茨城の 「マナーアップ運動」 というもの
今朝、名古屋への出張のためいつもより早く家を出て JR 常磐線取手駅に向かうと、ちょうど高校生たちの通学時間にぶちあたった。
駅前に「マナーアップ運動 取手○高」と染め抜かれた旗をもった学校の先生とおぼしき人が二人、手持ちぶさたに立っている。なんだか異様な光景ではある。
「異様」というのは、二つの意味がある。まず第一に、「マナーアップ」とか言っている割には、高校生はその先生(らしき人)に対して誰も挨拶しようとしていない。先生(らしき人)も、別に積極的に挨拶を呼びかけようという風情でもない。ただ旗を持って立っているだけである。
第二に、細かいことを言うようだが、「マナーアップ」というのは、ジャパニーズ・イングリッシュである。外国人と英語で話す時に、"manner up" なんて言葉を使っても、とても思いやりがあって想像力の豊富な人以外には、日本人の意図する意味としては、まず通じない。元々、日本語の「マナーアップ」だって、それほど具体的な意味があるわけじゃなし。
民間がキャッチフレーズなどに使う分には別にイチャモンをつけるつもりはないけど、教育機関であり、当然英語教育も行っている高校が、こんな怪しげな標語を掲げるのはいかがなものかと、まるでうるさい教育オバサンみたいなことを、脊髄反射的に思ってしまった。
「こりゃ、一体何なんだろう?」と思い、電車に乗ってからさっそく E-mobile につないで検索してみたら、茨城県庁の「県政ホットニュース」というのに、「水戸駅前で「さわやかマナーアップキャンペーン」というニュースがあった。去年のニュースだが、どうやら大分前から継続されているようで、こんなことが書いてある。
県では、各学校や地域の幼児・児童・生徒を対象に、学校・家庭・地域社会が連携してマナーアップに向けた取り組みを実施し、規範意識の高揚や公共マナーの向上を目指す「みんないっしょにマナーアップ推進事業」を推進しています。
その一環として 6月の 1ヵ月間、学校や駅前などで幼児・児童・生徒が公共マナーの向上を呼び掛ける「さわやかマナーアップキャンペーン」を実施しました。
なるほど、わかった。茨城県津々浦々でこのキャンペーンをしているってわけなのね。全然知らなかったけど。確かにググってみると、あちこちの茨城県立高校のサイトにそれらしき記事が散見する。
それ自体は全然悪いことじゃないし、むしろ素晴らしいことだ。だが、やるならやるで、もっと身を入れてやらないと、「マナーアップって、ずいぶんだらけてるのね」という印象だ。それから、何度も言うけど、教育機関がやるにしては「マナーアップ」って、ちょっとダサイだろうよ。英語の教師から異論は出なかったのかなあ。
ああ、なんだか何でもイチャモンつけたがりの市民運動家みたいな記事になってしまった。いかんいかん。お茶でも飲んで気分を変えよう。
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コメント
お久しぶりです。
いやー、全然イチャモンじゃないと思います。
和製英語も分かって使う分には良いですが、英語学習の妨げになってしまうようでは困りますよね。
ただ、"improve your manners"だとか、"good-manners campaign"もちょっと標語としては使いにくいし、「作法向上運動」も、なんか敵性語排除みたいだし、語呂も悪いしで、どうにも難しいですね。
間を取って「マナー向上運動」が良いかも。
投稿: Adrienne | 2009年6月 3日 18:14
Adrienne さん:
>ただ、"improve your manners"だとか、"good-manners campaign"もちょっと標語としては使いにくいし、「作法向上運動」も、なんか敵性語排除みたいだし、語呂も悪いしで、どうにも難しいですね。
そうそう、「お行儀」 とかいう場合は "manners" と複数形になるんだと、高校時代に教わりましたよね (^o^)
>間を取って「マナー向上運動」が良いかも。
そうですね。
そのあたりが落としどころでしょうね。
投稿: tak | 2009年6月 3日 22:37