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2009年10月 1日

10月は 3R 推進月間なんだって

今朝、秋葉原の改札口を出たら、高校生ぐらいの子たちが声を張り上げて赤い羽根共同募金への協力を呼びかけていたので、「ああ、もう 10月か」と、ちょっとあせってしまった。

別にことさらにあせることもないのだが、今年もあと 3ヶ月しかないと思うと、少なくとものんびりした気分にはならない。

ところで、10月というのは共同募金の月でもあるが、「3R 推進月間」ということにもなっているのだそうだ。環境省のサイトをみると、「第4回 3R 推進全国大会」なんていうのが載っているから、少なくとも 3年前からやっているものらしい。私は今日になるまで全然知らなかったが。

「3R」 という言葉は、環境保護とかリサイクルとかに関わっている人には既にお馴染みの言葉なのだが、まだ誰でも知っているというわけでもない。それどころか、環境保護に関わっている人でも 「リユース、リサイクル、あれ、もう一つ何だっけ?」 なんてことになることもある。3R の最初に来るべき「リデュース (reduce)」が、どうも忘れられがちのようなのだ。

公式的な回答は、上述のサイトにあるように「廃棄物等の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)」ということになるのだが、それでも今イチ、ぴんとこなかったりする。要するに、以下のようなことだ。

Reduce: ゴミを減らす。つまり、使い捨ての習慣を改善すること。
Reuse: 使えるものはお下がり、中古品、再生品として繰り返し使う。
Recycle: ゴミを資源として再利用すること。再生紙などがその代表。

で、これを社会的に普及しようとしてプロモーションしても、産業界は結構な抵抗を示すのである。そりゃそうだ。「リデュース」のかけ声の下にゴミを減らすということは消費を減らすということで、それはつまり、企業の売上の減少につながる。

そしてゴミにならないように、多少高くても長持ちする物を買いましょうなんてことが言われるが、消費者というのはつい安い物を買ってしまいがちだ。まあ、高い物が必ずしも長持ちするというわけではないのだが、安い物はすぐにおシャカになりやすいというのは、一般的傾向である。

とくに最近は商品のリモデルが繰り返され、壊れたら修理して使うよりも買い換えた方が安いなんてことも多いので、ゴミは出やすい。こればかりはしかたがない。なるべく無駄な物は買わないようにしつつも、ゴミはゴミで何とか考えなければならない。

というわけで、その次に「リユース」ということになる。つまり中古品でも大事に使いましょうということだ。最近はリサイクルショップやネット・オークション、蚤の市などが盛んになっているので、この分野は拡大しつつあるはずだが、メジャーな市場になっているわけでは決してない。

だから、使われなくなった品物が押し入れや物置で眠っているということが多い。長い間眠っているうちに、使い物にならなくなってしまうのは、もったいないことである。リユースというのは、是非とも盛んにしなければならない。とくに子どもの服の 「お下がり」 なんかは、どんどんやってもらいたいものである。

世の中には、子供服のお下がりをもらうと、なんだか見下されたような気がするらしくて、あまり喜ばないどころか、もらうのをいやがる人もいるらしいが、環境のためである。どんどん喜んでもらってしまえばいいのである。

喜んでくれる人のところには、どんどんお下がりが集まる。最近のお下がりなんて、それほど古着っぽくなっていないことが多いから、「まあ、うれしい!  ありがとう!!」 と言ってもらっておけば、子どもの服なんてほとんど買わずに済む。くれた方だって、タンスの肥やしの厄介払いができてうれしいのだから、お礼なんてほんの少しでいいのである。

三番目の「リサイクル」というのが、一番やっかいなところである。ここで言う狭義の "recycle" とは、資源としての再利用のことだから、製品を一度壊して分解して、素材にまで還元しなければならない。これが手間なので、リサイクル品というのは、再生紙に限らず、新品の原料を使うより割高になりがちだ。

それでも環境のために、一定の割合でリサイクル品を購入しようということで、お役所などの公的機関は「グリーン購入法」という法律の下に、リサイクル品を買うように義務づけられたりしている。本来なら、家庭でも少しはこうした品物を買うように心がけたいところだ。

で、問題は、リサイクル品の製造で排出される CO2 が、まっさらの原料を使う場合よりも多かったりする場合が少なからずあるということなのだ。だから、「リサイクルなんて気休めのまやかし」という指摘も、昔からなされている。

