« "Fast Forward" の意外性を楽しむ | トップページ | 築地市場の外国人観光客対応 »

2008年12月 3日

「アラフォー」を巡る冒険

今年の流行語大賞は、「アラフォー」と「グ~!」だそうだ。

「グ~!」 は、エドなんとかさんの、ある意味人生をかけたギミックのようだから、少しはリスペクトしてもいいけど、「アラフォー」というのは語感が好きじゃないなあ。ここで言っても始まらんけど。

2ch の住人の多くは、あまりテレビを見ないようで、「アラフォー」という言葉そのものを知らない人が多かったようだ。のっけから「アラフォー……?」「初耳なんですが」なんていうコメントが寄せられたりしている。(参照

かく言う私も今年の夏頃まで「アラフォー」なんて言葉は聞いたことがなくて、阪神の金本選手が何かのインタビューで「我々アラフォーが……」とか言ってたのをちらっと聞いて、「そりゃ、一体何じゃ?」と思って調べてみたのだった。

それで "around forty" を略して「アラフォー」ということが初めてわかったのだが、そういえば、一時アパレル業界で 30歳前後の消費者ターゲットを称して、秘かに(でもないか?)「アラサー」 なんて言われてたなあと思い出した。この言い方も、「おいおい」なんて思ったものだが。

アパレル業界が「アラサー」と称していたのは、いわゆる「団塊の世代ジュニア」である。今まさに 60歳前後になった団塊の世代の子どもたちが、人口ピラミッドでみるとちょっとだけ突出した数になっていて、マーケティング的にはそこを狙わないという手はないという話だったのだ。

それにしても、「アラサー」とはねぇ。アラ、エッサッサーじゃあるまいし。

で、「アラサー」と言われていた頃にふと思ったのだが、アパレル業界のマーケティングって、どうしても一時的なものになりがちなのである。

「団塊の世代ジュニア」 の呼称なら、彼ら、彼女らをずっと追い続けながらマーケティングすることができる。しかし、「アラサー」と言ってしまうと、4~5年経てばマーケットの中身が入れ替わってしまうのだ。まあ、どうせ長いスパンのマーケティングができる業界じゃないから、それでいいといえばいいんだけど。

それから、最近は「アラカン」なんていう言葉まで生まれているんだそうだ。嵐寛寿郎 のことではない。「アラウンド還暦」つまり 60歳前後のことだそうだ。なんだ、つまりこれこそ「団塊の世代」そのものじゃないか。だったらそう言えばいいのに。

まあ、今の世の中は、同じことをいろいろな言葉で言い換えて目先の新しさを偽装し、商売の種にしていかなければならないということなのだ。どうせすぐに忘れ去られることに心血を注ぐというのは、まことにもってご苦労様なことなのである。

そういえば、私も次のロンドン・オリンピックの年には還暦になるんだった。ということは、「アラカン」なのかなあ。団塊の世代ではないんだけど。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

|

« "Fast Forward" の意外性を楽しむ | トップページ | 築地市場の外国人観光客対応 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント


 私は2ch住人じゃないけれど、”アラフォー”ってなんじゃ?と思いました。
 ただいま、アラフォーまっただ中!

 流行語大賞になるくらいに有名なんですか?うーん、相当メディアに置いてけぼりをくってるんだろうかと、ほんのほんの少しだけ不安になります(笑)

 あ、一応はエドはるみさんの”グー”は分かりますよ。

 外来語っぽくするのもわかりにくい場合がある訳ですけれど(”アラカン”は団塊世代がわかりやすいと思う)、逆に輸入した言葉を日本語に直してもそれはそれで意味がわかりにくくなりますね。
 私は介護関係の仕事をしてますが、ケアマネージャーって職種の人がいまして年配の方にはわかりにくいし国家資格でもあるので日本語名もあるんですが、それが”居宅介護専門相談員”。
 実際に介護を受けてる人にしてみたら、どちらも意味がよ~わからん言葉になっているんじゃないかと思ったりします(笑)

投稿: きんめ | 2008年12月 3日 15:20

 あ、間違えました。
 居宅介護専門相談員→居宅介護支援専門員 です。

 という、具合にわかりにくい(笑)

投稿: きんめ | 2008年12月 3日 15:22

エッサッサー!

なんでも略すことがトレンドですか。

確かに、『労働安全衛生法→あんえいほう』とか、『化学物質の審査及び…(以下略)→かしんほう』などの法律も、略しまくりです。
いちいちタイピングするのがめんどくさいから、必然的に略しているものと思われます。

フツーに『40代』じゃ、ダメなんですね。


じ、じゃあ、アタクシはアラサー後半サー!

投稿: 乙痴庵 | 2008年12月 3日 19:30

追加ッス。
自分で自分のコメント読み返して…。

沖縄か!

