一眼レフにそそられつつ
去年の後半あたりから、デジタル一眼レフにそそられつつも、考え直してやっぱり諦めるということが何度か続いている。
同じ去年でも、7月頃は 「コンパクト・デジカメで十分なんだけど」なんていう記事を書いていたのに、秋を過ぎるあたりから、どうも一眼レフが気にかかってきたのである。
そもそも上述の記事自体が、「欲しいなあ、一眼レフ」 という自らの気持ちを抑え込もうとして書かれたものだとみることもできる。いや、きっとそうなのだ。ああ、私はあの福田さんのようにではないが、自分を客観視できるのである。
なにしろ、デジタル一眼レフの値段が下がってきた。案外軽い気持ちで買えそうな値段なのである。その上、Panasonic の G1 (これは 「一眼レフ」ではなくて「デジタル一眼」と称しているが) なんていう小型で手軽な製品まで登場したので、なんとなくハードルが下がってきたような気もする。
そう心の片隅で思ったところで、「いやいや」と、もう一人の冷静な私がブレーキをかける。いくら安くなったとはいえ、値段と効果を天秤にかけてみるがいい。
確かに私の場合、コンパクト・デジカメは毎日使う。仕事とプライベートで、掛け値なしに毎日である。毎日使うのだから、手軽に持ち運ぶためにコンパクトである必要がある。いくら G1 が小型になったとはいっても、気軽にどこにでもポケットに入れて持って行けるようなものじゃない。カメラマンってわけじゃないんだし。
そうなると、デジタル一眼をせっかく買ったとしても、実際に使うのは週に一度あるかないかだろう。そんな頻度では、腕だって上がるまい。いつまで経っても素人は素人だ。同じ素人なら、コンパクト・デジカメを使っている方が無難に決まっている。
それに、近頃はコンパクト・デジカメだって馬鹿にしたものじゃない。一昨日買ったばかりの Panasonic の Lumix TZ5 なんて、なんと 910万画素で光学ズーム 10倍である。このくらいのスペックがあれば、まだこのカメラのクセを把握していない時点でも、このくらいの写真 (昨日の和歌ログに添えたもの) がサクッと撮れる。
壊れてしまった Ricoh の Caplio R7 にしても、使い慣れて手の内に収めてしまえば、このくらいの写真 (昨年 11月 22日の和歌ログに添えたもの) が撮れたりすることもある。壊れる前の 1週間は、ピントがボケボケになって難儀したが。
しかし、そこで物好きな方の私がまた反論する。「コンパクト・デジカメでもこのくらいの写真が撮れるなら、一眼レフで撮ったら、もっとできのいい写真が、気持ちよく撮れるはずだ。そう思わないか」と。
さらにまた、あの alex さん も雪山男さんも、デジタル一眼レフのオーナーであることが、昨日の私の記事に対するコメントで判明してしまったこともあって、ちょっとうらやましい。
ああ、ここで私は、うぅむとうなってしまうのである。金が湯水のように使える境涯なら、こんなに悩むことなく、今日にでもプロ仕様の一眼レフを 2~3台買って、交換レンズだっていくつも揃えてしまうだろう。しかし、そんなことをしたら妻が怒るに決まっている。
家庭の平和のためには、せいぜい物入りでない時期を狙って、リーズナブルな値段のモデルを、目立たないようにとぼけて買ってしまうのがいいのだが、今はまずい。なにしろ、買ってたった 10ヶ月のコンパクト・デジカメが壊れて、買い直したばかりなのだし。
大体において、物欲に押し切られて趣味性の強い品物を買おうかというタイミングにさしかかった時に限って、他に買わなければならないものができてしまったり、今まで使っていた必需品が壊れて、買い直さなければならなかったりするものである。世の中とはそうしたものなのだ。
そもそも私自身、一眼レフが死ぬほど欲しいってわけじゃない。決して要らないわけじゃないが、「あったらいいなあ」 程度なのだ。主観的希望がその程度なのに、客観的優先順位はさらに低いのである。
その上、私のことだから、もし一眼レフを買ってしまったら、蟻地獄にはまったように、交換レンズを後から後から買い足したくなるに決まっている。そうなったら大変だ。だったら、いよいよ一眼レフを買おうという時に、見計らったように冷蔵庫でも壊れてくれる方がいいかもしれない。
などといろいろ書き連ねても、欲しいことは確かに欲しいのである。これまでの人生経験からすると、時間をかけてこの「欲しい気持ち」をじっくり醸造していくと、希望の品物はいつの間にか手に入っているということが多い。
要は「気持ち次第」なのだ。気持ちは魔物なのである。これほどの魔物は、他にないのである。
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コメント
一眼レフ、いいですよぉ~!
