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2009年5月28日

選挙って、本当に馬鹿馬鹿しい

一昨年 4月 17日付の記事に対するコメントとして山辺響さんが、社民党の保坂展人氏のブログから私の本宅サイトの記事にリンクが張られていると知らせてくださった。

なるほど、彼の昨日付の記事が、私の "選挙カーの「連呼」は「迷信」から生じているらしい" という記事を紹介してくれている。

ただ、私のサブサイト「知の関節技」が、「知の間接技」と表記されてしまっているのは、何とかしてもらいたいのだが、保坂氏のブログはコメントを受け付けない設定になっているので、ノーティスできないのが残念だ。これだけでなく、この人のブログ、かなり誤字脱字が多い。早く気付いて修正してくれないかなあ。(注: 28日に修正確認)

私の記事は、公職選挙法においては選挙カーでは走行中は候補者の名前の連呼しかしちゃいけないということになっていることに、強烈に疑問を呈したものだ。私はこの問題に関してはかなり執念を燃やしている。当ブログの「選挙の馬鹿馬鹿しさの根源は公選法」という記事をご覧いただければ、関連記事へのリンクもばっちりなので、理解しやすいと思う。

公選法がどんなに馬鹿馬鹿しいかというのは、第141条の3 の、「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」という条文を読むだけでわかると思う。これは日本一シュールな法律条文だと思う。この条文を作成したお役人の頭の中を覗いてみたい。読まされる方が恥ずかしい。

要するに公選法においては、原則として選挙運動というのはしちゃいけないことになっているのである。しちゃいけないけど、例外として、これこれのことはしてもいいよという構造になっていて、その例外事項の中に、選挙カー走行中の 「連呼行為」 というのが挙げられているのだ。

というわけで、早く言えば、公職選挙法では、選挙カー走行中は連呼しかできないということになっているのである。ああ馬鹿馬鹿しい。

日本では、公職選挙法の中にいちいち馬鹿馬鹿しいほど細かく列挙された例外事項に当てはまらない選挙運動をすると、選挙違反になっちゃうのだ。インターネットを使うということも、例外事項として記されていないから、日本では選挙キャンペーンにウェブを使えないのである。馬鹿馬鹿しいことに。

で、私はちょっとずっこけてしまったのだが、保坂氏のブログを読んだら、保坂氏自身が選挙カーでは連呼しかできないということを知らなかったようなのである。それどころか、「連呼はしちゃいけない」と、逆のことを先輩から教えられていたというのだ。

保坂氏が知らなかっただけでなく、「番組 (日テレの 『太田総理』 ) に出演した政治家全員が『ホントなのそれ』と首を傾げた」とある。多くの政治家が知らないらしい。選挙運動のプロは、この辺には詳しいようなのだが。

多くの政治家が知らないんだから、公職選挙法がいかに馬鹿馬鹿しいものであっても、改正されることもなく放りっぱなしで今まで来たんだろう。

一方、法律の網の目をかい潜ってセコイことをするのが商売の選挙運動のプロにとっては、馬鹿馬鹿しい法律はかえってメシの種になるから、変えられちゃ困る。だから、選挙のプロは守旧勢力となりやすく、そのプロに操られるのだから、政治家も口ではなんだかんだ言っても、選挙システムにおいては結果として守旧勢力である。

私は選挙権を行使しないのは愚かしいことだとして、選挙の度に律儀に投票に行っている。だが、それほど律儀な私も、「選挙なんて馬鹿馬鹿しい」と言って投票しない若者の気持ちがよくわかる。本当によくわかる。

だって、本当に選挙って馬鹿馬鹿しいのだもの。こんなにも馬鹿馬鹿しいのだもの。

こんなにまで馬鹿馬鹿しい選挙システムを放置しておきながら、いけしゃあしゃあと「投票に行きましょう」なんて呼びかけるのは、はっきり言って欺瞞である。これが欺瞞でなくて、何が欺瞞だというのだ。

私は選挙権をまともに行使したいから、そして欺瞞はイヤだから、この国の現行の選挙システムの馬鹿馬鹿しさを、少しは改めてもらいたいと思っているのである。その気持ちの現れとして、「選挙に Web を使わせろ」という一人キャンペーンまで張っているのである。

