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2008年11月 1日

低価格モバイル PC で考える

近頃、低価格モバイル PC というのが話題である。値段の安さで大注目なわけだが、それほど大騒ぎするほどのことか?

単に安い PC が欲しいだけなら、DELL などのサイトに行ってみればいい。Asus の Eee PC よりずっと高性能の PC が、ほぼ同程度の価格で買える。

DELL のちょっと大きめのノート PC ではなく、Eee PC を選ぶ理由は、その「小ささ」だろう。常に持ち歩いてインターネットに接続する必要のある人には、その携帯性と低価格は大きな魅力である。

とくに、最近大手量販店なんかで見かける「Eee PC と Emobile のセットで 100円」というのは、私なんかもついくらっと来て買いそうになってしまった。私は既に Let's Note と Emoble のセットで、がしがしモバイルしているので、いくら 100円でも意味がない (Emobile の通信料がダブルになってしまう) と思い直し、辛うじて踏みとどまったが。

客観的にみると、低価格モバイル PC のメリットは、「価格」と「小ささ」で、さらにいえばそれしかないわけだが、よくよく考えると、この 2つは案外別々のニーズである。

安ければいいというニーズは、別に携帯性を必要条件としていない。家にいて気楽にインターネットに接続できればいいという層は、外出時のネット接続は、ケータイで充分なのだ。だから小さい必要はない。DELL の普及版を買う方が利口だ。

一方、PC に携帯性を求めるのは「外出時でもオフィスと同レベルの PC 環境が欲しい」というニーズだが、そうなると、Eee PC ではちょっと力不足だ。何しろ、Office ソフトを入れるだけの空き容量がない。

しかたがないので、Google オフィスか何かで作業して、作成したデータは無料 Web ストレージに保存しておくというような使い方になるだろう。それでいいなら、充分 OK なのだろうが、高度の作業にはちょっともの足りない。

HD タイプで容量に十分な余裕があるものもあるが、今度は価格が中途半端になったり、バッテリー駆動時間が短かったりする。安くて長時間駆動しないと意味がないんだから、それは困る。いづれにしても、現状の低価格モバイル PC は、まだ中途半端だ。

というわけで、現時点での低価格モバイル PC を買うとしたら、Eee PC と Emobile のセットを 100円で購入してインターネットを楽しみ、時々レポートを書くぐらいの軽い用途に使うというのがベストなんじゃなかろうかと思う。

とはいえ、今後の PC のトレンドは、昨今の経済情勢もあるので、ますます「低価格」というのがキーワードになるだろう。PC のコモディティ化は否応なく促進する。そうなると、ハードとともにソフトのコンセプトも変わらなければならない。

大体、PC ユーザーのほとんどは、インターネット接続さえできれば、あとは簡易ワープロとお小遣い帳程度の表計算、そして年賀状作成とちょっとした画像管理のソフトさえあれば充分な層である。その程度のニーズに MS Office なんて過剰すぎるというものだ。

MS Office の Word と Excel のフル機能がなければ、日々の業務ができないなんていう人がいたら、お目にかかりたいぐらいのものである。MS は、カローラでも充分すぎるというユーザーに、大型トラックを押し売りしているのである。

現状は、大型トラックを安く売りまくるために、それだけを大量生産し、本来最も売れるはずのカローラを作らないでいるようなもののような気がする。

そして、低価格モバイル PC というのは、エンジンに相当する OS だけ、やたら大きなものを搭載している軽自動車のようなものだ。だから、これは過渡期の製品だと思うほかないのである。まあ、PC そのものが常に過渡期にあるわけなのだが。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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