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2009年6月 1日

「太田総理」 を見て、もう一つ感じたこと

一昨日付の「ちょっとがっかりだったよ、太田総理」に乙痴庵さんがつけてくれたコメントへのレスとしても書いたのだが、ここは一番、正式なエントリーとしてあげておこう。

先月 29日放映の日テレ 「太田総理」 を見ての、もう一つの感想である。ちょっと笑ってしまったほどなのだが。

この番組のテーマである「選挙カー、選挙ポスターの禁止」に、死活問題的に必死に反対されていた自民党の山本一太氏、民主党のうえまつ恵美子氏が、「選挙カーで選挙区を巡回することの意味」として挙げておられたことは、私の以前の記事  "「連呼」 って、やっぱり迷信だと思う" に ho さんという方が付けてくれたコメントとほとんど同じことだったのである。

ho さんという方は選挙の仕事をしたことがおありということで、選挙カーでの連呼は「長年やってデータを取った上でのノウハウですから、たぶん一番効果があるやり方として確立してるんだと思います」とおっしゃっている。

そして彼のあげる選挙カーでの連呼の意義は、"とにかく「○○が○○選挙区で出馬してる」という事実を知らせることがひとつ。もうひとつは、「この地域にわざわざ出向いてお願いにきた」という印象付け" ということなのだそうだ。

これ、山本氏とうえまつ氏が番組で力説していたこととほとんど同じだ。(番組内では「印象づけ」の代わりに「ご挨拶」みたいな言い方をしていたように記憶しているが、定かではない)

「立候補の事実を知らせること」と「地域に出向いての印象づけ(ご挨拶)」が、選挙カーでの巡回の二大意義だというのは、多分、選挙のプロからそう教えられているのだろうと思う。

しかしながらあの番組では、「立候補の事実なんて、選挙公報を見ればわかる」「単なるご挨拶のために、あんなにがなり立てるのか」と、あっさりと論難されていた。選挙のプロも、だいぶ時代遅れになってきているようなのである。

ho さんはさらに、「私も最初は 『ウルセーばか!』 とか怒鳴られることがあるのかと思ってたのですが、実際は、家から飛び出してきて手を振るような方がいっぱいいるんです」とまでコメントされている。

あの番組でも、山本一太氏が 「選挙カーは迷惑だと言うが、実際に回っていると、家から飛び出してきて握手を求めてくる人も多い」とおっしゃっていたのを記憶している方も多いだろう。

家から飛び出してきてまで喜んでみせる人も、確かにいるのだろうが、そんな人は元々熱心な支援者なのだろうから、別に選挙カーで連呼なんてしなくても、ちゃんと票は入れてくれる人なのである。元々の支援者を喜ばせるために、近所中の人をうるさがらせているだけではないか。

さらに選挙カーが来るとこれ見よがしに飛び出して手を振ったり握手を求めたりなんていうのは、目立ちたがりというか、はたまた、「俺はこの候補者と懇意にしてるんだぞ」と、近所に示したいというか、いずれにしても、私にはちょっと嫌らしい感じがする。まあ、そこは好きずきだろうけど、少なくともうるさいだけ迷惑だ。

あるいは近所へのパフォーマンスとして候補者と懇意なところを見せつけるだけで、実際には投票なんてしなかったなんてことになったら、目も当てられない。

また、ho さんは次のようにもコメントしてくれている。

選挙カーの街宣には一定のセオリーがあります。
逆に 「これを言ったらダメ」 みたいなルールはあまり聞いたことないです。時間くらい。
で、セオリーというのは、まぁ普通に考えればわかることですが、車が止まっていれば「名前を織り交ぜながら選挙区や細かい政策」を、渋滞中は「同じ内容を話さずより多い内容を」、ノロノロの場合は「名前と選挙区とおおまかな政策」を、速度が速い場合は「名前と選挙区を連呼」です。

"「これを言ったらダメ」みたいなルールはあまり聞いたことないです" というが、公職選挙法では、「走行中は連呼以外はダメ」と決められているのである。まあ、これは運用上、警察もあまり細かいことは言わないということになっているのだろう。だからこそ、"ノロノロの場合は 「名前と選挙区とおおまかな政策」を" なんていう口伝が生きている。

