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2009年11月22日

『唯一郎句集』 レビュー #81

『唯一郎句集』のレビューも、これでもう 80回目になった。80回目になっても、ページ数からすると、ざっと 3分の 2 を越えたあたりでしかない。なかなかのボリュームだ。

(注: 連番の打ち間違いを修正したので、実は、これは81回目である)

もっとも先のページに行くと、1ページに 1句のみということもあるので、句の数で言えばもうかなりのところに来ているのかもしれないが、これは 100回では終わらないかもしれない。改めて覚悟しておこう。

さて、レビューである。前回はお盆の頃の句だったのに、今回は一足飛びに冬になっている。

わが欲りするものよ冬の夜の頭髪垢(ふけ)をとり慰まず

「欲りする」とは、現在はあまり使われないが、「欲す」(ほりす)の連用形。「ほしがる」とか「望む」とかいう意味である。

自分の欲するものとは何なのか。家庭人に収まったように思ってはいたものの、それでは満たされないものがある。冬の夜、頭のフケを取りながらそのことを思う。

沼波のくろきうねり凍らんとするを見ている

沼の水面に冬の風が吹き、波がうねっている。それが凍り付くのはいつか。見ているがなかなか凍らない。それでも、その黒いうねりから目が離せない。

不思議な感覚の句。時々家庭人に収まりきれぬ感性が、こうして顔を出す。

本日はこれまで。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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