自民党、やっぱり壊れた
夕べは民主党の当選が 250議席を上回ったあたりから、連日の睡眠不足がたたってすっかり眠くなってしまい、テレビのスイッチを切ってベッドに入ってしまった。
で、今朝ラジオを聞けば、民主党は 308議席で、自民党が 119議席だという。なんだ、言われていたほどの地滑り的結果じゃない。
選挙直前までは、朝日新聞が「民主党 320議席獲得も」なんて、派手な見出しをつけていたが、そこまではいかなかった。アナウンス効果が働いてしまったのだろう。私だって 27日の記事で「民主党への追い風強すぎ」と、やや不安な気持ちになっていたのだから。
とはいいながら、民主党圧勝という結果には変わりない。やっぱり自民党はぶっ壊れていたのだ。そんなことはずっと前からわかっていたことで、私は 一昨年夏の参院選後に "近頃「いい目」を見てなかった保守王国" という記事を書き、そのダメ押しとして昨年春に " 既にぶっこわれている自民党" という記事を書いた。
昨年末にはさらにそのダメ押しとして、"やっぱり「既にぶっ壊れてた」 自民党" という記事まで書いている。だって、もう人がいないじゃないか。小泉さんの「自民党をぶっ壊す」というアジテーションは、まるで 三年殺しのように、後になって確実に効いてしまったようなのだ。
戦後のある時期、とくに高度成長期においては、自民党政権はとても有効に機能した。ところが、ある時代に最適化されすぎたシステムは、時代が変わってしまうと役に立たなくなる。とくに、あの高度成長期というのはなかなか特殊な時代だったのだから、その特殊な時代に最適化されていた自民党は、もうぶっ壊れても仕方ないのだ。
保守王国といわれた田舎では、最近では農家は散々痛めつけられるだけと思っていて、恨み節しかないし、最大の自民党支持層だった土建屋だって、いくら公共事業をもって来られても、大きな利益は中央のゼネコンに持って行かれるだけと気付いてしまった。もう、自民党に義理を果たす必要なんてなくなってしまったのである。
思えば団塊の世代以後の多くの有権者は、物心ついてからというもの、自民党には 「よくやってくれている」 なんていう思いを抱いたことなんてついぞないのである。ただ、他に受け皿となるべき政党が見当たらないので、何らかの組織票に連なる連中がほとんど「義理」で自民党に投票してきただけだ。
組織票に連ならない浮動票は棄権するか、「批判票」として、その時々の最もそれらしい野党に投票してきたにすぎない。ところが今回は、義理で投票してきたじいさん連中が、ついに自民党に愛想を尽かし、現実的になった政権交代を期待して、民主党に一票を投じる層が分厚くなった。
一度政権交代のムードが強まってしまうと、生臭い連中の中では早めにコネを強くしておきたいという意志が働いて、民主党詣でが目立つようになる。そうなるとますます、政権交代に向けた空気は濃くなるばかりになっていた。
今回の結果はそういうことだ。だから民主党に入った票は、これまでの「批判票」よりは大きな意味をもつ。これまでは自民党が調子に乗りすぎるたびに「お灸を据える」なんて称して批判票が増加したにすぎないが、今回は「お灸」なんて生やさしいものでは済まないというわけだ。
これまで何度となくお灸を据えられても、すぐにその熱さを忘れていた自民党に、そろそろ焼きが回ってしまったということなのだろう。願わくは、自民党にはしっかりと健全野党になってもらいたいものだが、やったことのない役割をはたしてうまく果たせるかなあ。
それは、与党をやったことのない民主党が、果たしてうまくやっていけるものかどうか、疑問なのとおなじことで、しばらくはすったもんだが続くんだろう。どうせすったもんだになるなら、300議席超の安定多数を確保したのは幸いだったかもしれない。
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コメント
自民党119名の当選者のなかに、安倍・福田・麻生といった戦犯級の名前が残っているのが何とも……落選した自民党候補者はかなり複雑な気持ちなんじゃないでしょうか。
投稿: 山辺響 | 2009年8月31日 11:44
山辺響 さん:
>自民党119名の当選者のなかに、安倍・福田・麻生といった戦犯級の名前が残っているのが何とも……落選した自民党候補者はかなり複雑な気持ちなんじゃないでしょうか。
この 3人が、特別何か大きな仕事をしたという印象はまったくないというところが、すごい。
じいさんやおやじからの遺産として、まだ辛うじて機能するシステムを持っているんですね。
システムが一番しっかりと機能していた頃のじいさんやおやじが、どえらくがんばっちゃったんですね。
投稿: tak | 2009年8月31日 13:01