被写体にピントが合って、背景がそれとなく溶け込んでいる写真。
小僧の同級生のウチに差し上げた運動会の写真、年賀状になって帰ってきました。
といっても、それはすべて、カーちゃんの手わざ。カーちゃんはフィルム時代からCanonユーザーです。
トーちゃんは、…ケータイのカメラでシコシコやってます。
あ~あ、コンパクトカメラがほしい。
投稿: 乙痴庵 | 2009年1月30日 12:22
乙痴庵 さん:
>一眼レフ、いいですよぉ~!
また、そうやってけしかける ^^;)
奥さんはなかなかの手練れのようですね。
>あ~あ、コンパクトカメラがほしい。
コンパクトカメラ、いいですよぉ~!
(けしかけ返し ^^;)
投稿: tak | 2009年1月30日 14:04
あぁ、一眼レフのデジカメはいいですよねぇ。値段もなんだかんだと随分と安くなってきているし。マクロレンズを持ってたら、草花とか撮るのはきっと楽しいだろうなぁと。
と、元一眼レフ使いの私も言ってみる(笑)
私は一応、レンズも数本持ってたりもするのですが、デジタル一眼は買ってないんです。takさんと同じく、”欲しいような気がするよなぁ”って気分はずっとあるんです。
そもそもフィルムの一眼レフですら滅多に持ち出して貰えないまま世の中がデジタルに移行したんですもの。(まぁ、リバーサルフィルムを使ってたのでランニングコストがアレで出番が少なかったんですがw)
私も今は携帯のカメラですませてますが、シャッターが切れるまでのタイムラグが長いのが辛いです。
私はコンパクトデジカメの方が欲しいかなぁ(笑)
投稿: きんめ | 2009年1月30日 14:38
デジカメ乗り換え検討してて、そろそろ一眼レフほしいなと思ってる人にとっては
定額給付金は案外良い背中押しの理由になってくれるんじゃないでしょうか。
というか、愚策かどうかはともかくとして、定額給付金の最も効果的な使われ方は
あと一押しあれば買ったのに!ってものを買う人が増えることのような気がします。
ちなみに私は R7 も持ってて、デジタル一眼レフも所有しておりますが、
takさんの「客観視」判断通り、コンデジとは別物と考えてよいかと思います。
特に写真に作品性よりもレポート性を求めるのであれば、コンデジで充分。
というか、最近はコンデジがどんどんデジイチに近づこうとしてるので
そうした従来コンデジが持っていた均質描写のレポート性は薄れてきてしまってる
と言えるような気もします。
ただ、逆に「このくらいの写真」で提示されてるようなフォーカスの効いた写真を
もっと撮りたいってことであれば、それはデジイチを!って話だと思いますが(笑)
R7 は利用頻度が低いので、まだ使えなくなるほどではありませんが、でも、
如何にも壊れやすそうな、無理してるところの多いカメラな気はします。
同じリコーでも GR Digital ならちゃんとしてるのに。
投稿: traceraser | 2009年1月30日 14:58
自分の一眼レフはニコンのD40でして、もう買ってから2年ぐらいになるでしょうか?
あのころ6万円を切る価格でしたので、安いと思って妻に頼み込んで買ったんですが。
しかし思うのは、私も周囲もカメラに無知で良かった。と思うことでしょうか?
