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2008年11月23日

フツーでない動機の殺人事件

このところ、旅の空で忙しかったので、まともにニュースに接していない。新聞をざっと斜め読みして、見出しをちょいちょいと確認しておけば済む程度のニュースがほとんどだし。

そうした中で、見出しちょいちょいではさっぱりわからないのが、例の厚労相元次官関連の連続殺傷事件である。

もっともこの事件、記事の本文をじっくり読んでもさっぱりわからない。元々、フツーに理解可能なレベルでの動機による犯行ではないようだ。当然のごとく「精神鑑定が必要」みたいなことが言い出されるのだろう。

ただ、動機がまともでない割には、犯行はまともに計画されすぎているように思われるので、印象としては精神鑑定をしてどうこういうほど、精神を病んでいる人間とも思われない。ただ、「かなり変わった男」という感じである。

問題は、変わった男がフツーでない理由で、綿密に計画して人を連続殺傷してしまう世の中だということだ。この事件で我々が嫌あな感じを受けてしまうのは、そういうことなのである。わけのわからない理由で、ちょっと変わったやつに襲いかかられるかもしれないのだから。

世の中では、報道された「動機」があまりにもエキセントリックなものだったため、「謀略説」まで取りざたされている。どこかに真犯人がいて、今回自首した男は身代わりだというのである。

しかし、私にはこの謀略説の方がよりエキセントリックに感じられる。多分、この男が真犯人なんだろう。そして必要なのは「この男の精神鑑定」というよりは、むしろ「フツーでない動機で、フツーに殺人事件が起きる」社会的病理の方の鑑定だ。

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コメント

普通でない動機の殺人事件。多いですね。動機とうか、やってしまってからの言い訳のような常人にとっては、理解不能な理由。最近、こんなおかしな事件ばかりと思ってみたが、昔から変な理屈の犯罪は数多くありましたね。

私が勝手に思っている「現代の殺伐感」というのは、マスコミの浸透によるものじゃなかろうかと。つたない記憶を辿ってみると、私が少年の頃は、報道というのは、夕方6時からニュースコープの入江徳郎さんが、淡々とレバノン情勢や大阪の三菱銀行人質事件を過去の出来事として伝えるだけでしたが、最近の報道は、番組内で勝手に捜査し、犯人逮捕後は妄想調書まで取って、そして、勝手に分析までしてしまう。

そしたら、世の中に居るであろうフツーでない思考の人間が、「あ!こりゃ、あてはまる。じゃ、オレもやってイイのかな!」と思い込んじゃって、やっちゃった。そして、逮捕後に訳の解らない言い訳。そして、また報道番組が・・・

というような構図があるんじゃないかと思ってしまう。

投稿: やっ | 2008年11月24日 09:59

やっ さん:

>最近の報道は、番組内で勝手に捜査し、犯人逮捕後は妄想調書まで取って、そして、勝手に分析までしてしまう。

>そしたら、世の中に居るであろうフツーでない思考の人間が、「あ!こりゃ、あてはまる。じゃ、オレもやってイイのかな!」と思い込んじゃって、やっちゃった。そして、逮捕後に訳の解らない言い訳。そして、また報道番組が・・・

>というような構図があるんじゃないかと思ってしまう。

言えてるかも。
人間は多分、無意識的に過去の類型に沿う行為を選んでしまいがちでしょうから。

「俺だけじゃないんだ」 という、最低限の言い訳になりそうな気がするのかもしれません。

投稿: tak | 2008年11月24日 10:59

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