ごめんね、サムライ・ジャパン
昼間から、あちこちのオフィスで歓声が聞こえる。どこでも仕事そっちのけで、WBC 決勝戦の中継に夢中のようだ。
私は 3月 7日付の記事で書いたように、WBC にはほとんど思い入れがないので、「みんな呑気だなあ」なんて思っていたが、なんと、日本はまた優勝しちゃったようなのだ。
それにしても、日本が決勝に進出したと聞いた時から、「これは一言、謝っとく必要があるな」とは思っていた。何しろ、私は上述の記事で、「盛り上がってる人は、日本の連続優勝を夢見ているようだが、多分無理だろう。そもそも、前回の日本優勝はできすぎだった」なんて書いてしまったのだ。
その上、よしゃいいのに、「第 2ラウンドには当然のごとく出場できるだろうが、そこから先はよほど運がよくなければ勝ち上がれないだろう」なんてことまで書いてしまった。さらに、日本はよくて準決勝止まりだろうといったようなことまで書いている。ああ、書きすぎだった。今さらのように後悔しているのである。
本当にごめんね、サムライ・ジャパン。あなたがたがこんなにまできっちりとした勝負ができるとは、よもや思わなかった。脱帽だ。日本が優勝できたら坊主頭になるとか、逆立ちして神田の街を一周するとか、そんなような悪ノリしすぎたことを書かずにいてよかった。
それにしても今回の結果を生んだ要因は、日本と韓国における異様なまでの WBC への入れ込み方だという気がする。日本もすごいが、とくに韓国がすごい。野球でこんなにまで熱くなれるのは、世界でもこの二国以外にないんじゃなかろうか。
他の国での注目度なんて、大したことないみたいなのである。米国での試合の中継を見ても、観客席なんかガラガラじゃないか。注目度が今イチな上に、選手の WBC での働きが直接ギャラに反映されるなんてこともないみたいなので、どうもインセンティブ不足のような気がするのである。
そこに行くと、日本と韓国は、なかなか健気なものである。純粋に WBC における優勝の栄誉にあずかろうと、真剣になって勝負している。韓国なんか、グラウンドに国旗を立てるなんてぶっ飛び方をするまでに、チョー・マジになっている。
ああ、私はこの日韓のメンタリティを軽視しすぎていたのである。WBC に関する「マジさ加減」が、日本と韓国の両国は飛び抜けて高かったのだ。こんな純粋なモチベーションがあれば、そりゃ、野球ってメンタルなところのあるスポーツだもの、勝ち進んでも不思議じゃない。
恐れ入ってしまったのである。おめでとう、サムライ・ジャパン。かくなる上は、3年前の優勝直後に書いた(参照)ように、日本の誇る「胴上げ」という文化を、マジに世界に広めてもらいたいと思うのである。
なにしろ、2回連続優勝というのは、ちょっとした偉業である。この偉業を為し遂げた国に経緯を表して、そのファンタスティックなお約束的セレモニーである「ドーアゲ」を、世界のベースボールが取り入れてもいいのじゃないかと思う。願わくは、ワールド・シリーズの優勝チームの監督が胴上げされるなんてことになったら、さぞ素敵だろうなあ。
【3月 25日 追記】
「侍ジャパン」を「サムライ・ジャパン」と表記した意図を書き落としていた。2度も続けて優勝したのだから、国際語に昇格させた方がいいのではないかという思い入れから、敢えて「サムライ・ジャパン」と書かせていただいた。
決してふざけてるんじゃないので、念のため。
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コメント
大人げない人ですね。
投稿: UREKOK | 2009年3月24日 21:05
計らずも、日本(どーも侍ジャパンというネーミングに抵抗がある…)チーム2連覇です。
素直にうれしいッス。
少年野球あがり(←自慢にも何にもならん!)のオッチャンとしては、野球で世界一という響きが、とても心地よくあります。
今後、アメリカさんがどー出て来るか見物ですが、今の所、野球のワールドカップにおいては、優勝経験、日本しかありましぇ〜ん!しかも2連覇!
ハイ、会社の『日本世界一記念飲み』に動員され、気分はハイファイブ!のオッチャンでした。
野球はいいぞぉ〜!
