自民党のビョーキ
出張先の小樽のホテルに戻って、夜の 9時過ぎにテレビのスイッチを入れたら、都議選の自民党惨敗のニュースの真っ最中だった。
自民惨敗とはいえ、民主党が過半数を獲得するほどの圧勝を遂げたわけでもないし、まさか共産党と連立を組むわけにもいかないから、決して安定多数というわけじゃない。
この構図が総選挙にもそのまま現れるとは限らないが、いずれにしても自民党に勝ち目はない。問題は、民主党が衆議院でも過半数を取れるかどうか (国民新党とか、よくわからない小さな党派との連立を含めて) である。
取れちゃったりしたら、参議院では既に多数を占めているのだから、民主党が調子に乗りかねない。だから、小沢さんや鳩山さんの例のお金の問題を早々とチャラにしてはいけないと思ってしまったりする。
今回の惨敗で、自民党の内部はますますガタガタである。それぞれが保身に走り、公然と勝手なことをほざき始め、求心力より遠心力が強くなり、そのせいで外部からみた印象がますます悪くなる。終わりかけた組織が必ず見せる、お約束の末期症状である。
自民党内部では、解散を先延ばししろとか、総裁を選び直せとか、いろいろなことを言う人がいるらしい。解散を伸ばしたところで、任期はどうせもうすぐ切れるのだし、総裁を変えたところで、外部からは滑稽にしか見えないのだが、当人たちは必死である。
なんでそんなことに必死になるかといえば、決して国の政治のためじゃない。自分の立場を少しでも有利にして、間近の選挙での落選を避けたいからだ。結局、自分の都合である。それこそが国民の不信を買っているのだが。
自民党の政治家の多くはコップの中で「麻生が悪い」と言っているが、それはとりもなおさず、「自分はそんなに悪くない」と言外に言っているのと同じで、みっともない有様である。かといって、麻生政権の求心力を無理矢理強めたりすると、それもまた自殺行為だ。
このどうしようもない矛盾こそが、今の自民党のビョーキの一番悪い症状なのだと思う。
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コメント
>それはとりもなおさず、「自分はそんなに悪くない」 と言外に言っているのと同じ
これ、重要なところですよね。何事によらず、「自分にも多少なりとも責任はある」という気概(?)を持ってもらいたいと思います。
それは民主党をはじめとする野党各党についても同じで、与党を攻撃するだけではなくて、もちろん「自公とは比較にならない程度ではあるけれども」という留保を付けてもいいけど、それでもやはり、「自分たちにも(国会の一員として)多少なりとも責任はある」というポーズ(ポーズでいいんです)を見せてほしいです。そうすれば、政権交代もいいかな、と。
投稿: 山辺響 | 2009年7月13日 09:27
同感なのですが、麻生首相に辞任を求めている人たちの気持もわかります。
がんばって有権者に自民党に投票してもらい、万が一過半数がとれちゃったら、それは「麻生が支持された」ということになってしまいます。日本沈没です。私が自民党議員なら、「自民党に投票しないでくれ」と言いたくなってしまうでしょう。
とはいえ、あまりにも見苦しいですよね。
とっとと旗色を鮮明にして新しい党を作ればいいと思うのですけどね。
投稿: きっしー | 2009年7月13日 12:38
山辺響 さん:
>何事によらず、「自分にも多少なりとも責任はある」という気概(?)を持ってもらいたいと思います。
まったくその通り。
敵対する勢力を非難しまくる人をみると、「いい気なものだよなあ」 と感心します。
投稿: tak | 2009年7月13日 20:08
きっしー さん:
>がんばって有権者に自民党に投票してもらい、万が一過半数がとれちゃったら、それは「麻生が支持された」ということになってしまいます。日本沈没です。
客観的にみれば、日本はまだ沈没しなくて済みそうなので、安心しました ^^;)
>とっとと旗色を鮮明にして新しい党を作ればいいと思うのですけどね。
普通に考えれば、そっちの方に動かざるを得ないように思えるんですが、なんだかんだといいながら、これまでずっと自民党に残り続ける選択をした人たち (一部の出戻りを除き) の DNA ですからね。
血統が純化されすぎちゃってるんですよ。きっと。
投稿: tak | 2009年7月13日 20:12
> 敵対する勢力を非難しまくる人をみると、「いい気なものだよなあ」 と感心します。
自民党に限定しますが、群馬の温泉郷の“若手”(?)議員様が該当しちゃいますねぇ。
少なくとも、彼の議員様がおっしゃる終着(執着?)点は、「税金を上げるしかない!」に、聞こえてしまいます。
onテレビ番組。
…辟易。
投稿: 乙痴庵 | 2009年7月13日 22:05
だからこそ!
