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2008年12月21日

ガソリン価格の乱高下

ガソリンの価格が、暫定税率が失効していた今年 4月頃の値段をあっさりと割り込み、今や久しぶりの リッター当たり 90円台にまで下がってしまった。

リッターあたり 180円台にまで上がり、200円になるのも確実なんて言われていた今年夏の状況は、一体何だったんだろう?

先週の木曜日(18日)に酒田に向かうため、ガソリンを満タンにした時は、リッター当たり 102円だった。それでも「ずいぶん安くなってしまったなあ」と驚いた。ところが 2泊 3日の酒田滞在を終え、つくばの地に戻ってきたみたら、95円だという。

私は今年の 7月 9日に「今ではむしろ、ガソリンがどんどん上がれば環境にはいいかもしれないなんて思うまで、すっかり開き直っている」と書いた(参照)。この時点では、ガソリンはリッター当たり 200円台にまで上がってから、180円ぐらいに下がって落ち着くんじゃないかと思っていた。

この頃私は、原油価格高騰は「供給不足に投機的な要素が輪をかけて」しまった結果だと思っていた。供給不足が主で、投機的要素は従だと思っていたのである。ところがここまで値下がりしてしまうと、それはむしろ逆だったのだとわかった。投機的要素こそ、あの原油価格高騰の主原因だったのである。

投機的な理由で値上がりしてしまった商品は、どこかでそのバランスが崩れてどっと値下がりするに決まっている。今回も結果がそれを証明している。

驚くのは、原油価格が一時の半分以下に値下がりしてしまうほど、一時は投機によって価格がつり上げられていたということだ。そんなに不自然なレベルまで上がってしまうと、つり上げていた側にも持ちこたえる力がなくなって、あとは坂道を転がり落ちるように値下がりする。

心配なのは、今は下がりすぎているんじゃないかということだ。値段が下がりすぎると、産油国が生産調整をして出し惜しみをする。するとまた少し値上がりする。そこで落ち着いてくれればいいが、買い控えの傾向に拍車がかかると、今度はまた生産調整が行なわれる。

そんなこんなで、実際の需給バランス以外のところで、つまり単なる値段の動向という机の上だけの要素でますます価格の乱高下に拍車がかかると、迷惑なのはユーザーだ。最近はガソリンに限らず、いろいろな商品の値段が思惑だけで動きすぎだ。

いわゆる金融資本主義の行きすぎによるうっとうしさは、こんなところにまであらわれている。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

うちの会社の経理の方も頭を痛めています。
ふつうなら四半期に一度の給油の契約更改を、一月に1度以上のペースでやっている
ので。
しかし、あの値上がりって結局実需のない物だったんでしょうね。
改めて、石油というのは戦略物資なんだと実感しましたし、世界経済との結びつきを
今年ほど実感した年はなかったと思います。
まあとりあえずは、北国なんで灯油が落ち着いたのは何よりありがたいことです。

投稿: 雪山男 | 2008年12月22日 00:46


ある経済評論家が「この投機的な価格は、永遠には続かない いつかは実需を反映した価格にもどる」と言っており、私もそう思いましたが、思いがけなく早くしかも激し下落しましたね

中東でビジネスをやっていて、地中から原油がわき出るとは、なんと不公平なんだろうと思っていました
いつかは原油も需要が無くなり、威張りちらしている中東産油国の人達がまたラクダに乗る生活にもどれ!と祈っていましたが (笑)石油代替エネルギーも将来的には生まれてくるでしょうね
そうすると石油はプラスティックなどの原料という使途しかなくなるのかな?
ただし、もうラクダは見向きもされなくなって、頭数も減って、再びラクダの時代には戻れないようになってしまったそうです
ラクダも楽では無いのですね

投稿: alex99 | 2008年12月22日 05:03

投機資金の影響が大きいことは間違いないと思います。
しかし、takさんの7月9日の記事にもコメントさせて頂きましたが、実需面でも今夏は「潮目」が見えてました。ここ1-2年の価格上昇はあまりにも強烈で、実需を構造的に破壊し、石油需要の下方硬直性をかなり無くす効果があったと思います。
とはいえ、有限な資源にはかわりないので、少なくとも資源の乏しい国は代替エネルギーの開発を急ぐ必要があります。そのためには石油の末端価格があまり安くなるのは好ましくないので、将来の価格上昇率を緩和する意味も含め、今こそガソリン税を引き上げるいい機会だと思います。
が、現下の景気や政治情勢でそれを言い出せる政治家は日本にもアメリカにもいないでしょうね。

投稿: きっしー | 2008年12月22日 10:01

雪山男 さん:

>改めて、石油というのは戦略物資なんだと実感しましたし、世界経済との結びつきを今年ほど実感した年はなかったと思います。

言えますね。
私としては、プラザ合意による円高以来という気がしますが。

投稿: tak | 2008年12月22日 19:32

alex さん:

>思いがけなく早くしかも激し下落しましたね

私もそれが実感です。

>いつかは原油も需要が無くなり、威張りちらしている中東産油国の人達がまたラクダに乗る生活にもどれ!と祈っていましたが (笑)石油代替エネルギーも将来的には生まれてくるでしょうね

需要がなくなるというより、供給がなくなってくるでしょう。
オイルピークは既に過ぎているという見方もありますしね。

>ただし、もうラクダは見向きもされなくなって、頭数も減って、再びラクダの時代には戻れないようになってしまったそうです

ヨーロッパでも、馬の生活には戻れないでしょうからね ^^;)

投稿: tak | 2008年12月22日 19:35

きっしー さん:

>ここ1-2年の価格上昇はあまりにも強烈で、実需を構造的に破壊し、石油需要の下方硬直性をかなり無くす効果があったと思います。

それは確かにありますね。
「省エネ」「環境保護」 というのは、結果として明らかにオイルを消費しない方向に作用してますからね。

私も最近は、ガソリンはあまり安くなりすぎない方がいいと思っています。その方が代替エネルギー開発が切実な課題になりますので。

安いのは家計的には助かりますが、150円以下なら OK と思ってましたので、今はちょっと安すぎかもしれません。

とはいえ、これ以上ガソリンに税金をかけようなんて言い出す政治家はいないでしょうね。

投稿: tak | 2008年12月22日 19:45

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