『唯一郎句集』 レビュー #70
今日はこれから二泊三日の予定で、妻と二人で帰郷である。休日割引を活用して、最初から最後まで高速道路で行こうと考えている。
朝早めに発てば、午後の 2時頃には到着するだろう。着いたら酒田で墓参りをする。母の眠っている我家の墓の他、時間があれば、親戚関係の墓にも参りたい。
さて、『唯一郎句集』の 69回目のレビューにはいろう。どういう巡り合わせかわからないが、帰郷する季節に合わせて、ページは秋の句になっている。
馬のいばりする明るう枯れた林
落葉が進んで地面にまで日が注いでいる落葉樹の林の牧歌的風景。馬が小便をしているのが見える。
どこかペシミスティックな感覚を漂わせていた頃の句風から、だんだん吹っ切れたような淡々とした句風になってきている。
しら菊葩の陽色を巻いてゆらぎもせず
さて、「葩」の字は何と読んだらいいのだろう。辞書的には「はな」だが、ここは「はなびら」と読みたいところだ。多分、唯一郎もそのつもりだったのではないかという気がする。
白菊の花びらが、傾いた太陽の日射しを浴びて、やや赤味を帯びて見える。風が凪いでいるので、揺らぎもせず、ただじっと赤味をまとっている。クローズアップ画面のような効果を感じる句だ。
落葉を喰ふ鶏におどろけよ吾子よ
地飼いの鶏が、乾いて細かくちぎれた落葉をついばんでいる。それを見ている唯一郎と息子。唯一郎は鶏が落葉をついばんで食うことに驚いている。
そして、それを何気なく眺めている息子 (私の伯父にあたる) にも少し驚いている。「一緒に驚いてみようじゃないか」 と思っているが、息子はただ無邪気に眺めているだけである。
本日はこれぎり。
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