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2009年3月 1日

天然繊維と静電気

ある肌着メーカーに、消費者から不可解なクレームが寄せられた。シルク 100%と表示された肌着を着ているのに、静電気で悩まされているというのである。

その消費者は、「天然繊維は静電気が起きない」とテレビ番組で聞いたので、きっと虚偽表示に違いないと言うのである。

こういうクレームというのは、メーカーとしては本当に困ってしまうのである。まず、「天然繊維は静電気が起きない」というのは、どのテレビ番組で聞いたんだか知らないが、そっちの方こそ「虚偽」である。

確かに天然繊維は合成繊維に比べて静電気を生じさせにくいが、「静電気が起きない」というわけじゃない。乾燥したウールはポリエステルと同じくらいの静電気を生じさせることがあるし、シルクもその半分ぐらいだが、静電気を起こす。コットンはかなりましだが、それでも皆無というわけじゃない。

だから、静電気が起きるからといって、「シルク 100%」の表示がウソだというのは、濡れ衣(濡れ絹 ?)である。

それと、もう一つ、こっちの方がより重要なポイントだと思うのだが、その消費者は「シルク 100%」と表示された肌着だけで、あちこち歩き回っているわけではあるまいと思うのである。多分(というか、そうでないと困るのだが)、肌着の上にいろいろな服を重ねているはずだ。

肌着の上に着ている服は、たとえウールやコットンなどの天然繊維でできていても、裏地はポリエステルという場合がとても多い。そうなると、湿度の低い状態では静電気が起きて当然なのである。

それなのに、どうして 「静電気に悩まされるから、『シルク 100%』 というのは虚偽表示に違いない」 という結論に短絡するのか、理解に苦しむのである。世の中というのは、思いこんでしまったら、その他の考えは浮かばないという人が、案外多いようなのだ。

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コメント

私は百パーセント表示に疑問を抱くことが多い方です。静電気でなくとも燃やしたり、顕微鏡などで観察すれば良いのでしょうが、もっとも結果として分かるのは細番手の糸を使った生地の肌触りなどではないかと思います。

製糸の方法にもよるでしょうが、洗濯で落ちる糊などでなくコーティングなどの表面加工の按配など、また素人ではやはり判断がつかないポリエステル素材ものもあるかと思います。一番最終的に結果として見えるのは生地の痛み方でしょうか。天然素材では不可能な耐久性をしばしば見かけることがあります。

投稿: pfaelzerwein | 2009年3月 1日 07:57

「あちこち歩き回っているわけではあるまいと思うのである」 -

これについてもゴム底の靴を履いていては静電気は溜まるばかりでどんな服を着ていても駄目です。天然素材を身に付けながら尚且つ天然皮底の靴で流してやらなければいけません。そうすることで初めて天然素材の衣料が殆ど静電気フリーとなります。

繊維会社の人にそれを話すとそこまで拘る人はやはり少数だから市場としては小さいと語っていましたが、バイオ商品ブームの今その当時の事情とはやはり市場も異なって来ているでしょう。

投稿: pfaelzerwein | 2009年3月 1日 08:16

pfaelzerwein さん:

>私は百パーセント表示に疑問を抱くことが多い方です。静電気でなくとも燃やしたり、顕微鏡などで観察すれば良いのでしょうが、もっとも結果として分かるのは細番手の糸を使った生地の肌触りなどではないかと思います。

厳密に言えば 100%なんてことはありえないので、品質表示法で、ある程度のアローアンスがとってあります。

>天然素材では不可能な耐久性をしばしば見かけることがあります。

確かに、たまにありますね ^^;)

>これについてもゴム底の靴を履いていては静電気は溜まるばかりでどんな服を着ていても駄目です。

いろいろな要因が重なっているので、むずかしいんですよね。
ただひたすら、いろいろなところを触りまくってアースしてあげるのが一番のような気がします。

投稿: tak | 2009年3月 1日 23:24

自分は静電気持ちです。
朝イチで会社の金庫を開ける係なんですが、ウールのスーツ、乾燥した社内環境、金属製の金庫と静電気の起きる環境ばっちりなので、本当に怖いです。
でもどんなに絹が静電気起きないって言っても、100%防ぐなんて思わないですけどね。

投稿: 雪山男 | 2009年3月 2日 12:41

雪山男 さん:

金属を触る前に、壁にべったりと触ると、かなり静電気を防げますよ。
(体験から、自信を持って言えます)

投稿: tak | 2009年3月 2日 21:31

私はまだ拘ってますよ。金属を触る前に、瑞々しい若い女の子にべったりとなんて駄目ですか?なんか、あまりに強い反力も感じて仕舞いがちですが。静電気って、乾いたオヤジの方が起き易そうですね。

投稿: pfaelzerwein | 2009年3月 3日 11:27

pfaelzerwein さん:

>金属を触る前に、瑞々しい若い女の子にべったりとなんて駄目ですか?

裸足の女の子にべったりなら、かなり効果がありそうですね。

(「裸」 ではなく、「裸足」 ですよ。裸でも、ぜんぜん構いませんが ^^;)

投稿: tak | 2009年3月 3日 11:39

takさん

『そんなにパチパチがイヤなら、水にでも浸かって暮らしなさい』と戯れ言が出てくるのを堪えまして。(笑)

私の場合は放電管内蔵のキーホルダーが望外に効果ありでした。シーズン中はいつもスーツのポケットに忍ばせています。

クルマに関しては、革シートが静電気防止に効果大ですね。自分のクルマに乗る際には家族ともども全く気にしなくて済むようになりました。
会社のクルマは化繊のシートなので(当たり前ですが)冬場の乗り降りの際は気を遣い、摩擦を少なくするようにしながら、放電管を併用しています。

静電気対策は、如何に逃がすかがポイントとなるでしょうが、件のご婦人はそこまで視野が伴わない。リソース元がTV情報の鵜呑みだけでは致し方無いでしょうが・・・。

無知の知を身に付けていただきたいところですね。
それがあれば少なくとも、判断材料が乏しい中で虚偽表示と断定してクレームをつけるという愚行には至らないでしょうから。

投稿: 貿易風 | 2009年3月 7日 01:20

貿易風 さん:

>無知の知を身に付けていただきたいところですね。
>それがあれば少なくとも、判断材料が乏しい中で虚偽表示と断定してクレームをつけるという愚行には至らないでしょうから。

まさに、そこですね。ポイントは。

投稿: tak | 2009年3月 7日 09:41

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