一つ申し上げると、缶コーヒーに使う豆は、選別工程で落としたものを深炒りして使っているということです。
量より、さらに質が違うんです。
だから香料なんか使うのです。
1缶1,000円くらいするんだったら、プレミアムグレードの豆を使えるかも知れませんが・・・。
投稿: Mikio | 2008年10月30日 20:50
Mikio さん:
な~るほど、質も量も違うというわけですか。
道理でね。
>1缶1,000円くらいするんだったら、プレミアムグレードの豆を使えるかも知れませんが・・・。
それだったら、自分でドリップしますね ^^;)
投稿: tak | 2008年10月30日 23:04
わたしも普段は缶コーヒー無視です。甘すぎて。
でも自動車教習所に通っていた時に飲んだジョージアはおいしかったなぁ。たぶん意地悪な教官から解放されてホッと一息、甘味が疲れをいやしたのでしょう。
投稿: sato | 2008年10月31日 00:06
sato さん:
>でも自動車教習所に通っていた時に飲んだジョージアはおいしかったなぁ。たぶん意地悪な教官から解放されてホッと一息、甘味が疲れをいやしたのでしょう。
「腹がすいていれば、大抵のものはおいしい」 ということを想起しました。
よっぽどのストレスだったんですね。
ご苦労様でした。
投稿: tak | 2008年10月31日 08:47
コメントの流れ的に、コーヒー好きの方が多いようですけれども。
私はコーヒー飲めません。
いやまあ、口に含んだら吐くと言うほどでもないので、出されたら飲みますけど。
自ら進んで飲もうとはしません。
でも、缶コーヒーの甘いやつなら飲めます。
微糖とか無糖とかブラックとかではなく、ミルクと甘味料バリバリのすごいヤツです。
まあそういう意味で、方向は違えど結局、普通のコーヒーと缶コーヒーは別物なんですけど。
缶コーヒーの中でも甘いのとそうでないのは別だとも言える(笑)
投稿: 風花 | 2008年10月31日 08:53
風花 さん:
>まあそういう意味で、方向は違えど結局、普通のコーヒーと缶コーヒーは別物なんですけど。
確かに。
>缶コーヒーの中でも甘いのとそうでないのは別だとも言える(笑)
なるほど。
そう考えると、缶コーヒーの 「無糖」 って、缶コーヒー好きとブラックコーヒー好きの両方を裏切っているわけですね。
投稿: tak | 2008年10月31日 09:56
ふと「的を得る」の論議って今はどうなってるのかな?と気になって検索したのですが、
こちらのログを見てtakさんの文章に興味を持ち最近の記事を読ませて頂きました。
ドリップコーヒーを飲み始めて1年程しか経っていないせいか、
恥ずかしながら「コーヒー」も缶コーヒーも両方おいしいと思ってしまう初心者でございます。当然ブラックです。
近頃、300~400ccの大容量の缶コーヒーが販売されておりまして(150円程度)、
確かにこれは出がらしのような味だと思います。ただ、190ccのものは結構おいしいと思っております。
喫茶店のコーヒーよりおいしいと思うものもありました。
私が使ってるコーヒーは安物ですので、「コーヒー」も別物があるのかもしれません。
主観的にはこんな感じです。
「コーヒー」
↑
コーヒー(私にとっての)・缶コーヒー
↑
インスタント・大容量のコーヒー
主観の中に他人の感想を含めて意図の不明な順位となっておりますが(笑)、要はtacさん方のレベルの(レベルで?)コーヒーを飲めるようになりたいものだということです。
投稿: ぽい | 2008年11月 4日 08:55
ぽい さん:
ようこそ。
私だって、実際のところは単なるがぶ飲み派ですよ。豆の違いまできっちりとわかってるわけじゃありません。
面倒なときは、インスタントで済ませるし。
インスタントも、やっぱり 「コーヒーによく似た別の飲み物」 って感じですけどね。
吟醸酒とワンカップ大関ぐらいの違いと言っていいかもしれません。
投稿: tak | 2008年11月 4日 10:14