皆さん!来月30日に向けた、スケジュール調整をお願い申しあげます!
万難を排して、投票しましょう!(期日前でも当日でも!)
連呼カーの逆襲を乗り越え…。
(毎度お騒がせ!宴会モードなんめり!)
投稿: 乙痴庵 | 2009年7月13日 22:19
乙痴庵 さん:
>自民党に限定しますが、群馬の温泉郷の“若手”(?)議員様が該当しちゃいますねぇ。
>少なくとも、彼の議員様がおっしゃる終着(執着?)点は、「税金を上げるしかない!」に、聞こえてしまいます。
>onテレビ番組。
誰だろう? えぇと、イトーヨーカ堂みたいなイニシャルの人かなあ?
>万難を排して、投票しましょう!(期日前でも当日でも!)
期日前に投票しちゃうと、某学会員から電話がかかってきても、「あ、俺、もう済ませちゃったから」 の一言で済みます。(ウソじゃないし)
コレ言うと、彼らは本当にあっさりと電話を切ってくれます。
(意味のない電話に時間を割いてもしょうがないということが、徹底されているようです)
投稿: tak | 2009年7月14日 00:27
今までは、党内で「総裁選を!」なんて叫んでいた人たちが、「いざ解散!」ときいてどういう動きを示すか見物ですね。
沈没寸前の船から鼠が大量に逃げ出のか?
それとも、選挙の声を聞くと結束するのかなぁ?
彼らの麻生おろしの声を聞いているとそれも姑息な気がしますが。。。
今年の夏は、騒がしい夏となりそうですね。
投稿: 雪山男 | 2009年7月14日 08:59
雪山男 さん:
>沈没寸前の船から鼠が大量に逃げ出のか?
>それとも、選挙の声を聞くと結束するのかなぁ?
「寄らば大樹の陰」 というのが政界では大きなテーゼのようで、これまでは自民党がその 「大樹」 でしたから、なんだかんだ言っても、大きな変革なんてありませんでしたが、今度ばかりは、本当に 「沈没寸前の船」 ですからね。
一体どうなるんでしょう?
一般国民の視点では、「政界再編成してくれれば、もっと政治もわかりやすいのに」 と、単純に思うんですが、個々の議員たちの視点では、複雑に絡まり合った利権と義理人情に阻まれて、動くに動けないということもあるんでしょうね。
ここまで来たら、余計なことはリセットしないとどうしようもないと思うんですがね。
投稿: tak | 2009年7月14日 09:57
最近 Twitter やってることで有名な(?)議員さんあたりは
結構真っ当な認識を持っておられるようです。
http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/--9193.html
投稿: traceraser | 2009年7月15日 03:15
traceraser さん:
>最近 Twitter やってることで有名な(?)議員さんあたりは結構真っ当な認識を持っておられるようです。
なるほど。
少なくともビョーキじゃなさそうですね。
ただ、「政権交代という手段と目的を錯誤している民主党」 という彼の表現は、ステロタイプなナンセンスだと思います。
政権交代は手段でも目的でもなく、「政権交代があるのが普通」 というに過ぎないのであって、いままで普通じゃなかったのだから、少しは普通になろうよというだけのお話だと思います。
その意味では、「少しは普通になる」 ための取り敢えずの目的として、次の総選挙での政権交代を据えても、あながちナンセンスではないでしょう。
それが 「取り敢えずの目的」 であって、「究極の目的」 でないのは、あまりにも当たり前の話であって、わざわざ言うまでもないことなので、誰も言わないだけです。
つまり、このことは 「手段と目的」 という次元で語られる問題ではないので、取って付けたようにそれを持ち出されると、かなりしらけてしまいます。
まだビョーキじゃないにしても、漢方でいう 「未病」 という状態なのかも知れません。
http://www.mibyou.com/mibyou/mibyou_001.html
投稿: tak | 2009年7月15日 08:57