たぶんカメラに詳しいtakさんのような人は、どんどんほしくなるんでしょうね。
例えば、望遠が利かなくて子供が小さくしかとれないと、詳しい人ならレンズがほしい
とか思うようになるんでしょうね。
我が家の場合は、とりあえず、折りたたみ三脚とカメラを使って撮れなかった場合は
「事故」扱いであきらめるという感じですので。。。
たぶん、元の機能も全部使いこなせていないんだろうなと思いつつ。
投稿: 雪山男 | 2009年1月30日 15:49
きんめ さん:
>私も今は携帯のカメラですませてますが、シャッターが切れるまでのタイムラグが長いのが辛いです。
私は、携帯のカメラは苦手です。まともに撮れたためしがありません。
インターフェイスがカメラとして作られてないから、どうやって撮ればいいのかわからりません。
>私はコンパクトデジカメの方が欲しいかなぁ(笑)
いいですよ~、コンデジ。
と、きんめさんにもけしかける (^o^)
投稿: tak | 2009年1月31日 00:06
traceraser さん:
>愚策かどうかはともかくとして、定額給付金の最も効果的な使われ方はあと一押しあれば買ったのに!ってものを買う人が増えることのような気がします。
それは、かなり言えてるかも。
皆さん、理性が勝ってしまって買えなかったものを、給付金が出たら、速攻で買ってしまいましょう。
>特に写真に作品性よりもレポート性を求めるのであれば、コンデジで充分。
私の場合、そこが微妙なんだよなあ ^^;)
>ただ、逆に「このくらいの写真」で提示されてるようなフォーカスの効いた写真をもっと撮りたいってことであれば、それはデジイチを!って話だと思いますが(笑)
そうやって、たきつけないでください ^^;)
>R7 は利用頻度が低いので、まだ使えなくなるほどではありませんが、でも、如何にも壊れやすそうな、無理してるところの多いカメラな気はします。
保証期間内なので、今日、修理に出してきましたが、店員さんいわく、やっぱり R7 の故障は多いそうです。
やっぱり、設計上無理があるみたい。
投稿: tak | 2009年1月31日 00:13
雪山男 さん:
>自分の一眼レフはニコンのD40でして、もう買ってから2年ぐらいになるでしょうか?
>あのころ6万円を切る価格でしたので、安いと思って妻に頼み込んで買ったんですが。
正解ですね。そうやって、さっと買う方が、ものは手に入りやすいですね。
考えすぎてはいけません。いつまで経っても買えません。
>たぶんカメラに詳しいtakさんのような人は、どんどんほしくなるんでしょうね。
いえいえ、全然詳しくないですよ。
カメラマンの友人は多いので、助言はたくさんもらえますが、そのうちの半分以上は理解不能です。
投稿: tak | 2009年1月31日 00:18
う~~ん
私が意気込んで書こうと思ったら、書くべき事はみなさんがみんな書いてしまっていますね
それにみなさん、ほとんどデジタル一眼のオーナーでもある
驚きました
私も昔からの銀塩フィルム一眼レフ(こんな呼び名になってしまっている)(涙)愛用者です
ニコンですが
コンデジのCAPLIO R6 から RICOH GX-100 に乗り換えたらデジタル一眼が欲しくなり、ついにニコンのフルサイズ(廉価版の方ですが)を買ってしまいました
ただし、購入に踏み切るまでに毎日、七転八倒して悩みました (笑)
旅行も出発までの過程が楽しいのですが、趣味のものも決断までが悩ましくも苦しい (笑)
それに加えてヨドバシカメラに立ち寄ったら、ニコン D40 のレンズキットが4万円ちょっと、という超お買い得価格で売って売るではないですか
やはり買ってしまいました
なにしろ、デジタル一眼なのに、へたなコンデジより安いのですから、驚きです
毎日、いつも携行してスナップ出来て楽しいのはコンデジですが、散歩を兼ねて「撮るぞ」という時は(作品の質はともかく)デジタル一眼でないと気分が出ません
デジタル一眼で撮ってみると、やはりコンデジとは大違いですね
それにレンズの使い分けも楽しい
しかし、やはりプロという人達はすごい
コンデジでの撮影例を見ても、とてもコンデジ作品とは思えない素晴らしいものになっている
やはりウデというものはあるんですね
私は彼等が秘かに三脚を使用しているのではないか?と、疑っているのですが (まさか)(笑) それほど違う
投稿: alex99 | 2009年1月31日 00:33
alex さん:
>それに加えてヨドバシカメラに立ち寄ったら、ニコン D40 のレンズキットが4万円ちょっと、という超お買い得価格で売って売るではないですか
そりゃ、安い!
