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2009年11月10日

バーバリーの SNS

New York Times の記事に 「バーバリーが顧客獲得の道をオンラインに模索」 というのがあって、ついつい全文読んでしまった。

英国のバーバリー本社が市場開拓のために、独自の SNS を立ち上げたというのである。さっそくそのサイトに行ってみたが、なるほど、おもしろいと言えばおもしろい。

そのサイトに飛ぶと、まず "Art of the Trench" のロゴとバーバリーのマークが表示され、ほどなく自動的にサムネイル写真がずらりと並んだトップページに移動する。これらの写真は、世界各地のバーバリー愛用者を街角で撮影したもので、クリックすると拡大表示される。

拡大表示で "View Details" のアイコンをクリックすると、写真の詳細説明が表示され、一番上には 「どこそこで撮影されただれそれ」 という説明がつく。あちこちクリックしてみると、欧米の各地で撮影されたもののようだ。だが、私がまだ見つけていないだけかもしれないが、アジアで撮影されたアジア人は見当たらない。

ここで "comment" というアイコンをクリックすると、人気投票に参加できる。気に入ったら "I like this" というアイコンをクリックすればいいし、さらに興に乗ればコメントを残すこともできる。コメントと言っても、"Looks perfect!" とか "Cute!" とかの短いのがほとんどだ。

ちなみに、日本語コメントが OK かどうかは、試してないので知らないが、試すまでもなく、たとえ OK だったとしても、あまり意味がないだろう。

これらの写真の表示は、人気順、男女別、スタイリング別 (ベルトをしてるか、してないか)、撮影時のお天気別でフィルタリングできるようになっていて、例えば人気順で表示させると、いかにも 「なるほどね」 という感じの写真がずらりと並ぶ。

この人気順というのも、単に "I like this" が多くクリックされたものと、多くコメントが付いたものとでは、多少異なるのがおもしろい。素人人気と玄人人気は多少異なるということなのかもしれない。

今のところは、専任のフォトグラファーが撮影したものがほとんどだが、このサイトはなにしろ SNS なので、メンバー登録をすればバーバリーを着た自分の写真も登録できるようなのだ。ただ、世界中のかっこいい写真に混じって自分の姿をさらすというのは、よほど自信と度胸が必要だろうけれど。

で、日本人が自分のバーバリー着用写真を投稿するには、本物のバーバリーの着用者でなければならないのか、あるいは三陽商会によるライセンス品でも構わないのか、その辺の注意書きは見当たらない。普通に考えれば、ライセンス品は遠慮してもらいたいところだろう。遠目には区別できないかもしれないが。

そもそも本物のバーバリーと三陽商会によるライセンス品では、プライスレンジが違う。ライセンス品は、その辺の百貨店のコート売場に行けばずらっと並んでいて、価格帯は中の上というところだが、本物は紛れもない高級品で、倍ぐらいの値段になる。

バーバリー本社としてはこの辺りが痛し痒しというところのようで、長年の縁で、しかも大きな収入源なので切るわけにもいかず、かといって、大きく宣伝するわけにもいかないというところなのではなかろうか。

三陽商会のサイトに行ってブランド紹介のページをみても、"Burberry" というのは見当たらない。同社のドル箱ブランドなのに、サイトで紹介しないというところにも、もしかしたらこのあたりの事情が絡んでいるのかもしれない。

バーバリー本社にはこのほかにも、いかにして乗っ取りを防ぐかという悩みもあるらしい。同社は LVMH やプラダの標的になる要素を十分に備えた 「おいしいブランド」 なのである。これを防ぐために株式防衛をしなければならない。

そのためにも、先進的なマーケティングで実質を確保する必要があるとみているのだろう。この SNS が軌道に乗って拡大すれば、顧客リストが小売店経由でなく自社にストレートで入ってくる。これによって、顧客との直接的で、しかも楽しいコミュニケーションが可能になる。

本物のバーバリーの愛用者で、自信と度胸のある人は、この SNS にご自分の着用姿を登録してみてはいかがだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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