素晴らしい「直し」のテクニック
私が密かに注目しているブログに、「くつ・かばん修理事件簿」というのがある。サブタイトルとして、「日々訪れる、奇怪な修理の悪戦苦闘記録である」とある。
ここの管理人さんは、靴、かばんの修理職人さんのようなのだが、その修理のテクニックが見事なのだ。
時々、「こんなに壊れちゃったの、どうしたら直せるの?」なんてい言いたくなるような品物が持ち込まれるのだが、素晴らしい職人芸で見事に復活させてみせる。それが写真入りで紹介されるのだから、なんとなく胸がすくような感じにすらなる。
とくに 10月 7日から、なんと 一週間もかかって復活させたオストリッチのセカンドバッグの件はすごい。持ち込まれた時点では、手垢まみれでものすごいことになっている。汚れ落としも受け付けず、当初はさすがの管理人さんも「う~ん、どうしたものか」と、音を上げかけている。(参照)
改めてバッグの裏側をみると、ますますひどい手垢まみれである。さすがに途方に暮れて、6日間ほど放置しておられたようだ。ところがそこに、救いの神が現われる。永健トラスト皮革事業部という会社の方のようだ。その人が、新製品の皮革用ペイントを持ってきたのである。さっそく試してみると、いけそうだ。(参照)
そして、圧巻が 10月 15日付である。ここでは修理プロセスの詳細には敢えてふれないが、さすがの職人芸の組み合わせで、見事に復活させてしまったのだ。(参照)
私は自分自身が、形のない「こと作り」でメシを食ったことしかなく、「もの作り」に直接関わった経験に乏しいので、とにかく職人芸の真髄をみせられると、鳥肌が立つほど感動してしまったりする。「もの作り」だけでなく「もの直し」にしても同様だ。
使い捨てが当たり前になってしまった世の中で、感動的なまでの「もの直し」をしている人がおられるということを、知らない人に知ってもらおうと思い、今日はこの記事を書いてみた。
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コメント
修理して、また使えるようになるって、一種の感激ですよね
ましてや、名人芸を見せられると
よく、想い出のあるカバンや時計を修理してもらった人が、職人さんに何枚もの便箋の手紙で感謝していますが、美しいと言っていいことですね
ちょっとテーマからはずれるかも知れませんが
韓国の人って、古いモノを嫌って、すぐ捨てる傾向があります
衣類でも、新しくないとカッコワルイと思うらしい
私など、品質のいい洋服を、長く着用して着古したモノなど、愛着が出ますが、そう言うことは無いようです
これは一種のおどろきです
ロンドン駐在の際に知り合った、バートランド・ラッセルの親戚(やはりラッセル氏)など、見るからに仕立てのいいツィードのジャケットをくたくたに着古していました
日本ではあのカッコイイと思われているジャケットの肘のスェードのパッチも、着古して肘が抜けたからパッチを当てるようです
仏教寺院だって、韓国では、儒教が仏教を駆逐した性もありますが、数少ないし保存状態が悪い
それに・・・(笑)、仏像だって日本では、オリジナルの金箔などがはげても、そのままの木地で保存し、めったに金箔を塗り直すことはしませんね
その古びを尊ぶ
東南アジアに行っても、チベットなどでも、仏像は金ぴかに極彩色で、日本の文化がユニークなようです
投稿: alex99 | 2009年10月20日 22:25
alex さん:
>よく、想い出のあるカバンや時計を修理してもらった人が、職人さんに何枚もの便箋の手紙で感謝していますが、美しいと言っていいことですね
まさに、そう思います。
>仏像だって日本では、オリジナルの金箔などがはげても、そのままの木地で保存し、めったに金箔を塗り直すことはしませんね
>その古びを尊ぶ
私の実家に、なかなかいい指物 (小さな棚) がありまして、私なんか、将来これだけは形見にもらおうなんて思っていました。
ところが、母が生きて元気だった頃、近所の人から 「古くなった家具が新品同様になる直し屋があるから」 とそそのかされて、修理に出してしまいました。
それが戻ってきたら、ぴかぴかに塗装され、金具は金ぴかの安物に付け替えられ、ひどいことになっていたのでありました。
金を払って、せっかくの骨董を台無しにされました。韓国を笑えませんね。
投稿: tak | 2009年10月21日 14:51