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2009年11月16日

「パンポン」というスポーツをご存じ?

「パンポン」というスポーツをご存じだろうか? 先週末の夜、車を運転しながらカーラジオで聞いたのだが、初め、頭の「パ」がタ行の音に聞こえてしまった。

「おいおい、宵の口から下ネタかよ」と思ったのだが、「パンポン」とわかって少し安心したのであった。

「パンポン」とはピンポン(卓球)とテニスの中間みたいなスポーツで、大正時代に茨城県日立市で生まれたのだそうだ。当時、日立製作所の社員が昼休みにキャッチボールをしていたところ、よくボールが逸れて工場の窓ガラスを割ることがあったために禁止令が出され、その代わりに考案されたのが、この「パンポン」だと伝えられている。

2.5メートル×7メートルのコートを、高さ 40センチの平均台みたいなもので二つに分け、軟式テニスのゴムボールを打ち合う。4点先取でゲームとなり、3ゲーム制で勝敗を争う。

おもしろいのはラケットで、「パンポン用のラケット」なんてものはどこのスポーツ用品店に行っても売られてないので、ほとんど手作りなんだそうだ。何てことのない板っぺらの端っこに取っ手らしきものを打ち付けて、それで完成。「できそこないのまな板」みたいなんだそうである。

で、この 「パンポン」、日立製作所発のオリジナル・スポーツとして、日立市辺りではかなり盛んに行われ、小学校でも授業に取り入れているところがあるなんて話なのだ。

私は茨城県在住で、日立製作所に勤務している知人・友人だって何人もいる。なにしろ、普通は「にっせい」と言ったら「日本生命」というのが日本のスタンダードだが、茨城県で「にっせい」と言ったら「日立製作所」のことを指すというほどの土地柄だ。日立の関係者なんて、その辺にごろごろいる。

ところが、私はそれまで「パンポン」なんていうものの話はまったく聞いたことがない。マスコミ特有の針小棒大癖で、小さな愛好会かなんかで極々マイナーに辛うじて続けられているような話を、大げさに伝えているんじゃないかと疑ってしまった。

それで翌日、知り合いの日立社員に「パンポンって知ってる?」と聞くと、「あぁ、よくやってるよ。日立の社員なら、誰でもできるよ」と、ごく当然のように答えるのである。

「はぁ? でも、今まであんたの口から、『パンポン』 なんて聞いたことないよね」
「あはは、そうかもしれないね。でも、日立では当たり前にやってることなんだよね。あんまり当たり前すぎて、普段は話題にもならないのかもしれない」

とまあ、そういうようなわけで、日立の企業文化の一つとして、脈々と受け継がれているもののようなのだ。日立製作所って、ちょっと変わった会社である。何しろ規模が大きいから、外部とは違った文化が、探せばまだまだありそうだ。

で、「パンポン」 なるスポーツを実際に見てみたいと思って検索したら、簡単に見つかった。なかなかよくできた動画である。(参照

【追記】

興味あるレスをいくつか頂いたので、それらの内容もまとめて考察した結果を、「パンポンを巡る冒険」というタイトルで記事にした。併せてご覧いただければ幸いである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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スポーツ」カテゴリの記事

コメント

今日はエイプリルフールではないはずだが、と、まず思いました(笑)

それにしても、日本を代表するメーカーの一つなのに、ラケットの手作り感が何とも言えません……。

あと、プレーは本格的なのにウェアが普通のジャージっぽい人が多いのも(笑)

投稿: 山辺響 | 2009年11月16日 13:09

山辺響 さん:

>今日はエイプリルフールではないはずだが、と、まず思いました(笑)

それはそれで、今からネタを物色中ですから ^^;)

>それにしても、日本を代表するメーカーの一つなのに、ラケットの手作り感が何とも言えません……。

>あと、プレーは本格的なのにウェアが普通のジャージっぽい人が多いのも(笑)

そこはやっぱり、イバラキなんですよ。きっと。

投稿: tak | 2009年11月16日 13:15

パンポンという名前があったんですね。NECの工場の昼休みにやっているのをよく見かけたのでNEC発祥のスポーツだと思ってました。
当然同じ電機業界なので人の往来もあり伝播したんでしょうね。業界での日立の影響力を顕しているようで面白いですね。