それだったら、衝動買いしない自信はありません。
>毎日、いつも携行してスナップ出来て楽しいのはコンデジですが、散歩を兼ねて「撮るぞ」という時は(作品の質はともかく)デジタル一眼でないと気分が出ません
そこなんですよね。
私の場合、いつも携行するのと 「撮るぞ」 の比率が、99:1 ぐらいなんで、どうしてもコンデジ重視になってしまいます。
>しかし、やはりプロという人達はすごい
そうなんですよね。
すっかり手の内に入っているという感じ。
彼らは被写体の前に立った時に、既に頭の中に写真ができていて、それを、機械を使ってサクサクっと実現しちゃってるんですね。
撮ってみないとどうなるかわからんという素人とは、そこが違います。
投稿: tak | 2009年1月31日 13:27
takさん
私も昔はカメラ少年だったので、その頃の名残でニコンF3(とニッコールレンズを数本)を今でも所持しています。
最近は防湿庫の主と化しておりますが、偶には触るようにしています。
そんな事を云いつつも、デジタル一眼もあれば面白いかな、なんてついつい思ってしまったりして。(笑)
さながら、スポーツカーを欲しがる下手の横好きの心境でしょうか。
タチがワルいのは、本人が下手さ加減を自覚していない事で。(苦笑)
一眼レフのデジタル化・レトロフィットキットなんてのが出たらなぁ、と思うこともありますね。技術的にも採算的にも合わないだろう事は承知しておりますがネ。
それならプロユース想定機を買いなさい、といわれそうですが、ニコンで例を挙げるならD3Xなんてボディ単体で7桁直前ですから余裕があったとしてもとても手は出ません。
(もちろん余裕はありません)
それに、幾等ボディが高機能でも、レンズが揃わなければ殆ど意味が無いですし。
この辺り、ビギナーが陥り易い罠でもありますね。ボディ自慢しても肝心のレンズがお粗末って具合で。
最低限でも広角1本、標準1本、望遠1本という揃え方が必要とカメラ屋の親父に諭されました。(四半世紀前のハナシですが・・・)
投稿: 貿易風 | 2009年1月31日 13:59
貿易風 さん:
>一眼レフのデジタル化・レトロフィットキットなんてのが出たらなぁ、と思うこともありますね。技術的にも採算的にも合わないだろう事は承知しておりますがネ。
完全に合わなすぎで、永遠に無理でしょうね ^^;)
>最低限でも広角1本、標準1本、望遠1本という揃え方が必要とカメラ屋の親父に諭されました。
一眼レフをやるなら、そのくらい揃えないと、意味がないでしょうね。
ところが、最近の一眼レフを購入する人は、なかなかレンズまでは買わないみたいですね。
投稿: tak | 2009年1月31日 15:23
あまりにも話題沸騰しているので、遅れ馳せながら私も。
デジタル一眼レフ、同じくずっと欲しいと思い続けている私なので、しかもレンズの方はすでに揃っているのでボディーだけ、機種も決まっています。
価格も、値崩れして来てずい分安くなっているみたい・・・。
でも、まだ決心がつきません。
触る時間の方が問題です。
ああ、でもやっぱり1台欲しいです。
takさんの場合、とりあえずボディーとワイドレンジのズームレンズ1本、これで行くしかないんじゃない?
やっぱりいいよぉ!一眼レフは。
投稿: Mikio | 2009年1月31日 19:56
mikio さん:
>takさんの場合、とりあえずボディーとワイドレンジのズームレンズ1本、これで行くしかないんじゃない?
>やっぱりいいよぉ!一眼レフは。
ああ、mikio さんまでそうやってたきつける ^^;)
でも、新しいコンデジ買ったばかりだから、当分無理です。
でも、やっぱりそのうち欲しいなあ。
投稿: tak | 2009年1月31日 20:59