この問題について、私はこう考えている。資源というのは、野放図に使い続ければいつかは必ず枯渇してしまうのだから、今のうちからリサイクルの技術と仕組みを確立しておくに越したことはない。技術革新で CO2 排出の少ないリサイクル生産を実現するためには、今のところは未完成な技術かも知れないが、使い続けて改良を重ねるしかない。

ほったらかしたら、改良もできない。資源がなくなってから急にリサイクルしようとしても、その仕組みと技術は急には確立できないのである。というわけで、私は今日も、マイ箸とマイバッグを使って、ささやかながら自分なりに割り箸とレジ袋のリデュースの仕組みを確立したいと思っているわけだ。

それにしても、環境省はこのことについて PR 不足なんじゃないかなあ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

前日の記事に関連します。
新聞紙の生産量は年間360万トンらしい。これをrecycleでなく一歩進めてreduceするにはもう答えは出ています。産経のようにネットで読めるようにすればよい。
紙代、印刷代、輸送費全てがゼロになるので、一紙あたり多分、千円前後で充分採算はとれるでしょう。
全国紙がこれを実行すれば、すぐにでも30%はネットに流れるのではないでしょうか。

しかし既存の新聞販売店の利益を奪うことになるので、販売店への補償も問題になるでしょうね。新聞社にとって一番頭の痛いところでしょう。

過去100年以上に渡って新聞の発行に伴い、様々な関連産業が最適化されてしまってるので、たとえ30%発行部数が減少しても、その影響は計り知れないでしょう。
製紙会社、トイレ紙メーカー、インク製造業、印刷機械製造業、輸送業、新聞販売店、駅売店、古紙買取販売業、などなど。

reduceする方法は分かっているけど、なかなか実行できない一つの例でしょうね。
来春の日経のネット販売で大転換が一気に起こるのでしょうか。

因みに新聞紙1㌧製造するのにCo2は1㌧発生するそうです。

投稿: ハマッコー | 2009年10月 1日 17:54

ハマッコー さん:

>新聞紙の生産量は年間360万トンらしい。これをrecycleでなく一歩進めてreduceするにはもう答えは出ています。産経のようにネットで読めるようにすればよい。

確かに答えは出ていますが、こうした大きなシステム移行には相当な抵抗があるんでしょうね。

まず、「新聞は紙で読みたい」 という保守派の気持ちも、確かにわかります。

それから、おっしゃるように関連産業への大きな影響が出るので、一挙には進めにくいということ。

ただし、いずれにしても一挙に進まないのはわかりきっているので、徐々に進めてソフトランディングすべきでしょうね。

それから、私は産経の手法は、インターフェイスという点では一長一短あると思っています。

メリットは、見慣れた紙の新聞紙面のまま見られるので、馴染みやすく、写真もそのまま見られること。

デメリットは、結局は単純な画像情報なので、テキストとしての再利用ができないことです。
(スクラップにするには、プリントスクリーンでやることになるでしょうが、画面からはみ出すと一度に取り込めず、縮小表示にすると字が小さくて読みにくくなるかも)

私としては、有料配信するならば、ネットの世界に最適化したインターフェイスを考えてもらいたいと思っています。

いずれは、新聞はネットで読むという方がマジョリティになると思いますから。
(そうなると 「新聞」 と言っていいのかどうか、わからなくなりますが)

投稿: tak | 2009年10月 2日 10:14

takさん:

>(スクラップにするには、プリントスクリーンでやることになるでしょうが、画面からはみ出すと一度に取り込めず、縮小表示にすると字が小さくて読みにくくなるかも)

パソコン版のnet viewでは印刷範囲を指定して記事をプリントできる機能がありますよ。欠点は印刷範囲が四角形に限定されてることでしょうか。そのために関係ない記事も四角形の中に入り印刷されてしまいます。
しかし、かなり鮮明に印刷できるのは驚きです。

投稿: ハマッコー | 2009年10月 2日 13:19

ハマッコー さん:

>パソコン版のnet viewでは印刷範囲を指定して記事をプリントできる機能がありますよ。

それは知りませんでした。
(無料 iPhone 版しか見ていないもので ^^;)

さすがに、有料版だけありますね。

投稿: tak | 2009年10月 2日 16:23

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