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2009年3月 7日

WBC には感情移入しにくい私

WBC がいつの間にか始まってしまっている。私は野球というスポーツに、なぜか感情移入しにくいタイプのようで、今回も申し訳ないが、我ながらシニカルな態度である。

盛り上がってる人は、日本の連続優勝を夢見ているようだが、多分無理だろう。そもそも、前回の日本優勝はできすぎだったと思う。

「サムライ・ジャパン」はそれほど強いチームじゃない。初戦で中国を相手にようやく勝っているようなチームである。第 2ラウンドには当然のごとく出場できるだろうが、そこから先はよほど運がよくなければ勝ち上がれないだろう。

そもそも、3年前だって「瓢箪から駒」みたいな幸運で準決勝に勝ち上がったのである。(参照 1参照 2)それまでの第 1ラウンド、第 2ラウンドのリーグ戦における日本チームの戦績は 6戦して 3勝 3敗。勝率は 5割でしかなかったのだ。

準決勝に勝ち上がった他の 3チームは、韓国 6勝 0敗、ドミニカ 5勝 1敗、キューバ 4勝 2敗。日本は「何でここにいるの?」 と言われてもおかしくない、お恥ずかしい戦績でたまたま勝ち上がったのである。

そんなチームが最終トーナメントで幸運にも続けて 2勝できたために、優勝してしまった。そもそも、この時の準決勝というのがおかしい。私は 3年前の記事(上記の 参照 2)で、次のように批判的に書いている。

フツーの常識だったら、準決勝は、2つのリーグ戦組の 1位と 2位が対戦することになるのだろうが、今大会では、そうした常識は無視され、同一組の上位 2チームの対戦となっている。これだったら、トーナメントの準決勝というより、リーグ戦の 2つの組のプレーオフで、勝った方が決勝進出という方がわかりやすい。

この妙なシステム(参照)のおかげで、第 1、第 2ラウンドで勝率 10割だった韓国は、準決勝で初めて日本に 1敗したために、決勝に出られなかった。私は韓国贔屓というわけじゃないが、この時ばかりはつくづく気の毒に思ったものである。

今回は少しシステムが変わったみたいで、第 1、第 2 ラウンドは、リーグ戦方式ではなく、ダブルエリミネーション方式になって(参照)、2回負けるまでは敗者復活戦に出ることができる。

つまり、勝率 5割でも、うまい具合に勝ったり負けたりすれば、準決勝まではいける。圧倒的な強さがあるわけではない日本には、少しありがたいシステムだろう。

だが準決勝は、異なった組の 1位と 2位が戦うという、ようやく世間の常識通りのシステムが採用されている。これで、余計な「まぎれ」的要素が入り込む余地が、少しは減った。日本はせいぜいここまで止まりという気がする。

とはいえ、野球というのはちょっとした成り行きの変化で勝負がひっくりかえるスポーツである。なにしろ、日本のプロ野球だって、優勝チームは 10回やって 6回勝ったわけじゃなく、最下位チームだって 10回やれば 4回ぐらいは勝っているのである。

今回も、いろいろ思いがけない要素(前回のヘボ審判、ボブ君みたいな)がちりばめられれば、少しはおもしろくなるだろう。しかし順当な結果の積み重ねみたいなことになれば、野球ファンの方々には甚だ恐縮だが、サムライ・ジャパンは途中で討ち死にするだろうと、書いておくことにする。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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