投稿: 乙痴庵 | 2008年12月 3日 19:34

きんめ さん:

>私は2ch住人じゃないけれど、”アラフォー”ってなんじゃ?と思いました。

私が一発でわかったのは、金本選手のおかげです ^^;)

>逆に輸入した言葉を日本語に直してもそれはそれで意味がわかりにくくなりますね。

ケアマネージャー = 居宅介護支援専門員

うぅむ、わかりにくくはないけど、舌噛みそう。

同様に、

ミネラルウォーター = 高度鉱物含有水
バス = 乗合大型自動車
マウス = ネズミ型画面内位置指定機

とかになったら、もうお手上げ。

ただし、

クリック = カチ
ダブルクリック = カチカチ
ステイプラー(ホッチキス) = ガチャンコ

などは、私、よくつかいます ^^;)

電子レンジ = チン

これは秀逸、というか、究極。

投稿: tak | 2008年12月 3日 19:37

乙痴庵 さん:

>確かに、『労働安全衛生法→あんえいほう』とか、『化学物質の審査及び…(以下略)→かしんほう』などの法律も、略しまくりです。

法律は、正式名称が冗漫にできてるから、略さないとフツーには使えませんね。
ちなみに、「フーエー法」の正式名称って何なんだろうと思って調べたら、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」 だそうです。

すごいなあ。滑舌の訓練に使えそう。

>フツーに『40代』じゃ、ダメなんですね。

ダメです (^o^)
「40歳内外」 でなければいけません。

>沖縄か!

まさに、そうつっこもうと思って下を見たら、すでにセルフつっこみ済みでした (^o^)

投稿: tak | 2008年12月 3日 19:45


エドなんとかさんは気持ち悪い
それだけですね

日本人は、どうしてこう、略したがるのだろう?
tak-shonai さんの考察の対象にしてください

投稿: alex99 | 2008年12月 3日 22:28

takさん

>同じことをいろいろな言葉で言い換えて

今に始まった事でもないですね。(失笑)

右寄りと評判の(笑)takさんちなので、戦争絡みでいけば;

自決------->自殺、自害

玉砕------->全滅

終戦------->敗戦

でしかありませんし、戦争から離れても、戦後~現代に限っても政治家の先生方の名言(迷言)に至っては言わずもがなで。

商売の種程度なら(程度に依りはしますが)可愛いモノでしょうか。もっとも、浪費の片棒を担がされる側は気の毒ですが。

投稿: 貿易風 | 2008年12月 4日 00:29

alex さん:

>エドなんとかさんは気持ち悪い

実は私、エドなんとかさんが動いているのをあまり見たことがないんです。
電車の吊り広告での静止写真はくさるほどみましたが。

なので、気持ち悪いのかどうか、態度保留です。

>日本人は、どうしてこう、略したがるのだろう?
>tak-shonai さんの考察の対象にしてください

西欧人も略したがりますよね。
R.S.V.P とか。

投稿: tak | 2008年12月 4日 01:05

貿易風 さん:

>終戦------->敗戦

私は、戦後 7年経ってからの生まれなので、リアルタイムではわからないんですが、「終戦」 という言い方こそ、まさに国民感情にぴったりくるものだったという人もずいぶんいます。

あの戦争の勝ち負けなんてどうでもよくて、玉音放送を聞いて、「あぁ、やっと終わった」 という妙な安堵感があったということをよく聞きます。

だからといって、「敗戦」 じゃなかったなんていうわけじゃないんですけどね。

戦勝国のアメリカが乗り込んできて、女という女を陵辱しまくると信じていたという人もまた、たくさんいるし。

投稿: tak | 2008年12月 4日 01:13

私は「アラサー」になるわけですが、先日「アラフォー」の美容師(女性)に聞いたのですが、
30代とか年代で区切るとそこを越えることに抵抗感があるが、アラウンドとなるとその周辺とい
うことでシームレスになるので、それが和らぐということでした。
自分にはあまりぴんと来ませんでしたが、女性の方にはアラサー、アラフォーという言葉は意外
と精神的に感じるところがあるようです。

ところで日本人は、4文字の略語というのが好きな民族ではないでしょうか?ここ最近のトレンド
というわけではなく。
たとえば山本勘助を略して「山勘」、嵐寛寿郎を略して「アラカン」、阪東妻三郎を略して「阪
妻」、榎本健一を略して「エノケン」。
一息でいえる長さになるので、それも関係するのかもしれませんね。
英語圏だと、複数の単語の頭文字で別単語を作るようなもんですか?

投稿: 雪山男 | 2008年12月 4日 09:41

雪山男 さん:

>30代とか年代で区切るとそこを越えることに抵抗感があるが、アラウンドとなるとその周辺ということでシームレスになるので、それが和らぐということでした。

「シームレス」 とは、なかなかうまい言い方ですね (^o^)

ただ、44歳は 「アラフォー」 とギリギリ呼んでもらいたいでしょうが、37歳はそう呼ばれたくないでしょうね。

>ところで日本人は、4文字の略語というのが好きな民族ではないでしょうか?ここ最近のトレンドというわけではなく。

「アラカン」 「バンツマ」 「エノケン」 「バンジュン」 の伝統は 「キムタク」 まで繋がっていますね。

口にしたときの心地良さに関して言えば、最後が 「ん」 で終わるのがいいですね。
「アラカン」 「エノケン」 「バンジュン」 がベストスリーかな。

>英語圏だと、複数の単語の頭文字で別単語を作るようなもんですか?

