昭和の日常と平成の異分子 - 銚子異聞
昨日、ひょんなことから千葉県の銚子市を訪れた。別に遊びに行ったわけではなく、本当は仕事で茨城県の神栖市に行ったのだが、昼飯を食いに、銚子まで行ったのである。
神栖市の波崎というところから、利根川にかかる銚子大橋を渡れば、そこは銚子市なのであった。
せっかく銚子まで来たのだから、おいしい魚を食べようということになり、神栖市在住の関係者 2人と銚子のなんとかホテルのかんとかレストランで昼食メニューを食べた。お刺身つきで 1,050円。安くておいしい。さすが日本有数の漁港の街である。
で、日本有数の漁港の街とはいうのだが、街全体はどちらかというと、さびれかけたた感じである。聞けば銚子市の人口は 7万人台まで減少しており、千葉県でも人口減少率が第 3位の自治体となっているらしい。
例の市立病院をどうするかの問題で市長のリコールの是非を問う投票が、ほぼ 1週間後の 29日に迫っているというニュースが注目を集めていた(参照)が、実際に銚子市に足を踏み入れてみると、そんなような緊迫したようなイメージはない。どこまでものんびりした地方都市である。
せっかく銚子まで来たのだから、犬吠埼を眺めて帰ろうということになり、かの有名な灯台を目指して車で行ったのだが、さすがに 3連休の 2日目、観光客が多い。かの有名な「ぬれ煎餅」でも買って帰ろうかと、銚子電鉄の犬吠駅というところに寄ってみると、観光バスで乗り付けた一団が大いに盛り上がっている。
どうやら観光バスで犬吠駅まで来て、ちょうどやってくる銚子電鉄のボロ電車に乗るというのが、その観光ツアーの目玉であるらしい。観光客はわれ先にぬれ煎餅を買い、平成の御代とも思われない小さなホームに出て、電車が来るのを待つ。
しばらくすると、踏切の警報機がものすごく時代がかったカンカンいう音と共に閉まり、向こうから電車がやってきた。すごい。屋根はサビサビで、編成はわずか 1両。申し訳ないが、よくこんなものが動いているなあという感じで、ある意味、その感覚がものすごくしびれる。
その電車がホームに止ると、待っていた観光客がどっと乗り込む。到底乗り切れそうには思われなかったが、必死に詰め込んで、どうやら全員乗れたらしく、おもむろに出発していった。多分、そこまで乗ってきた観光バスがどこかの駅に先回りして待っているのだろう。(この日の和歌日記は、こちら 画像あり)
なんだか、映画でも見ているような感覚なのであった。そこには平成ではなく、明らかに昭和があった。考えてみれば、日本のあちこちに昭和は残っている。そして昭和は今では、観光の対象となる「非日常」なのであった。
さらに言えば、平成の目からみれば「非日常」ではあるが、現地の感覚からすれば、しっかりと「日常」以外の何物でもないのであり、そこに「平成の異分子」が押し寄せているだけなのであった。
銚子の市立病院がどうこうというのは、その昭和の日常の中に否応なく押し寄せ 「平成の異分子」が巻き起こすギャップというものなのではないかと、そんなような気がしたのであった。
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コメント
私も親類が千葉の九十九里の方にいますので、犬吠埼にも何回か立ち寄ったことがありますが、確かにノスタルジックを感じますね。
夏の晴れて暑い日に行ったので、古き良き「夏休み」のイメージにぴったり当てはまる感じがしました。
そういえば、大分麦焼酎「二階堂」のTVコマーシャルも実にレトロな昭和の感じがして、私は大好きです。
投稿: 雪山男 | 2009年3月23日 19:19
雪山男 さん:
>私も親類が千葉の九十九里の方にいますので、犬吠埼にも何回か立ち寄ったことがありますが、確かにノスタルジックを感じますね。
>夏の晴れて暑い日に行ったので、古き良き「夏休み」のイメージにぴったり当てはまる感じがしました。
なるほど、あそこは古き良き夏休みですね。
ちょっと近くの潮来もなかなかのもんですよ。
古くて、いいんだか悪いんだかよくわからない夏休みって感じです。
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2007/03/post_c8a2.html
>そういえば、大分麦焼酎「二階堂」のTVコマーシャルも実にレトロな昭和の感じがして、私は大好きです。
見たことがなかったので、YouTube でいくつか見てみました。
なかなか遊んでますねぇ。
シリーズでここまでやったのは偉いと思いました。
投稿: tak | 2009年3月23日 22:55