「整理整頓」 ということ
近頃、書類整理に追われている。関係先の事務所が引っ越しをすることになり、その準備で大わらわなのだ。
しかしそれにしても、オフィスの書類棚の奥というのは、どうしてこんなにも要らない書類ばかりなんだろう。どうしてもっときちんと捨てておかなかったんだろう。
私はこれまで、オフィスの引っ越しというのを数回経験しているが、その度に奥の方から要らないものばかり洪水の如く出てきて、それらを捨てるだけで大変な作業になっていた。まあ、おかげで引っ越した先ではとても身軽な状態になることができるのだが。
ちなみに、普段の書類や道具の片付けのことは、「整理整頓」なんていうことが多い。「整理」「整頓」という二つの言葉をワンセットにし、「整理整頓」という四文字熟語のように使っている。ところが、引っ越し前の大わらわは、「整理整頓」ではない。ただひたすら「整理」である。これには、ちゃんと理由がある。
Goo 辞書で「整理」と「整頓」という 2つの言葉を調べてみると、次のようになる。
整理
1.乱れているものをそろえ、ととのえること。
1.不必要なものを取り除くこと。
1.会社が支払い不能・債務超過に陥るおそれや疑いがある場合、裁判所の監督下に会社の再建を図る目的で行われる手続き。商法で規定されている。
整頓
- 物事をととのった状態にすること。
つまり「整理」という言葉には、「捨てる」とか「見切りを付ける」とかいう意味合いが、どうやら半分以上含まれているようなのだ。だから「人員整理」というと、大抵は首切りの意味で使われる。
一方、「整頓」の方は捨てるというニュアンスがなく、ひたすらきちんと整えるという意味合いだ。オフィスの書類などは、「整頓」するのみで「捨てる」ということをしないと、余計なものがたまる一方になるから、「整理整頓」というのはどうしても必要になる。
よく見かけるのは、一見とてもよく整頓されているけれど、書類棚の中に整然と並んでいるのは、ここ数年、手に取ったこともないような不要書類ばかりというオフィスだ。そのくせ現在進行形の業務の書類は、各自のデスクの上に堆積していて、その案件が終わっても、書類棚が一杯なので、しばらくはデスクの上に堆積しっぱなしというのが多い。
もっとも便利な特等席である書類棚がはるか昔の不要書類で占領され、最近の必要な書類はうず高い堆積のどこかにあるというのでは、本末転倒だ。やはり「整頓」 一辺倒ではナンセンスになり、どこかで「整理」をしなければ、どうにもならなくなる。
というか、私としては、半年に一度とかの割で「整理」さえきちんとしておけば、「整頓」なんてあまり必要ないんじゃないかと思っている。見た目にこだわらなければ、それで十分だ。
私は前にも書いたように、PC のハードディスクの中身は、人に誇れるほどきちんと整理整頓されていて、何年前のファイルでも、即座に取り出すことができる(参照)。ところが現実のデスクトップ、つまり机の上は、人に見られるのが恥ずかしいぐらいゴチャゴチャだ。
しかし、これであまり不便は感じていない。現実のデスクトップの上に堆積してしまった書類は、半年か四半期に一度ぐらいのペースで、ほとんど何も考えずに思い切りどんどん捨ててしまえばいい。
絶対に保存しておく必要があるのは、官公庁に提出した書類や契約書類の割り印の押してある控えと、保証書やプロバイダーから送られてきたインターネット接続の仕様書ぐらいのものだ。マニュアルなんかは、よほど頻繁に使うのでもない限り、今は必要に応じてメーカーのサイトから PDF でダウンロードできるし。
万が一、何かの会議で配付された資料などを捨ててしまった後で、急に必要になったりしても、その資料の作成元にメールで丁寧に依頼すれば、大抵はすぐに添付ファイルで送ってくれる。
便利な世の中になったものである。「整頓」なんかに手間をかける暇があったら、余計なことは考えず、「整理」すなわち、どんどん捨ててしまえばいいのである。そうすれば、引っ越しの時だってほいほいと気軽に移動できる。
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コメント
>私は前にも書いたように、PC のハードディスクの中身は、人に誇れるほどきちんと整理整頓されていて、何年前のファイルでも、即座に取り出すことができる (参照)。ところが、現実のデスクトップ、つまり机の上は、人に見られるのが恥ずかしいぐらいゴチャゴチャだ。
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私も以前にコメントさせていただきましたが、同じです
PCのHDの中は、MS-DOSの時代からスッキリしています
ときどき整理するのではなく、保存する時から分類の原則があるからです
リアル・デスクトップの方は、思い立つと徹底的に整理整頓します
でもまた、元の木阿弥にもどりますけれどね
ただし、乱雑でも、どこに何があるかは、ちゃんとわかっています (笑)
これも、ものを置くときに、何をどの場所に置くという原則論を持っているからです
置くべき場所の判断がつかないものは、未決という場所に置きます
ただし、なにかの原因で急いだり、酔っぱらったりすると、この原則が崩れて、行方不明になります
投稿: alex99 | 2009年4月11日 01:38
alex さん:
>私も以前にコメントさせていただきましたが、同じです
>PCのHDの中は、MS-DOSの時代からスッキリしています
>ときどき整理するのではなく、保存する時から分類の原則があるからです
私も大体似たコンセプトで分類していると思います。
問題は分類の仕方ですね。
時間軸と分野別の軸のどちらを根元にもってくるか、どの程度細かく分類するか。
これを間違えると、かえって使いづらいものになります。
まあ、この辺は経験によって確立された頭の中の分類原則を反映させればいいので、それほど悩むことではありませんが。
ただ、頭の中に分類原則のない人、あるいは分類の仕方が間違っているという人が案外多いようで、そういう人のハードディスクの中身は、かなり悲惨です ^^;)
私がよく見かけるのは、次の二種類です。
1.いい加減なファイル名のまま、なんでもかんでもテキトーに My Documents に放り込んでしまうので、後で探すのが大変な人。
2.ツリー状の階層化という原則に無頓着なままで細かく分類するので、どのフォルダに格納したかわからなくなってしまう人。
要するに、ツリー状の階層化という原則をきっちりとわかっていればいいのですけどね。
私の場合は、まず分野別にざっくりと大分類してから、その下に時間軸 (年、あるいは年度ごと) に沿ったフォルダを置き、その下に中分類を置きます。
多くの人にとっても、これが最も効率的だと思います。ただ、細部の調整は必要ですが。
毎年のルーティン・ワークならば、前年度のフォルダから取り出してきてちょいちょいっと修正し、新年度のフォルダに収めればいいわけです。
投稿: tak | 2009年4月11日 09:06
自分の場合、そもそも本当に気に入ったものしか自室に
入れないので、整頓だけしておけば十分です。
仕事の書類などは店の方の管轄なのでそっちは整理が必須ですが。
気に入ったものがいつもずっと部屋にある、というのも
それはそれでいいものなのではないかなと思いました。
生意気失礼いたしました(礼)。
投稿: 緑茶好き | 2009年4月12日 09:51
緑茶好き さん:
職住完全分離のようですね。
恵まれた環境です。
投稿: tak | 2009年4月12日 23:09