額に汗する人と心臓に冷や汗かく人
米国的な行きすぎた資本主義のコンセプトが揺らいでいると、ついに言われ始めたが、私に言わせれば「揺らぐほどの実体もなかったんじゃないの?」ということである。
元々実体がなくて、人は夢まぼろしに浮かれすぎていただけなんだから、フツーに戻るだけではないか。
「額に汗して働く」ことが軽視されていると言われて久しい。ところが近頃私は、「額に汗して働く」なんてことはあまりない。エアコンの効いたオフィスで、キーボードを叩いて収入のほとんどを得ているので、お恥ずかしい限りである。
とはいえ、株や先物の取引きで儲けているというわけではなく、それなりにまともな実体を反映した仕事をしているというつもりである。だから、やはりあちこち出向いて取材をし、セールストークもする。ただ、あちこち出歩いても、夏の都会を歩くのでない限り、「額に汗する」 までにはなかなか到らない。
それでも分類すれば、私の仕事は決して肉体労働というわけではないが、「額に汗する仕事」の方に入れてもらえるんじゃないかという気がする。「額に汗する」というのは、即物的な物言いではなく、象徴的な言い方だ。
同じ「汗をかく」なら、私は額に汗する方を選ぼうと思う。クリック一発で大金を動かすような仕事は、額に汗をかかない代わりに、「心臓に冷や汗をかく」のである。これは体に悪い。いや、それ以上に精神衛生にも悪い。
クリック一発で大金を得るデイトレーダーだって、機関投資家だって、それなりに情報収集にエネルギーを使っているのだろう。だから象徴的な意味で「額に汗」してないわけじゃないと反論されるかもしれない。
でも、ありゃやっぱり「心臓に冷や汗」の部類だというのが、私の印象である。乱暴な言い方をしてしまえば、「一体、何がおもしろいんだろう?」と思う。まあ、彼らからみれば「大して金にもならんことをこつこつやって、何がおもしろいんだろう?」ということだろうから、お互い様だが。
このエントリーは、多分に「好きずき」というコンセプトで書かれている。そりゃ好きずきだから、人にまで押しつける気はないが、私個人としては「心臓に冷や汗をかく」タイプの人間には、なりたくないのである。やろうと思えばやれないことはないだろうが、そうなろうとは決して思わない。
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コメント
私は以前、「額に汗して働けばいいと言うものじゃない」と言う内容を私のブログで書いた者ですから・・・(笑)
まあ、おっしゃるように好き好きでしょう
私は大金を手にできるのなら、心臓に冷や汗をかいてもいいという山っ気のある性格ですが、なかなか大金が入ってきません
投稿: alex99 | 2008年10月11日 10:06
alex さん:
>私は以前、「額に汗して働けばいいと言うものじゃない」と言う内容を私のブログで書いた者ですから・・・(笑)
私も 「額に汗して働きさえすればいいというわけじゃない」 と、ちょっとだけ言い換えて、同感です。
>私は大金を手にできるのなら、心臓に冷や汗をかいてもいいという山っ気のある性格ですが、なかなか大金が入ってきません
大金の手にはいるのが確実なら、問題ないですが、確実でないから心臓に冷や汗をかくわけで、それは、ヤダなと。
投稿: tak | 2008年10月12日 00:32