"You had better ~" という言い回し
教科書英語では 「~した方がいい」 を "You had better ~" と教わったが、それを実際の会話で使う場合は注意が必要ということが、最近ようやく少しは知れ渡ってきた。
これはかなり強い言い方で、下手すると 「~する方が身のためだ」 といった強制・脅迫的なニュアンスまで含まれる。
日本語の「~した方がいい」というそれほどきつくないニュアンスを表現するには、通常は、"You should ~" という言い回しをする方が無難だ。学校英語では、これは命令的言い回しであると教わったが、命令的なニュアンスは "You had better ~" の方が比べものにならないほど強い。
また、人にものを頼むときは "Will you ~" と言えばいいと教わったが、私は実際の場面ではこの言い回しを使ったことがない。丁寧に頼むときは、大体 "Would you ~" や "Could you ~" を使う。大抵の場面ではその方が確実に無難みたいなのだ。
とまあ、ことほど左様に学校英語は注意が必要だ。私は原則的には、別に英会話スクールなんかに通わなくても、学校英語だけでも十分いけるとは思うのだが、時として実際の会話の場面では使えない言い回しを、しかつめ顔で教えられていたりする。
で、 あまり使わない方がいい "You had better ~" という言い回しだが、私は過去に一度だけ、確信的に使ったことがある。
以前、外資系の団体に勤めていたときのこと、韓国支部からかなりべっぴんの若いキャリア・ウーマンが日本に出張してきた。ある日、仕事が終わって彼女を含む数人で食事をしたとき、彼女に "Do you like it?" (おいしい?) と英語で聞くと、彼女はなんと、「ミャー」 と答えたのである。
一瞬、眼が点になってしまい、"Who told you that word?"(その言い方、誰に教わった)と聞くと、「名古屋支局の I さん」という。やっぱり! よくよく聞いてみると、I さんは彼女に、"delicious"(おいしい)のお洒落な日本語は「ミャー」、"very delicious" (とてもおいしい) は「ドェリャミャーテカンワ」だと教えたらしい。
私は躊躇することなく(もちろん、冗談めかしてだが)、"You'd better forget that." (それは忘れた方が身のためだ)と彼女に言ってあげた。"Because, I-san can't be serious after five." (なぜならば、I さんは、5時を過ぎたら真面目でいることのできない男だからである)
あの場面では、あのくらいしっかりと言っておいた方がよかったと、私は今でも思っているわけなのである。
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コメント
tak-shonai さん
韓国のべっぴんさんに対するコメント
お洒落ですね~
英語を使うからにはこれくらい洗練されたセンスで応答したいですね~
実は私、英語に限らずですが、学生時代、まともに勉強をしたことがありません
いつも綱渡りの学生生活でした(笑)
勉強に興味が持てなかったのです
だから
You had better ~ も、tak-shonai さんにそういわれれば、そういうのがあったな~などと、一応、覚えてはいるのです
ただし私も実際に使った事がありません
実生活で聞いた事がなかったからだと思います
私の英語は相手の使った英語を少しずつ覚えてゆくという、受け身のものだったという事が、今、わかりました
(遅いっ!)(笑)
ていねいに頼む時は、やはり
Would you please ~
Could you please ~
英国では、それでOKでした
Will you ~ は、それらに比べてちょっと強めなのではないかな?
(Please をつければ、ほぼ、おなじかも知れませんが)
以前、「ある」女性から、「あること」を言われた上に
Will you ? 「~してくれるわね?」
と、最後に「強く」言われた時の状況から判断して、多分、そうだろうと思うのですが
(>_<);
投稿: alex99 | 2008年10月 8日 11:28
語学って言うのはその背景にある文化やマナーまで覚えないと、大変なことになりますよね。
でも、外国人に名古屋言葉を教えた方なかなかユニークですね。
私の職場に研修にいらっしゃった中国の方も、こちらの方言「んだ」(そうだの意味)がとて
も気に入ったようで喜々として覚えていったのですが。。。
他の日本人に注意されていないか心配です。(笑)
投稿: 雪山男 | 2008年10月 8日 12:31
alex さん:
>実は私、英語に限らずですが、学生時代、まともに勉強をしたことがありません
わたしもそうです。
しかし、文学研究科に進んでからは、けっこう勉強しました。
自分の好きな分野に集中すればいい環境でしたので。
>私の英語は相手の使った英語を少しずつ覚えてゆくという、受け身のものだったという事が、今、わかりました
これもまた、「私もそうです」 と言うほかありません。
日本語だってそうなんじゃないかという気がするほどです。
>以前、「ある」女性から、「あること」を言われた上に
>Will you ? 「~してくれるわね?」
>と、最後に「強く」言われた時の状況から判断して、多分、そうだろうと思うのですが
「あること」 って、一体何だろう?