選挙に Web を使わせろというのは、公職選挙法の馬鹿馬鹿しさを改めるための象徴だと思っている。

当ブログの、この問題の関連記事一覧 (だんだん核心に迫っているかも)

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

ばかばかしいついでなんですが、戸別訪問も禁止されているのもばからしいですよね。
アメリカ大統領選挙で候補が個人の家に行って、その場で政策論争をしながら支持を訴えているのをみて、日本も早いところ解禁したらいいのにと思うんですがね。
一般人と政策論争をする能力もなければ、官僚と政策論争することもできるわけないと思うのですがね。

投稿: 雪山男 | 2009年5月28日 09:08

雪山男 さん:

>アメリカ大統領選挙で候補が個人の家に行って、その場で政策論争をしながら支持を訴えているのをみて、日本も早いところ解禁したらいいのにと思うんですがね。

日本は米国と土壌が違うので、戸別訪問してもなかなか政策論争までいかないんじゃないかなあとも思います。
「はぁはぁ、わかりました。はいどうも」で済んじゃうのが6割、「今忙しいから」 という門前払いが 2割、残りがなんとか話になるという程度かなあ。

>一般人と政策論争をする能力もなければ、官僚と政策論争することもできるわけないと思うのですがね。

某○○党関連某○○学会員から電話がかかってきても、「○○さんは、とてもいい人だから」ってのが多いですね。
いい人なら、そこら中にいますが ^^;)

投稿: tak | 2009年5月28日 11:12


 候補者がきちんとそれぞれwebで公約をあげてくれたり、政策について明記してくれればこちらもとても助かるのですけれどもね。

 明らかに、それらを明確にしたくないが為にwebを使う事を拒んでいるのではないかって勘ぐっちゃいます。

投稿: きんめ | 2009年5月28日 11:58

きんめ さん:

>候補者がきちんとそれぞれwebで公約をあげてくれたり、政策について明記してくれればこちらもとても助かるのですけれどもね。

そうなんですよ。

私は日曜が休みって訳じゃなく、出張してたりすることが多いので、しょっちゅう期日前投票をするんですが、候補者を紹介した 「選挙公報」 がまだ出てないってことが多いんですよ。

そうなると、投票する判断材料がほとんどないんですよね。

これは本当に乱暴な話です。期日前投票という制度があるんだから、その時点できちんと判断できる材料を出しといてくれなきゃ困ります。

前に問いあわせたら、掲載順を決めるくじ引きをしたり、校正をしっかりするので、投票日の四日前でないと間に合わないんだそうです。

そんなの、さっさと済ませろよ。校正なんて、原稿をデジタルで提出させてそのまま載せれば、しなくて済むじゃん ^^;)

投稿: tak | 2009年5月28日 12:37

ある選挙の最終日、京都の四条河原町での体験談。
某政党候補者は“頑張ってます、頑張ってます、最後の最後まで頑張ってます”と午後6時から8時まで絶叫してました。それ以外は何一つ言ってませんでした。そして通りがかりの支持者の某学会員がこぶしを振り上げて“エイエイオーッ”と天を突いていました。
あまりのバカバカしさに脱力しました。

公選法により停車している選挙カーの上からは政策を訴えてはいけないのでしょうか。
だとしたらバカバカしいのは公選法ですね。

投稿: 偽浜っ子 | 2009年5月28日 13:55

今気が付きましたが、停車している選挙カーの上からは政策を訴えるのは認められているようですね。
だとしたらバカバカしいのは四条河原町の候補者ですね。
政策を訴える貴重な時間を自ら潰してる。

投稿: 偽浜っ子 | 2009年5月28日 14:21

偽浜っ子 さん:

>停車している選挙カーの上からは政策を訴えるのは認められているようですね。
>だとしたらバカバカしいのは四条河原町の候補者ですね。
>政策を訴える貴重な時間を自ら潰してる。

某学会員の士気を鼓舞することのみが目的だったんでしょうね ^^;)

投稿: tak | 2009年5月28日 15:31

「選挙って、本当に馬鹿馬鹿しい」も「選挙に Web を使わせろ」もどちらも大同意!です。
ところで保坂さんのブログ、「知の関節技」に修正されてますね。
てことは、この新規エントリーをご覧になられたのか、それともどこからかのルートで情報が行ったのか、、と、それはともかく冒頭2行目の「小坂氏のブログ」はなかなかな間接技だと思いました!
どっちも単純変換では出て来ない(^^ゞ

投稿: traceraser | 2009年5月28日 15:33

traceraser さん:

>ところで保坂さんのブログ、「知の関節技」に修正されてますね。

ありがたいです。

>と、それはともかく冒頭2行目の「小坂氏のブログ」はなかなかな間接技だと思いました!