投稿: 乙痴庵 | 2009年3月24日 21:52
UREKOK さん:
>大人げない人ですね。
褒め言葉と受け取っておきましょう。
投稿: tak | 2009年3月24日 23:13
乙痴庵 さん:
>ハイ、会社の『日本世界一記念飲み』に動員され、気分はハイファイブ!のオッチャンでした。
3回目は、是非胴上げもしてください。
(誰を? と突っ込まれそうですが、その辺は適当に ^^;)
投稿: tak | 2009年3月24日 23:16
takさん
前回も今回も、ですが、日本チーム、ここぞというときは負けていないのですね。
河合速雄センセイの言葉に「100点以外はダメなときがある」というのがありますが、そういう意味では重要な試合は100点満点の出来だったかと思います。>日本チーム
上出来過ぎる結果なのかもしれませんが、日本代表にその結果を手繰り寄せるだけの実力があった事は世界中の誰もが認めなくてはならないでしょうし、認められるものだと思いたいですね。
しかし、対戦相手との力の差は点差ほどには無かったのでは?という印象でした。栄誉を韓国は勿論のこと、米国やベネズエラ、或いはキューバに持っていかれたとしてもそれほど不思議は無かったのかもしれません。
しかし、今回も勝ったのは日本。
嬉しい限りです。
プロを含めた日本の野球にそれほど興味の無い私ですが(大昔通っていた高校に野球部が無かったから?)今回の勝利の瞬間はガッツポーズが入りました。
投稿: 貿易風 | 2009年3月25日 02:06
貿易風 さん:
>上出来過ぎる結果なのかもしれませんが、日本代表にその結果を手繰り寄せるだけの実力があった事は世界中の誰もが認めなくてはならないでしょうし、認められるものだと思いたいですね。
私も、その通りだと思います。
>しかし、対戦相手との力の差は点差ほどには無かったのでは?という印象でした。栄誉を韓国は勿論のこと、米国やベネズエラ、或いはキューバに持っていかれたとしてもそれほど不思議は無かったのかもしれません。
これもまた、その通りだと思います。
野球というのは、かなりその時々の流れに左右されるスポーツだと思います。
他のスポーツほどには、「順当勝ち」 というのが多くないですね。
何しろ、シーズン優勝するチームの勝率が 6割前後で、3回やって 2回確実に勝ったというわけじゃなかったりする年の方が多いわけですから。
その中で、「微妙な差」 をものにしたというのは、それはそれで意味があるということだと思います。
しかも、2回続けてですから、認めないわけにはいきませんね。
投稿: tak | 2009年3月25日 10:25
どうして強いチームでも6割程度の勝率にしかならないのか、ずっと考えてました。
これは多分、ヒットがある程度連続しないと得点につながらないことと無縁ではないような気がします。強いチームの平均打率が3割だったとして、3連打の出る確率は単純計算で2.7%。スリーアウトまでに3本ヒットが出る可能性は…数学の得意な方に任せますが、そんなに高くないでしょう。弱いチームの平均打率が2割5分だったとして、おそらくそんなに確率は変わらないのではないかと思うのです。あくまでも平均としてマクロ的にみれば、ですが。
もちろん、現実には投手との組み合わせ、長打率、死球やエラー、犠打や盗塁などによって確率は大きく変わって来るでしょう。その意味で、今回の日本チームの特徴は、非常に積極的に盗塁をしたこと、エラーも相手の方が圧倒的に多かったことなどがあげられるのではないでしょうか。投手の出来がよく、相手の打線を本来の打率より有意に低い水準にとどめたのも大きかったでしょう(岩隈投手が楽天イーグルズにいながら21勝もできたのも、ひとえにこれではないでしょうか)。
巨人というチームは長年にわたり長打力で確率を有利にしてきたと思うのですが、昨年の原監督は足や守備を見込んだ若手を起用し、ちょっと違う感じがしました(ちなみに、私はアンチ・ジャイアンツなので、あまり愉快ではありませんでした)。今大会で味をしめて、シーズン中も盗塁を多用した確率変動を狙ってくるかな?
投稿: きっしー | 2009年3月25日 12:49
きっしー さん:
分析の通り、野球はいかに守るかというスポーツなんでしょうね。
その一環で、ピッチャーの負担が大きく、4~5日に 1度しかベスト…メンバーを組めないのに、試合はそれ以上のペースで組まれるという要素も大きいと思います。
(連投してしまうと、ベストメンバーとは言えないので)
ピッチャーが違えば、まるで別のチームみたいになっちゃうというのも、野球の要素の一つなんだと思います。
投稿: tak | 2009年3月25日 20:48