マルチ商法って、どうなんだろうねぇ
今さらながら世間を騒がせている「マルチ商法」だが、個人的には「うぅん、あれって、どうなんだろうねえ」と言うにとどめておこう。
私も過去に商売上の義理みたいなこともあって、マルチ商法のサプリメントを試しに買ったことがある。念のため改めて強調しておくが、「ただ試しに買っただけ」である。
私自身がマルチ商法をやったことは一度もないが、買ったことはあるのだ。私がそのサプリメントを買ったのは、仕事上の知人からである。ある日、所用でその知人の自宅兼オフィスを訪問したところ、彼は用が済むか済まないかといううちに、「とてもよく効く画期的なサプリメント」 の話をし始めた。
話の内容はほとんど忘れたが、アマゾン地域に生育する何とかいう植物とか、とくに厳選したローヤルゼリーとか、とにかく大変な希少素材だけを使用して画期的なメソッドで作られているので、とてもよく効くんだそうだ。毎日飲んでいるだけで疲労回復、体力増強の効果が著しく、風邪も引かなくなるという。
さらに、アレルギー、肩凝り・腰痛、高血圧、腎臓病、肝臓病、冷え性、近視・乱視、婦人病、頻尿、下痢、便秘など、ありとあらゆる持病に対応したサプリがある。それだけではない。ガンの進行が止まるとかいうのまである。サプリだか薬だかわけがわからない。
幸いにもガンとか高血圧とか下痢・便秘とかいう持病はないので、やたら高そうなのは丁重にお断りしたが、あまりに熱心に薦められるので、疲労回復・体力増強用と肩凝り解消とかいうのを、「本当に効けば儲けもの」と、軽い気持ちで買ってみた。まあ、その時は仕事上の「お付き合い」ということもあったしね。
値段は、正確なところは忘れてしまったが、決して安くなかったことだけは覚えている。コンビニやドラッグストアで買うサプリメントと比べても、ずっと高かった。「ああいう大量生産のものとは、わけが違う」というのだが、実際のところはわからない。
金を払ったらどこかから品物が自宅に配達されるのかと思っていたら、彼の自宅の廊下の突き当たりが製品倉庫になっていて、大量に積み重ねられた段ボール箱の中からすぐに品物を出して渡してくれた。個人であれだけの在庫をもったら、かなりのリスクだろう。よっぽど気を入れて売りまくらないと追いつかない。
で、買ってしまったものは仕方ないので、毎日真面目に飲んでいたのだが、とくに疲れにくくなったとか、肩凝りがなくなったとかいう気はしないまま、1ヶ月ぐらいで全部消費してしまった。
「ちっとも効かない」なんて言ったら、「もっと続けて飲まなければ効果が現れない」とか言って継続を薦められるのが見え見えだから、それっきりにして、それから後は彼との仕事も敬して遠ざかることになってしまった。
風のうわさでは、私も知っているガンになった知人に「ガンの進行が止まる」という高いサプリを飲ませたりしたようだが、その甲斐もなく、しばらくしてその人の葬式に出た。効果の程は、多分、人によるということになっているのだろうね。
私の経験したのはたった 1社のものだけだから、それだけで全てのマルチ商法を語ろうとは思わない。ただ、飲んだだけで確実にガンの進行が止まるサプリがあるのなら、世界中の病院で採用されているだろうが、そうはなっていない。
だから、私はごく控えめに「うぅん、どうなんだろうねえ」というにとどめておいて、あとは行間を読み取ってもらうことにするのである。
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コメント
マルチ商法こそ『ネズミ講とどうちがうの?』というものではないでしょうか? (笑)
ああいう「うまい話」に引っかかる被害者は、本来、人一倍欲張りな人だと思います
投稿: alex99 | 2008年10月17日 17:45
alex さん:
>マルチ商法こそ『ネズミ講とどうちがうの?』というものではないでしょうか? (笑)
行間を読み取って頂きまして、感謝の限りです。(^o^)
投稿: tak | 2008年10月17日 19:06
「行間を読み取って頂きまして」-
それほど微妙な問題なのですね。私は知人の家で組織(最近はこれをネットワークと呼びます)の一端の説明を聞いて、「マルチは日本などでは直ぐ摘発される違法ねずみ講商法」だと主張して攻撃したのですが、事情はどうも異なるようですね。
昔からタッパウェアー、アムウェーなど同様の商法を取っている組織は少なくなく、私の知り合いでも車を勝ち得たものなど「成功者」と製品の山を同時に見て来ました。
基本は、在庫の山もその一部がただで手に入るという「商品信仰」があればこそ苦にならないものなのです。毎日消費するものですから少々の在庫は堪えないのです。
マルチ商法とは、要は不要不急の商品を買い漁る消費主義の骨組みを明確に見せたものであり、英米に端を発する商業主義は少々それを複雑にして綺麗に包装しただけのもので、中身は殆ど変わらないのでしょう。
投稿: pfaelzerwein | 2008年10月17日 21:24
pfaelzerwein さん:
>マルチ商法とは、要は不要不急の商品を買い漁る消費主義の骨組みを明確に見せたものであり、英米に端を発する商業主義は少々それを複雑にして綺麗に包装しただけのもので、中身は殆ど変わらないのでしょう。
まさに、「不要不急」 の商品なのです。そこがキモですね。
テレビショッピングなどは、出演者が寄ってたかって褒めそやし、いかにも購入したくなるようなストーリーを作り上げます。
一方、マルチ商法は売り手と買い手の物理的な近さでもって、心理的圧力も加えつつ売りつけるという構図のような気がします。
投稿: tak | 2008年10月18日 13:27