ありゃ、失礼しました。
ご指摘、感謝です。
保坂さん、ごめんなさい。こちらも修正しました。m(_ _)m

投稿: tak | 2009年5月28日 16:00

この際、「ブログはウェブサイトではないから選挙に使ってもOK」みたいなことになりませんかね(笑)

投稿: 山辺響 | 2009年5月28日 17:37

Webやブログで公約とか考え方が伝えられるようになったらありがたいですね。

ただ、自分は結局、好きな政策を思い込みで決めてしまいそうな気がします。テレビでやってる政策論争で、お互いに主張の土台になっている認識にずれがあって最後まで議論がすれ違いで終わるというパターンを見るたびに、どちらが正しいのか判断する基準が自分にないことを痛感させられていますので…。

この人たちにまかせればいろいろ考えてきちんとやってくれる――という政党が見あたらないのが悲しいところです。

投稿: ぐすたふ | 2009年5月28日 19:00


戸別訪問を許可したら、創価学会会員などに訪問されるかも知れませんね
私はつい、政策論争などしそうなので、鬱陶しいことになりそうです
政経分離の問題も、傾向と対策をねっておかなければ (笑)
宗教的に言えば、釈尊以外への個人崇拝はいかがなものか?なども (笑)

投稿: alex99 | 2009年5月28日 19:27

山辺響 さん:

>この際、「ブログはウェブサイトではないから選挙に使ってもOK」みたいなことになりませんかね(笑)

公選法では、ウェブが禁止されているというのではなく、そもそも選挙運動をしちゃいけないんです。

その中で、「走行中の選挙カーで、連呼ならしてもいいよ」 とあるから、選挙カーでは走行中に連呼しかできないんです。

で、同様に 「ウェブを使ってもいいよ」 という条文がないから、使えないんです。

ウェブを使っていいという条文がないのですから、ブログはなおさらです。

というほど、馬鹿馬鹿しいのです。公選法というのは。

投稿: tak | 2009年5月28日 22:11

ぐすたふ さん:

>この人たちにまかせればいろいろ考えてきちんとやってくれる――という政党が見あたらないのが悲しいところです。

そんな政党は、100年待っても出てきませんよ。
だからこそ、時々政権交代させて、その時々で少しはましな政権を現出させることが必要なんだと思います。

投稿: tak | 2009年5月28日 22:14

alex さん:

>戸別訪問を許可したら、創価学会会員などに訪問されるかも知れませんね

私は創価学会員から電話がきたら、「もう期日前投票を済ませたから」 と答えることにしています。

実際、そうであることが多いので、決してウソじゃないし。

すると、彼らも無駄な時間を費やしたくないらしくて、すぐに電話を切ってくれます。

私としては、彼らと不毛な政策論争などしたくありません。

投稿: tak | 2009年5月28日 22:16

ボランティア運動員を禁止すべきだと思う。
ボランティアで選挙活動に協力するってのは、何か魂胆がある、癒着があると思われかねない。
支持者であろうとなかろうと世の中のために働くのが本当にマクロに物事を考えられる自治体の長や議員というものだろう。
だから、ボランティアの運動員で済まそうとする候補者はどうかと思う。

投稿: mezashi | 2012年5月16日 17:55

mezashi さん:

ボランティア運動員が禁止されたら、草の根選挙もできなくなりますね。

>ボランティアで選挙活動に協力するってのは、何か魂胆がある、癒着があると思われかねない。

選挙運動というのは、ボランティアであろうがなかろうが、魂胆はあるものだと思いますがね。

魂胆のない選挙運動ってどんなものなのか、想像も付きません。

投稿: tak | 2012年5月16日 21:16

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