ありますね。代表例はこの 2つかな。

ASAP: As Soon As Possible(できるだけ早く)

FYI: For Your Information (ご参考までに)

かなり昔にニューヨークで流行っていたのが、

"That's OD."

OD は overdoing の省略で、「やり過ぎよ!」 ということのようでした。

"Overdose" (薬のやりすぎ) という意味もあるらしいので、注意が必要かも。

http://www.urbandictionary.com/define.php?term=od

投稿: tak | 2008年12月 4日 12:37


日本人は、どうしてこう年令に敏感なのかな~?

新しい生命に価値を見いだす感覚があるのかも知れませんね

投稿: alex99 | 2008年12月 5日 01:32

alex さん:

>日本人は、どうしてこう年令に敏感なのかな~?

カテゴライズするのに、年齢ぐらいしかまともな切り口が見あたらないからかもしれませんね。

多民族国家だったら、民族で分けられるでしょうが。

>新しい生命に価値を見いだす感覚があるのかも知れませんね

伊勢神宮の式年遷宮みたいなものですかね。

投稿: tak | 2008年12月 5日 10:25

takさん

遅レスですが・・・

敗戦と終戦の件ですが、私、少々説明が足りませんでしたネ。

庶民が思う、口にするのなら“終戦”もありでしょうが、指導者層(軍部とか閣僚とは敢えて言いません)がそう言うのは御為ごかしである、と言う事です。

ましてや玉砕だの自決だのというのは、真実への糊塗と言うべきものでしょう。

さて、話題を変えまして。

略語(の多用)については、洋の東西を問わないと言われていますね。
何も頭文字を取って略するのは日本人に限ったことではありません・・・
とさる言語学者の方が仰せでした。

そういえば、業界用語も略語のオンパレードですし、初歩的な暗号も略語のそれですね。

私は(勿論)マルチリンガルではないので実体験で語れるほど他言語の略語は存じませんが、クルマ関係や電算機でも2文字、3文字、4文字の略号が出てきますね。電算機関係ならFD、CD、MB、MO、DVD、HDDとか、クルマ関係ならABS、ESP、LSD(クスリではありません)、CVTとか。

略語が多用される理由は色々挙げられますが、そのひとつとして『記録媒体が高価であったから省略できるものは極力そうする』という側面があったと考えられています。

大昔は紙はとても高価な代物でしたので、木簡だの竹簡だのに記していたのですが、それも貴重だということで何回も上書きしていたという史実があります。当然、記載面積は潤沢ではありませんでした。

少々外れますが、昔の画家の中にはキャンバスが買えないからと、出来上がった自分の作品(作画)に新しく絵を重ねて描く方もいたとか。

電算機の世界では、前世紀の時点では1バイトの貴重さは現在の比では無かったですから、大切な領域を文字表記に潤沢に使える余裕はなかったとの事。表示桁数も極力抑えるべく、当時のエンジニア(所謂団塊の世代でしたが)は腐心したものと伺いました。

今やご存じない方も多いでしょうが、Windowsだって3.1時代にはファイルネームには拡張子以前に8文字しか使えなかったのです。ギガなんて単位は個人はもちろんのこと、ソコソコの企業でも無縁の世界だったのです。
別に石器時代の話ではありません。たかだか10数年前のことです。それだけ進歩が急激だったという事でもありますが。

それが今や個人ベースでテラが扱えるのですから、凄い事になったものだと実感しますね。

だからと言って、無駄遣いは慎みたいものでありまして。

ひと昔前に「チョベリバ」だの「チョベリグ」だのという、訳解らないコトバが流行りましたが、今となっては誰も憶えていないのでは?使った当人達でさえ。(失笑)

よくよく考えてみれば、ソイツ等が「アラサー」だな、なんて気付きました。
多分、ハズレてないと思いますが・・・

投稿: 貿易風 | 2008年12月10日 02:30

貿易風:

>庶民が思う、口にするのなら“終戦”もありでしょうが、指導者層(軍部とか閣僚とは敢えて言いません)がそう言うのは御為ごかしである、と言う事です。

意図するところ、了解しました。

>ましてや玉砕だの自決だのというのは、真実への糊塗と言うべきものでしょう。

遺族の中には、玉砕、自決ということであって欲しいと思っている方もいます。
そのあたり、私はその人の立場次第と思ってます。

>今やご存じない方も多いでしょうが、Windowsだって3.1時代にはファイルネームには拡張子以前に8文字しか使えなかったのです。

私は今でも、ファイルネームに長い日本語を使うことに、因習的な抵抗を感じていて、「マイ ドキュメンツ」 の中は、Win 3.1 時代のルールのままのファイルネームで埋まっています ^^;)

仕事上で共有しているようなファイルは、日本語のファイルネームが多いので、見ればすぐにわかるという、妙なメリットがあります。

投稿: tak | 2008年12月10日 08:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「アラフォー」を巡る冒険:

« "Fast Forward" の意外性を楽しむ | トップページ | 築地市場の外国人観光客対応 »