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2009年6月10日

ウェブに乗りにくい情報

インターネットで検索すればたいていのことはわかると思っていたが、それは幻想だと最近しみじみ思うようになった。インターネットに乗りにくい情報というのが、確実にある。

マイナーな情報でも、一部の若者の間で注目されていれば、比較的早くウェブに載る。しかし、オバサン向け情報はなかなか載らない。

最近、アパレル業界で消費者(とくにオバサン、というか還暦前後のオバアサンと思われる年代)から 「麻布プロバドール」というブランドの商品に関する問い合わせが、目立って増えている。お友達がテレビショッピングで買った服を見て、自分も気に入ったから買いたいなんていう話が多い。

(* 話はちょっとそれるが、この方面の話について、前に こちら で考察している)

そのテレビショッピングとは、QVC らしいのだが、QVC に電話で問い合わせても、オペレーターが不親切でらちがあかないから、メーカーから直接買いたいなんていうのである。ずいぶん乱暴なことを言ってくる。

そんなに好評な品物の在庫がいつまでもメーカーに残っているわけがない。そもそも消費者がメーカーから直接買いたいなんていうのは、以前もちょっと書いたが、ソニー本社に電話して「テレビ 1台売ってちょうだい」とか、森永製菓本社に電話して 「キャラメル 1箱売ってちょうだい」 とか言うようなものである。

メーカーとしては、よほどの VIP からの注文でもなければ、方々の流通在庫の中から手を尽くして探し出した一着を、イレギュラーな伝票処理をして、梱包して、わけのわからない一見客に宅急便の着払いで送るなんていうチョー面倒なことはしたくない。

それで自動的に 「完売です」と答えるしかない。ほとんどの場合、それは決してウソじゃないし。よほどの VIP が一人で 200着ぐらいまとめ買いしてくれるというなら、追加生産するだろうが。

それはそれとして、「麻布プロバドールって何だ?」と思ってググって見たら、土曜の深夜からやっている 「澤崎隆人のドラマティックファッション」という番組で、QVC オリジナルブランドとして展開しているらしいとわかった。テレビ通販だけではなく、ネットでも売っているようだ。(参照

ならば、前述のような還暦前後のオバサンからの問い合わせには、「ウェブをご覧ください」と答えればいいようなものなのだが、いかんせん、この年代の、しかもこのような乱暴な問い合わせをしてくるようなオバサンは、インターネットに縁がないのだ。「そんなこと言われても、インターネットなんてできないわよ」というのである。

CM の多くが「詳しくは Web で」なんて言うようになって、インターネットも相当フツーの生活に浸透してきたように思われているが、実は日本の人口のかなりの部分をしめる還暦前後のオバサンには、まだまだ遠い世界のようなのだ。まあ、自分でできなければ家族の誰かに検索してもらって見てもらうしかない。

またまたそれはそれとして、「ところで、澤崎隆人って誰だ?」と思い、ググってみたのだが、この人物が何者なのか、なかなかわからない。とにかく、ウェブ上にまともな情報が見当たらないのだ。

どっかのおばさんのブログで 「澤崎さん、大好き」とか書かれているのがあるが、それ以上のことを調べようとすると、なかなかわからない。とりあえず、「元町ゼラール」というブランドに関係していて、以前は QVC ではなく、ショップチャンネルの方に出ていたことがあるらしいというようなところまではわかった。

そして今は、この「麻布プロバドール」というブランドのプロデューサーということになっているらしい。QVC に引き抜かれたか何かのきっかけで、「元町ゼラール」から「麻布プロバドール」になったのは、横浜から都心に移っただけ、出世したみたいなものなのだろうか。

画像検索すると こんな感じのキメ・ポーズ しか見当たらず、いかにもオバサンにきゃーきゃー言われそうな伊達男風である。何となくホストっぽい感じがあるが、前にもどこかで書いたけど、最近のホストはジャニーズ系が主流らしいので、ちょっと違うかも知れない。その辺りは疎いので、よくわからない。

とまあ、とにかく、一部のオバサンの間ではかなりカリスマ的な人気を博しているのは確からしいのだが、その情報がインターネット上ではかなりスカスカなのだ。

澤崎氏本人が、ブログで情報発信しているなんていうわけでもなさそうだ。そんなことをしても、彼のカスタマーたちにはあまりメッセージが届かないので、無駄な労力ということになるのだろう。テレビで何か言ってキメ・ポーズして見せる方が、ずっと効果的なのかもしれない。

土曜の深夜にテレビショッピング番組を見ているオバサンの多くには、インターネットはあまり重要なメディアではないみたいなのである。そして情報メディアが違うと、まるで世界が違っているぐらいの感覚がある。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント


確かに、インターネットの限界というか、インターネットに載りにくい情報というものがあります
PCとインターネットに縁のない年代の人が発信してくれるべき情報は、やはりインターネットに乗りにくい

その例の一部は、例えば、今私が書いている戦争体験とか、私が駐在していたヴィエトナム戦争中のサイゴンの様子とかです
特に、当時サイゴンに駐在していた人々のブログを読みたいと思っているのですが、そ~ゆ~のは、私のブログしか無い様子ですね


現在の日本の、若い世代で「平和 平和」と唱えている観念的平和主義者さん達は、リアル戦争体験なんてもちろん無いし、そういう本も読まない
一体、戦争と平和がどれぐらい違っているかということさえ、実感が無いと思うんです
特に戦争に関して

平和を考えるには、戦争というものの実態を知ることが、必要条件にはなると思うのですが、だからといって、いまさら日本が戦争を体験するわけにも行かないし

学生運動家のアジ演説口調でいつも事前に予測可能なことをしゃべる社民党党首、福島瑞穂さんなんて、ピースボートにでも乗って、イラク・アフガニスタン、パレスチナあたりの戦場を体験してみたら、もうすこし、あの教条的な思考が、少しは変わるんじゃないかと思いますが

ちょっと、話の方向がずれました

投稿: alex99 | 2009年6月10日 15:23

alex さん:

alex さんのサイトの戦争体験の記事、拝見しました。

それにしても、2歳の頃の記憶がそれほどまで鮮明に残っているというのは、よほどの強烈な体験だったからでしょうね。

ヴィエトナムでの体験とともに、ウェブ上ではかなり貴重な情報だと思います。いつまでも消さないでいてくださいね。

投稿: tak | 2009年6月11日 15:27

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