投稿: ハマッコー | 2009年11月16日 21:14

近所の某財閥系会社でも似たような物をやってました。こちらでは「テニポン」と言っていました。

投稿: すがわら | 2009年11月16日 22:18

「え~、○ンポンって下ネタなの??」という所に反応してしまいました。
女性の立場からはれっきとした日用品ですので(笑)

今度から買う時には男性のレジは避けるようにしますね。

投稿: karin | 2009年11月16日 23:13

ハマッコー さん:

>NECの工場の昼休みにやっているのをよく見かけたのでNEC発祥のスポーツだと思ってました。
当然同じ電機業界なので人の往来もあり伝播したんでしょうね。業界での日立の影響力を顕しているようで面白いですね。

ほほう、かなり広がりのあるものだったんですね。
興味深いお話です。

投稿: tak | 2009年11月16日 23:54

すがわら さん:

>近所の某財閥系会社でも似たような物をやってました。こちらでは「テニポン」と言っていました。

またまた広がりが。
知らなかった世界の広がりを感じてしまいます。

投稿: tak | 2009年11月16日 23:55

karin さん:

>「え~、○ンポンって下ネタなの??」という所に反応してしまいました。
>女性の立場からはれっきとした日用品ですので(笑)

大変失礼しました。
ラジオでは、いきなり 「○ンポンって、ご存知ですか~?」 と聞こえてきたので、ちょっとひるんでしまったわけで…… ^^;)

投稿: tak | 2009年11月16日 23:57

おはようございます

広島にも似たようなスポーツで
「エスキーテニス」というのが
あります。公務員の人やマツダ関係の
人を中心に親しまれてて、かつては
専用コートと大学にもサークルがありました。

投稿: 極私的視点管理人 | 2009年11月17日 07:16

極私的視点管理人 さん:

>広島にも似たようなスポーツで
>「エスキーテニス」というのが
>あります。公務員の人やマツダ関係の
>人を中心に親しまれてて、かつては
>専用コートと大学にもサークルがありました。

うぅむ、ここまで広がりがあるとすると、日立の「パンポン」が起源というわけじゃなく、その下部構造としてのボールゲームがあるんじゃないかという気がしてきました。

で、思い出したら、私も小学校の時に似たようなボールゲームをしていた記憶が忽然と蘇りました。

私のやっていたのは、地面に田の字を書いて、四人でやるんですね。
田の字の線で区切られた 4つの面には序列があって、ポイントを取るたびに上にあがり、一番下の面でポイントを取られると降格して退場になり、順番待ちの人間が新たに加わるというものでした。
(この説明でわかってもらえるかなあ)

この類のゲームって、日本中に自然発生的に存在するのかも知れませんね。
その中で一番洗練されたのが 「パンポン」 ということなのかもしれません。

投稿: tak | 2009年11月17日 11:17

>この類のゲームって、日本中に自然発生的に存在するのかも知れませんね。

……その後、各地の類似競技のあいだで共通のルールが整備され、全国組織も設立された。競技の名称は「テニス」に統一された。いっぽうで屋内での競技は独自の発達を遂げ、「テーブルテニス」「ピンポン」と呼ばれるようになった。

……というようなことが、18世紀~20世紀くらいにいろんなスポーツで起きていたのだろうなぁ、と。

投稿: 山辺響 | 2009年11月17日 13:34

山辺響 さん:

>……その後、各地の類似競技のあいだで共通のルールが整備され、全国組織も設立された。競技の名称は「テニス」に統一された。いっぽうで屋内での競技は独自の発達を遂げ、「テーブルテニス」「ピンポン」と呼ばれるようになった。

>……というようなことが、18世紀~20世紀くらいにいろんなスポーツで起きていたのだろうなぁ、と。

まさに、その通りだったんでしょうね。
で、統一の機運の一段落してから発生したスポーツは、残念なことにマイナーの地位に甘んじることが多いと。

投稿: tak | 2009年11月17日 16:01

パンポンを紹介するビデオを発見しました。
確かにおっしゃる通りですね(笑)
http://youtu.be/kYMEcH1Gcwk

投稿: コウ | 2014年12月23日 13:00

こう さん:

こんなビデオがあるんですね。びっくりしました (^o^)
お知らせくださり、ありがとうございます。

投稿: tak | 2014年12月24日 20:01

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