あることないこと想像しそうです (^o^)
投稿: tak | 2008年10月 8日 14:04
雪山男 さん:
>私の職場に研修にいらっしゃった中国の方も、こちらの方言「んだ」(そうだの意味)がとても気に入ったようで喜々として覚えていったのですが。。。
庄内弁では、"Yes" が 「んだ」、"Yes, sir" が 「んでがんす」 です。
投稿: tak | 2008年10月 8日 14:06
Alexさんのおっしゃるように、Will you~?はキツい言い方になりがちです(例:Will you shut up?=「いつまでウダウダ言ってんだ」、Will you listen to me? = 「オレの話もちょっとは聞けよ」)。
かと思うと、銀行の窓口のべっぴんさんが、"Will you sign this for me?"と申し込み用紙の署名欄を指差して言ってきたりします。これはかなりフレンドリーな言い方です。テキサス辺りだと、"Will you sign this for me, honey?"とさらに一段踏み込んで来られます。"Sure thing, baby!"と切り返すのが地元風ですが、カタい人だと押し付けがましく感じるでしょう。
また、同様に Would you ~?の方が Could you ~?よりも強いというか、相手のテリトリーに踏み込むお願いの仕方です。Could you ~? とは必ずしもinterchangeable ではないので、要注意です。単に丁寧にお願いをしたいとき、相手を刺激しない距離を保ちたいときには Could you ~?の方が無難です。
ただし、Would you be able to ~?(「~できますか」ではなく、婉曲的に「~してもらえますか」)や、 Would you mind if ~?(~してもいいですか)というのは、かなり丁寧な言い方です。
英語に敬語はないとは言いますが、それなりに気をつかうところもあるってことですね。
投稿: きっしー | 2008年10月 8日 14:07
「英語に敬語はない」ですって?
誰がそんなことを言っているのですか?
That's unbelievable!!
高度な文明社会を築いている言語にpolite expressionがないわけがないです。
投稿: CHARADE | 2008年10月 8日 14:19
きっしー さん:
>Alexさんのおっしゃるように、Will you~?はキツい言い方になりがちです
"Will you hurry up?" は、「もうちっと急げねぇのかよ!」 ということになると聞いた覚えがあります。
確かに、実際の場面でそうした言い方は、何となくこわくてできませんね。
>銀行の窓口のべっぴんさんが、"Will you sign this for me?"と申し込み用紙の署名欄を指差して言ってきたりします。
確かに、なんでか知らないけど、"for me?" を付けたがりますね。
Honey が付かなくても、ちょっとむずがゆくなっちゃってましたが、ありゃ、米国ではフツーの言い方だったのか。
>単に丁寧にお願いをしたいとき、相手を刺激しない距離を保ちたいときには Could you ~?の方が無難です。
例えば、日本の家の玄関で 「靴を脱げ」 と言いたいときなんか、迷わず Could you ~? ですね。
投稿: tak | 2008年10月 8日 14:37
学校英語しか知らない(それもうろ覚え)なので勉強になります。
ところで、「しかめっつらしく」は「しかつめらしい(鹿爪らしい)」ではないですか? 確かに教室では「しかめっ面」ですが(笑)。
投稿: ぷよる | 2008年10月 8日 14:43
CHARADE さん:
>「英語に敬語はない」ですって?
>誰がそんなことを言っているのですか?
「英語はフランクで民主的な言葉だから、敬語みたいな面倒なものはない」 なんていうのは、案外よく耳にするところです。
そのココロは、上下関係というコンセプトによる単語そのものの言い換えという尊敬語や謙譲語といったものは、ほとんどないってことを言いたいんでしょうね。
でも、おっしゃるとおり、polite expression (丁寧語) は、いくらでもありますね。
ですから、英語に敬語はないなんて暴論を言う人は、敬語が尊敬語と謙譲語だけと思っている人なんでしょうね。
もっとも日本語では最近、美化語なんて分類が加わって、さらに謙譲語を 2分類するなんて、面倒なことをしてるらしいので、私もわけわかりませんが。
投稿: tak | 2008年10月 8日 14:58
ぷよる さん:
>ところで、「しかめっつらしく」は「しかつめらしい(鹿爪らしい)」ではないですか? 確かに教室では「しかめっ面」ですが(笑)。
ありゃ、本当だ。ご指摘ありがとうございます。
大変失礼しました。
頭の中にあったのは 「しかつめらしく」 だったように思いますが、ふと 「しかつめ顔」 と 「しかめっ面」 がゴチャゴチャに混じり込んでしまったようです。
混乱ついでに 「しかつめ顔」 を採用して訂正しておきました。
投稿: tak | 2008年10月 8日 15:15
tak-shonai さん
たびたびで申しわけありませんが、今日の一撃をリンクする手順
もういちど(三度目?)ご教示下さい
今度はメモしておきます
○| ̄|_
投稿: alex99 | 2008年10月 8日 17:22
alex さん:
本文下の 「固定リンク」 をクリックすると、その記事の固有 URL で表示されます。
もし、本宅サイトからのリンクで、小さなウィンドウで表示されている場合は、「固定リンク」 を右クリックして、表示されたメニューの中から 「新しいウィンドウで開く」 を選択すると、わかりやすいです。
よろしく。
投稿: tak | 2008年10月 8日 20:04
右クリックというのを忘れていたばかりに、どうしてもダメでした
ありがとうございました
投稿: alex99 | 2008年10月 8日 21:55
alex さん:
Windows PC では、「困ったときの右クリック」 「どうしようもなくなったときの再起動」というのが金言です。
投稿: tak | 2008年10月 9日 10:22