ただ、それも厳密に言えば選挙違反である。なにしろ「走行中は連呼以外はダメ」なんだから。どうやら「制限速度を 10km/h 程度オーバーするぐらいでは捕まらない」みたいな、ゆるい運用がされてるみたいなのである。だから保坂氏も「連呼はダメ」と教わっていながら、これまで捕まらずに済んでいるのだ。

ただ、やっぱりこれも変な話なのである。お上のさじ加減でどうにでもなるというのは、私は気持ちが悪い。

これ以上については、一昨年 8月 3日に「やっぱり変だよ、公職選挙法」という記事で、その前に行なわれた長野市会議員選挙の実例を挙げて、「連呼の意義」について、激しく疑問を呈している。繰り返しになるのでここでは敢えて書かないが、興味のある方は、リンクを辿ってお読み頂きたい。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

中学生のとき、授業中に校庭に選挙カーを乗り入れて“〇〇をよろしくお願いします”と大音量で叫んでいったバカ候補者がいた(市議選)。授業は中断、先生も唖然としていた。得票を増やす連呼もあるだろうが、減らす連呼もある。寝付いた子どもを起こされた親も投票しないだろう。連呼の効果はプラスマイナスゼロか。

対立候補の選挙カーとすれ違うと、“〇〇候補の健闘をお祈りしますなんて、心にもないことを大音量で言い合う。エールの交換なんて有権者には無関係。あんなものは連呼以下、騒音でしかない。

この際、次の選挙では連呼している候補者の選挙事務所に苦情の電話を架けまくる運動をネットを使って広げていきましょう。とりあえず私は一歩を踏み出す。

投稿: 偽浜っ子 | 2009年6月 2日 03:05

小説家の知人がブログもまだない10年くらい前に画家はギャラリーに来る人の様子を窺い知れてちょっと羨ましいというようなことを言ってました。

もしかすると政治家にとっても選挙カー巡りというのは有権者の反応を直に確認出来る機会として、時代遅れであろうと効果のほどはさておき、素朴に貴重って思ってるのかもしれないなという気もします。

ただ、どうも効果以前に逆効果との声に山本議員らも冷や汗かいてたのかもしれませんが・・。ちなみにミーハーな私は一度、田中議員(どこの田中かは書きませんが)に思わず手を振ってしまったことがあります(^^;)

投稿: traceraser | 2009年6月 2日 03:15

偽浜っ子 さん:

>中学生のとき、授業中に校庭に選挙カーを乗り入れて“〇〇をよろしくお願いします”と大音量で叫んでいったバカ候補者がいた(市議選)。

中学校で連呼すれば、生徒たちが感動して、家に帰って 「今日、○○候補が僕たちの学校に来て、授業中に校庭で何度も名前を連呼してくれたよ!」 と親に報告し、親も 「そうか、○○候補は、未来の有権者まで大切にしてくれているのか」 と感激して、きっと一票を入れてくれる。

素晴らしい選挙戦術ではありませんか (^o^)

>連呼の効果はプラスマイナスゼロか。

私は、マイナスの方が大きいと思っていますが、候補者のほとんど全員がマイナスを競ってますので、どうしようもないなと ^^;)

ただ、中学校の校庭にまで繰り込むような超特大マイナスだと、目立ちますがね。

>この際、次の選挙では連呼している候補者の選挙事務所に苦情の電話を架けまくる運動をネットを使って広げていきましょう。とりあえず私は一歩を踏み出す。

派手にやりすぎて選挙妨害に問われない程度にお願いします。

投稿: tak | 2009年6月 2日 08:56

traceraser さん:

>もしかすると政治家にとっても選挙カー巡りというのは有権者の反応を直に確認出来る機会として、時代遅れであろうと効果のほどはさておき、素朴に貴重って思ってるのかもしれないなという気もします。

「有権者の反応を直に確認出来る機会として」、有権者としては、正直に迷惑そうな、いやぁ~~な顔をしてあげましょう 。あるいは、露骨に顔を背けるとか、全員で後ろを向くとか、耳を塞ぐとか。

ああ、大げさに両手の人差し指を耳に突っ込むというのは、いいかもしれませんね。これを国民運動にしたいものです ^^;)

あっかんべぇまではしなくていいけど。

投稿: tak | 2009年6月 2日 09:01

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