「モスキート音」 を巡る冒険 その2
昨日の記事で触れた、夜の公園にたむろする悪ガキどもを排除するために足立区が「モスキート音」を流すことにしたという件で、TBS の「バトルトーク」の反応が興味深い。
聴取者の反応は、「いい方法だと思う」が 73名、「そうは思わない」が 138名、 「その他」が 42名だった。
大体においてこの番組は、お上の施策については反対派が圧倒的に多いということになっていて、今回の結果も「いい方法だと思う」に比べて「そうは思わない」が 2倍近い数字だ。サイレント・マジョリティと声の大きな反対派を競わせたら、こんな具合になると決まっている。
TBS のウェブサイトでは賛成、反対、その他のコメントが紹介されている。紹介ページは こちら なのだが、cgi 形式のため、過去の結果に直接行こうとしても固有の URL が表示されないので、面倒だが、バックナンバーから 「2009年05月11日」 付の結果をクリックしてご覧いただきたい。
賛成派のコメントは単純に「効果がありそうなら、とにかくやってみればいい」という姿勢に帰結するのに対し、反対派の挙げる理由は実にバラエティに富んでいる。ざっと挙げても、以下のようになる。
(1) モスキート音そのものに対する疑問・不信
モスキート音の聞こえる年寄りだっている
生態系に悪影響を与えないか
(2) 予測される結果を挙げての疑問
公園から追い出された若者が他の場所にたむろするだけ
その装置が破壊されるだけ (昨日も書いたが、私もそう思う)
(3)精神論と情緒的反対
何でも道具を使って自動化というのは人をダメにする
それよりも、教育をしっかりしろ
追い出される若者がみじめ
人間を動物扱いするのか (これは誤解に基づいているが)
(4) 指導、罰則強化の方向でいけ
追い出すよりも、逮捕して罰則を与えろ
見回りを強化しろ
(5) 政治的、経済的視点から
くだらないことに税金を使うな
メーカーの宣伝に利用されているだけ
この他にも 「はぁ?」 と言いたくなるような反対論もあって、なるほど、世の中にはいろいろな人がいるものだと、感心してしまった。
「モスキート音の聞こえる年寄りだっている」という反対論には、普通、年寄りは深夜の公園にたむろしないだろうと言うしかないし、「教育からやり直せ」とかいう話には、それには時間がかかりすぎるだろうから、何か対症的な方策だって考えなければならないでしょと言いたくなる。この辺は「反対のための反対」と見えなくもない。
指導・罰則強化ということも、交番のお巡りさんが 2人ぐらいで行っても、なかなからちがあかないだろう。片っ端から逮捕しろといっても、警察側がある程度の挑発をしなければそれが可能な事態には至るものじゃない。それをしてしまえば、後から面倒なことになるに決まっている。お巡りさんだって、なかなか大変なのだ。
私なりの結論としては、いろいろやってみて、そのプロセスで学びながら、さらに効果的な対策を考えるしかないだろうということにしかならない。つまらない結論だが。
とりあえず、生態系にはあまり悪影響はなさそうだから、今回は試験的に(装置は無料提供されるそうだし)音源が壊されないようにきっちりとプロテクトしてやってみるのもいいだろうと思う。なかなか壊れない音源装置を無理矢理に壊そうしたら、その時点で速やかに逮捕すればいい。やってみて、初めて見えてくることというものもある。
それから、この装置の販売会社は、ウェブサイトの作りはかなりお下手だが(参照)、上手なマーケティングをしているなあと感心した。今回は足立区の試験的導入のために無料で音源を提供するという。これだけで話題にはなるし、うまく行ったら販促効果が期待できるだろう。
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コメント
>私なりの結論としては、いろいろやってみて、そのプロセスで学びながら、さらに効果的な対策を考えるしかないだろうということにしかならない。
同感です。バトルトークのサイトに飛んでみましたが、今週分は反対意見ばっかりですね。自己発信型のアンケートなので人が偏ってしまうのでしょうか。コメントも個性的なものが多いです(^^
投稿: ぐすたふ | 2009年5月12日 18:51
なんか、この装置ってどっかで見たことがあると思っていたんですが、家の庭の猫よけの装置もこれと全く同じ仕組みでした。
この装置を設置してからは、家の芝生にいつもやられていた「置きみやげ」がなくなって効果があるんですけどね。人間の若者にはどうなんでしょう。
>私なりの結論としては、いろいろやってみて、そのプロセスで学びながら、さらに効果的な対策を考えるしかないだろうということにしかならない。
これを世の人は「いたちごっこ」というんでしょうけど、これがないと人間の進歩もないような気がします。
投稿: 雪山男 | 2009年5月13日 12:55
お台場なんかにいくとそこら中にこれの発生装置がある気がします。
20代後半くらいでも聞こえる人は結構いるようで、自分もその一人なんですが、
ビルの入り口付近を通るたびに頭をつんざくような音がきしめいて非常に辛いんですよね…。
(うるさいというレベルではなく、"痛い"んです)
たむろするような若者以外にも被害が及ぶという点で、いまいちのりきれない^^;
投稿: org | 2009年5月13日 15:02
ぐすたふ さん:
>バトルトークのサイトに飛んでみましたが、今週分は反対意見ばっかりですね。自己発信型のアンケートなので人が偏ってしまうのでしょうか。コメントも個性的なものが多いです(^^
「ヒトコト言わないと気が済まん」 という人が、積極的に反応するというシステムですから、仕方ないですね ^^;)
投稿: tak | 2009年5月13日 15:04
雪山男 さん:
>なんか、この装置ってどっかで見たことがあると思っていたんですが、家の庭の猫よけの装置もこれと全く同じ仕組みでした。
猫はよっぽど高周波でも聞こえちゃうんでしょうね。
とすると、私は本文中で
「人間を動物扱いするのか」
というコメントに
(これは誤解に基づいているが)
と注釈しちゃいましたが、まんざら誤解でもないですね。
ただ 「若者は蚊ですか」 というコメントもあって、これは明らかに誤解ですけどね。
>これを世の人は「いたちごっこ」というんでしょうけど、これがないと人間の進歩もないような気がします。
そもそも、人の世は 「永遠のいたちごっこ」 なのかもしれません。
投稿: tak | 2009年5月13日 15:10
org さん:
>お台場なんかにいくとそこら中にこれの発生装置がある気がします。
へぇ、既にそんなにポピュラーなデバイスだったんですか。知りませんでした。
>20代後半くらいでも聞こえる人は結構いるようで、自分もその一人なんですが、
>ビルの入り口付近を通るたびに頭をつんざくような音がきしめいて非常に辛いんですよね…。
それは辛いですね。そもそも、聞こえない人が設置するんでしょうから、ボリューム調整なんかもいいかげんでしょうからね。
しかし、これが気にならなくなったら、「自分も年だなあ」 なんて思って、別の辛さが生じるというのもまたいやですね。
投稿: tak | 2009年5月13日 15:14