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2009年6月 9日

テレビとラジオ

民放連が 「ストップ温暖化」 をキャッチフレーズに、09年度 「地球温暖化問題啓発スポット」 CM というものを開始している。

「もっと愛そう。(サラリーマン)」 編というのは、元々はテレビ・スポットなんだそうだが、私はテレビをあまり見ないので、ラジオの音声でしか聞いたことがなかった。

で、このスポット CM については、私はちょっとした反感をもっていた。あまりにも漠然としていて、中途半端に情緒的で、効果は皆無なんじゃないかと思っていたのである。ちなみにラジオで聞くと、こんな風である。

若い男の声: (面倒くさそうに) 「ごみの分別なんて意味ないでしょう…」
やたらと可愛らしいささやき声: 「そんなことないよ、うれしい」
ナレーション: 「それはきっと地球の声。できることを少しずつ、家庭から、STOP!温暖化」

音声だけで聞くと、この地球の声が可愛らしすぎて、まったく子供だましに聞こえる。「ごみの分別なんて意味ない」 と思っている男に対してこんな子供だましでは、まったく説得力をもたないように感じられる。

しかし最近、このスポットのテレビ版を初めて見た。すると、イメージがまったく違うのである。論理的説得力というわけではないが、ちょっとほのぼのとした共感みたいなものが得られそうに思えた。

なるほど、映像の力というのは大きなものだと感心したのである。それと同時に、本来テレビ CM として制作されたスポットの音声のみを安易に切り取って、ラジオ・スポットとして流しても、効果はあまり期待できないのだと実感した。

テレビ CM というのは、映像と音声の相乗効果で初めて十分なメッセージ性をもつのである。そこから映像を取ってしまうと、音声分のメッセージが残るというのではない。メッセージ全体の訴求力が、圧倒的にスポイルされてしまうのだ。

これは、メディアの特性に応じたメッセージ作りという重要なテーマに関連するのだが、要するに、ラジオ版はラジオ版として、もう少し上手なアレンジのしかたがあったんだろうにということだ。その意味で、少し残念な気がしている。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

しかしゴミの分別~リサイクルって、資源の節約にはなるのかもしれないけど、温暖化防止にどれだけつながるのだろうか、という疑問が(笑)

投稿: 山辺響 | 2009年6月 9日 13:45

 このCM私もテレビとラジオ両方視聴しました。
 本来ラジオは見えない分、丁寧に伝える必要があると思うんですけど、このCMは全然それを考慮していないと思います。
 相撲とか、野球などのスポーツ中継ですと一目(耳?)瞭然。テレビの中継を音だけで(ラジオ風に)聞くと全く伝わらないし、ラジオの音でテレビを見るとラジオは丁寧すぎてかえってうざったいときもある。
ということで、takさんの仰るとおり、このCMは明らかにTV向けで、ラジオ版はもっと別な伝え方があったんじゃないかなと思います。

 ところで、山辺響さんも仰っているとおり、リサイクルって本当に環境に優しいんでしょうか?再生するときよけいなエネルギーを使うような気がするんですが。
 いっそのこと、昔のように酒も醤油も量り売りとした方が良いんですかね?日本だと食中毒が心配だけど。。。

投稿: 雪山男 | 2009年6月 9日 18:04

>音声だけで聞くと、この地球の声が可愛らしすぎて、まったく子供だましに聞こえる。

目を瞑って聞くと確かにそういう印象を受けますね。
そこまで変わらんだろうって思い込みを打ち破られました。動画付きでUpしてくださって有難うございます。
おもしろい体験でした。

投稿: 夜の指揮者 | 2009年6月10日 00:21

山辺響 さん:

>しかしゴミの分別~リサイクルって、資源の節約にはなるのかもしれないけど、温暖化防止にどれだけつながるのだろうか、という疑問が(笑)

私も実は、疑問一杯です ^^;)

恐縮ですが、雪山男さんへのレスにまとめますので、ご覧ください。」

投稿: tak | 2009年6月10日 11:51

雪山男 さん:

>本来ラジオは見えない分、丁寧に伝える必要があると思うんですけど、このCMは全然それを考慮していないと思います。

ラジオ版は、おざなりですね。

>ところで、山辺響さんも仰っているとおり、リサイクルって本当に環境に優しいんでしょうか?再生するときよけいなエネルギーを使うような気がするんですが。

その疑問は、確かにあります。

ただ、リサイクル全般が無駄なエネルギーを使っているというわけではなく、一番変なのは、ペットボトルです。

フツーに考えれば、リサイクルでなく、洗ってリユースすればいいだけです。
(私、個人ベースでは、やってます ^^;)

ところが、どうも法律でペットボトルはリユースしちゃいけないということになっているらしく、しかも、溶かしてリサイクルする場合でも、もう一度ペットボトルにしちゃいけないんです。
(もしかしたら、今は法律が変わったかもしれません。未確認です)

別の用途に使わなければいけないというのは、ペットボトルにするには衛生上の問題があるからというんですが、そんなの、溶かして再生産するんだから、関係ないでしょうけどね ^^;)

というわけで、リサイクルにも変な制約があるせいで、かえって無駄になっていることが多いというのは、確かにあるようです。

ただ、リサイクルは継続することで加工法の改良や用途開発の進展で、今よりよくなるだろうと思います。
そう言う意味で、全体的には 「やらないよりはずっとマシ」 かなと。

投稿: tak | 2009年6月10日 12:09

夜の指揮者 さん:

>目を瞑って聞くと確かにそういう印象を受けますね。
>そこまで変わらんだろうって思い込みを打ち破られました。

メディアの違い、感覚器官の違いで、受け取り方はずいぶん違いますね。

投稿: tak | 2009年6月10日 12:11

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